良い作品だが、短い。惜しい…
内容面は全体的に良好な作品である。ただ、あまりに短く2時間強で終わってしまった。そのため、良い部分をできるだけ加点したが、この点数にとどまることとなった。また、ドラマCDが付属しておりこれらも含めて楽しめるとはいえ、これで5000円強というのはちょっと高いなと感じた。
戦争のため人間らしさを失いつつあった主人公と、戦争のことを正確に把握せず任務を遂行し続ける、ある意味人間くささのあるロボットの交流を描いた物語。テンポの良いシナリオで、一つ一つのシーンが心に強い印象を残し、物語に引き込まれてあっという間に読み終わってしまう。停電後の、プラネタリウム特別上映のシーンは息をのんだ。また、ゆめみの声優さんの熱演は、特筆に値する(主人公も含め、全ての部分に声が入ったことはMemorial Editionにおける最大のポイントであろう)。
戦争で周囲が荒廃していることを正確に認識できず、「プラネタリウムはいかがでしょう」と呼び込みを続け、面倒くさがる主人公と噛みあわない会話をしながら懸命にもてなそうとするゆめみ。プレイして感じた、いじらしさともどかしさが折衷されたようなあの感覚は、何とも形容しがたい。
短編としては非常に濃密で綺麗にまとまっており、メッセージ性も強い。世界観も非常に良く構成されているだけに、もう少しプレイし続けたかった。