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xezldwr24さんのハーヴェストグリーンの長文感想

ユーザー
xezldwr24
ゲーム
ハーヴェストグリーン
ブランド
犬と猫
得点
85
参照数
2103

一言コメント

相変わらず高い中毒性を有する良作。簡単な攻略の流れの一例も付記しました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 本作は、『レミュ金』や『海猫亭』よりは、明らかに難度が高い。このブランドについて、いきなりこの作品から入ることはあまりお勧めできない。初期の作品からプレイして相性を確かめてみるべきだろう。
 この作品は、多くのことを考慮に入れながら、多角的に農家経営をしていく必要がある。私は、むしろそのようなスタイルの作品が大好物なので高い評価となったが、もう少し単純なほうが良いというユーザーもいるだろう。『王国商店街』ほど難しいとは思わないが、好みが分かれることはよく分かる気がする。

 季節ごとにキャラクターの誕生日・お祭りなど様々なイベントがあり、キャラクターに農作物からつくった料理をプレゼントして友好度を高めるといった要素もあるので、イシュワルドの面々と(少しではあるが)絡めるのが楽しい。また、作物を少しずつ品種改良していき、新しい品種を得ること。季節に合った作物を育てていく楽しみがあること。農場経営や炊出し・販売(料理)に気を配る必要があること。それに伴って、作れる料理が段々と増えていくこと。といった楽しみがあり、次へ、次へ、とプレイしたくなる飽きさせない展開が非常に好印象だった。日曜日だけ、ちまちまとプレイしていたら農家ランキング1位獲得まで4箇月くらいかかったが、それでもやめられない中毒性がこの作品にはある。

 近年の「犬と猫」の作品では、かなりストーリーパートが増えてきた。まだまだ少ないようにも感じるが、イシュワルドの世界観を堪能できる点で評価したい。ただ、新作が出るたびに新キャラが複数出てくるので、キャラクターが飽和し、魅力的なキャラクターたちが埋没気味になりつつあるのがちょっと悲しい。ユーザーに「イシュワルドのどこかに生きている」と妄想させて終わりではなく、ちょっとでも良いので各キャラクターに活躍の機会を与えてあげてほしいなと思う。個人的には、ミンティに一生懸命に気持ちを伝えようとするニーネがいじらしく感じられ、たいへん気に入った。今後の活躍の機会に期待している。

 後半~終盤になってくると、ミニゲームに勝った時の実益が非常に薄くなってくるので、ただの面倒くさい時間になってしまうのは難点か。巻物関連のイベントも全てレベル9になった後はいらない。また、所有できる作物・アイテムのページ数が少なく感じられ、やや管理に手間取った。だが、その部分も含めてゲームということなのかもしれない。

 エンディング1までは自力で、13年2季節(約11時間)。エンディング2に向かう途中から、種の入手方法が分からなくなったので攻略に頼り、69年2季節(約66時間半)で農家順位を1位にすることができた。要領よくやればもっと早くできるだろうし、あえて何も見ずにやれば100時間以上楽しめるだろう。どこで終わるかも自分次第で、それもこのブランドの良いところだと思う。

 総じて、1000円でこれだけ楽しめる同人というだけで、かなり印象はよく、応援したくなる。


 基本的には好きなようにプレイするゲームだと思うけれども、以下、私がとった攻略の流れを書いてみる。一つの方向性を示すものにすぎないし、発売年からして需要は低いと思われる。ただ、そこそこの難易度だと感じたのと、攻略サイトだけでは方向性を間違えるとエンディング2にたどり着くのに過剰に時間がかかったり億劫かもしれないと思ったので、もし最後までやってみたいけれど手詰まりになったユーザーさんがいたら、ご参考までに。あくまで一例である。

 エンディング1までは、誘導に従えば簡単に到達できると思う。
 そこからは、手に入る種の品種改良・作物栽培を無理なく行いつつ、まずキャラ友好度の上昇に力を注ぐ。キャラに仕事を頼める状態にもっていき、「やってもらえること」を増やすほうが圧倒的に時間短縮になるからである。そこで、まずはヤヨイの友好を3まで上げることに注力する。誕生日プレゼントを忘れずあげるようにし、お祭りに誘い続ければそれほど時間はかからない。友好度が3まで上がると、ヤヨイに「キャラの友好度をあげる」という仕事を頼めるようになるので、これで全キャラクターに仕事をお願いできる状況を作っていく。仕事を頼めるようになる必要友好値はキャラによって異なるので、並行して適宜プレゼントやお祭りで仲良くなっていくとよい。できるだけ早い段階で全員最大値まで上げ、必要な仕事を高いレベルでお願いできるようにしておく。
 序盤から中盤にかけては、まだ畑が狭く、生産力が低いと思われる。体力増加に貢献し、あるいはVPを多く獲得できる料理の原料となる食材(小麦や米など)が慢性的に不足し、VPを貯めにくい。そこで、リンテレットに料理をしてもらうのも一計である。そうすれば、料理に要する体力・食材の温存になり、VPが負担なく貯まるばかりか、料理コンクールで勝って単価の高い種を獲得しやすくなる。友好度9以上で料理してもらえる「シキノハ懐石」は、運が良ければそれだけで特級大会(特に夏は取りやすい)制覇も不可能ではなく、希少度の高い種やレベルの高い巻物の獲得がしやすくなる。
 次はフィルに仕事を頼んで大魚・龍魚獲得を狙ったり、シオに仕事を頼みブラドラドの肉やワイバーンの卵といった希少食材を貯めたりしながら、高級食材を栽培し、特級コンクール優勝を狙っていく。農地の泥棒・魔物対策が一段落してくると、VPはやや余りがちになってくるので、余ったVPで道具を購入したり、コインでニーネに道具を注文したりして、アイテムの獲得個数増大も同時に狙う。中盤以降は、できる限り能力アップアイテムを使った状態で自由行動をしたい。特に、資材はいくらあっても慢性的に不足するので、斧を使って出来る限り獲得し、一時的に1000個を超えるなどしても安心せず貯めておくべきである。その資材は、後半~終盤の設備拡張で大量に消費されることになる。
 希少食材は、料理して終盤に不可欠な体力アップにも使えるし、販売に出して馬鹿にならない額を稼ぐこともできる。VPがカンスト寸前になったら、龍魚や龍の巣を使った料理などを販売に出す戦略に切り替えると、かなり儲けることも可能である。
 戦略の一つとしては、春特級大会の「シキノハ玄米」と、秋特級大会の「龍の麦」の種を早めに獲得し、それぞれ「シキノハ米」、「龍の麦」を生産可能にすることが有益に思われる。両方とも、農地への投資が一定値に上がっていればかなりの高値で売れるので、経営が相当楽になる。私は終盤戦で、「シキノハ米」と「龍の麦」の種を大量に貯めこんで、最大限に広げた農地で冬下旬~夏中旬は米、夏下旬~冬上旬は麦を生産しては出荷、というのをを繰り返した。これを3~4年もやれば相当の貯金が出来るので、金を貯めるだけために行動する時間を少なくでき、作業プレイをしている感覚の減殺につなげられると思う。貯めこんだ金でドボックさんに貢ぎ、順位上げに必要な設備投資を繰り返していく。
 設備投資が完了した状態になっていれば、料理レベルで特級を取ることと、出荷額を80万£以上にすること、畑の投資レベルを一定値まで上げること、という条件クリアは比較的簡単になっているように思われる。あとは、作物評価点だが、こればかりは運である。私は、全ての畑に「シキノハ米」(売価が高いため)を冬の終わりにまき、春は常にビニールハウスを稼働させて光量を稼ぎ、夏は七夕精霊祭で品質上昇を祈った。全季節とも、「常季/気温平年並み」で、全ての畑の投資レベルは肥料及び農薬が87、残余は100だったところ、完成した作物の畑9面のうち6面がSランク、3面がAランクだったので、Sランクの米を出荷し、Aランクの米を種にして、チャレンジ一発でクリアすることが出来た。一発は難しくとも、農場の基礎ができていれば、単価の高い作物で何度か繰り返せばクリア自体は難しくないと思う。