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xezldwr24さんのましろ色シンフォニー -Love is Pure White-の長文感想

ユーザー
xezldwr24
ゲーム
ましろ色シンフォニー -Love is Pure White-
ブランド
ぱれっと
得点
88
参照数
1134

一言コメント

文章、音楽、グラフィック、いずれも安定している。萌えゲーってこういうのだろうな、という感じのゲーム。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

好きになり、気持ちが通じて結ばれるまでを、丁寧に構成した作品。他の作品なら数行ですっとばすような恋愛の過程もしっかり味わえる。プレイしていて赤面してしまうほどの純愛を描いたゲーム。比較的ストーリーの起伏が小さく、じっくりと恋愛の様子が語られていくため、そこが評価の分かれ目になるかもしれない。ちょっと退屈に感じてしまう人もいるかもしれないが、ハマる人にはとてもハマるはず。

ライターが複数いるが、整合性の点はあまり気にならない。個別ルートに入っても、攻略対象キャラではないキャラクターがきちんと何らかの形で話に絡んでくるところが良い。個別に入ったとたん、今までの人間関係は何だったの?っていう作品も少なからずあるので。
桜乃以外のキャラクターを攻略した際に、桜乃がどのような反応をしているかをみながら進めると興味深いとおもう。あまり感情を表に出さない娘だが、主人公がくっついたキャラごとに、少しずつ反応が違う。愛理に相談するなどの明示的なものは勿論だが、ちょっとした沈黙や表情の変化などを見ながらプレイすると、その部分がよく作りこまれているなと感じる。

桜乃ルートは他に比べて若干暗いシーンが多いが、兄妹が次第に相手に恋心を抱いていることに気付いていく描写が秀逸。お互いに、「相手は血がつながっていないことを知らない(忘れている)」と勘違いしている、という設定も興味深かった。そして、何より桜乃はいじらしく可愛らしい。
みう先輩は…けしからん体だ(笑)。みう先輩の優しくてほのぼのした性格と、声優さんの声、音楽がよくマッチしていた。ラストの、ぱんにゃとの別れのシーンは感動的。あそこであの挿入歌は反則だとおもう。
アンジェは、ややテンションの高さにびっくりした部分もあったが、明るいムードメーカーのような役割。冒頭から最後まで、あそこまでハイテンションなメイドキャラというのも珍しい。
愛理ルートは、初めは愛理が主人公にどちらかというと負の印象を持っている点で、最も本作品の特徴が出ているストーリーのように感じられる。主人公と愛理との関わりだけでなく、主人公と学園長、愛理と学園長の会話を上手く交えながらの話の展開が良かった。統合存続のための署名集めの部分などやや解決が簡単に感じられたところもあったが、終わり方も綺麗だった。

音楽が全体的に良い。「フリージアの花」は名曲。また、音声の一部がSEとして流れるというシステムなので、クリック時には注意が必要(と判っていても飛ばしてしまったりするのだが)。CGも良い。

個別ルートがしっかりしており、全体的に安定感の感じられる良い作品だった。