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wrydreadさんのCURE GIRLの長文感想

ユーザー
wrydread
ゲーム
CURE GIRL
ブランド
Noesis
得点
70
参照数
1068

一言コメント

低価格のノウハウで作られているフルプライス

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

Noesisは低価格帯をリリースしていたブランドだ。
そのブランドが改めてフルプライスに打って出た。
その実、低価格のノウハウによって作られた、パッと見のチープさが目立つプレイフィールが存在する。
難点を挙げるとすれば上記ぐらいだろうか。

確かに、各キャラクター攻略の際の連続した選択肢、それも、会話によるもので、
展開を選ぶものではなく全体のマンネリ感は拭えない。
しかしどうして、日々の描写に及ぶ”短縮感覚”は、極端に人との関わりの少ない生活を見事に表しているように見える。
加えて言うならば、舞台から季節、季節から観点が導き出されたような日常の浪費は陶然としたものを去来させる。
この無用に長い連続は『I.P.』の”終わらない循環”を想起させて感動出来た。

特筆したいのは時代性の代物だろうか。
SNSと実生活という二重構造、メールによるやりとりや告白等である。
ただ、非常に勿体無いと感じたのはオフ会から始まってしまうという部分だ。
SNSと実生活の二重構造をもう少し丁寧に描き出し、コミュニスというガジェットをもっと活かせなかっただろうか、と思う。
メールによる告白シーンの演出は下手にメッセージウィンドウに「好きだ」と表示するよりは非常に迫真性に満ちており、あの一瞬一瞬の時間感覚が具に感じられた。

上記にあるように、舞台から季節が導き出されているようで、舞台の配置はとても自然だ。(江ノ島…劇中では乃ノ島…が見えないが)
あの場所を知っている人間なら実にしっくりと来るのではないだろうか。