短編にしておくにはあまりにも惜しい
6~8時間でクリアできる低価格帯(2000円)の短編作品。
海面上昇という緩やかな滅びに直面した世界を背景に、田舎に逃げ帰った元エリートが亡くなった学者だった祖母の倉庫で記憶喪失のロボット娘を発見する、という出だしの作品。
ライターの紺野アスタの代表作である『この大空に、翼をひろげて』と同様に、基本的にはリアリティのある世界観(今回はライトSF寄り)の割に、どこか幻想的・童話的な雰囲気を感じさせる作風。
キャラと世界観は非常に魅力なので、短編にしておくにはあまりにも惜しい。ただし短いといっても、ボリューム不足感は一切なく、ストーリーはよくまとまっている。普通のADVでいう共通ルート+メインヒロインルート+真エンドという印象の構成。
パッケージ版がない(DL版のみ)のも玉に瑕。可能であれば水菜萌・凜々花ルートを加えたフルプライスのパッケージ版を出して欲しい。(追記:のちに発売されたサントラの限定版には特典としてゲームのディスク版が付属したが、内容はDL版と同様だった)
体験版は1時間半程度でクリア可能で本作の特徴や雰囲気を十分に伝わる構成なので、興味のある人は迷わず体験版をチェックすべし。
余談だがグリザイアPTと同じゲームエンジンが使われており英語や中国語訳も表示可能だけど英語訳の質がとんでもなく低い。グリザイアPTと同様に元台詞と英語訳を比べることで英語を学ぼうとする人が出ると思うけどそういった方面では一切期待できないと思った方が良いだろう。