ErogameScape -エロゲー批評空間-

wide-wideさんの恋する彼女の不器用な舞台の長文感想

ユーザー
wide-wide
ゲーム
恋する彼女の不器用な舞台
ブランド
CUBE
得点
75
参照数
2268

一言コメント

地雷系幼馴染は回避できたようでよかった

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

発売前に危惧していた、真優の存在。
主人公にべったりな幼馴染+物語の主題から切っても切り離せないヒロインという、某チョコゲーで痛い目を見た私にとって、
この地雷属性を抱えた真優が他ヒロインの√にどこまで絡んでくるかで評価が変わるところであった。

・・・で、蓋を開けてみれば、普通に良い子。
個別に入るまでは文字通りべったりで人を選ぶ性格をしているけれど、主人公が他ヒロインとくっついて以降は自分から身を引こうとする(それにしたって暫くはうるさいが)。
どのルートでも魅力が失われることがなく、「不器用な舞台」という主題に沿った働きをする、むしろ良幼馴染だった。
また、結局主人公とヒロインの仲を認めつつも、冗談交じりで寝取りを画策しているあたり面白い。

もともと絵買いだったのでシナリオは全く期待していなかったが、それなりに楽しめた気がする。
とはいえ大きな山も谷もなく、徹底的なストレスフリーが図られたことが見て取れる(シリアスや不快なシーンがとにかく少ない)ため、キャラゲーと割り切って購入することをお勧めしたい。
あ、エッチシーンは予想していたよりも尺が長く回数も多かったかも。

以下各ヒロイン√+主人公雑感

・真優
最初から好感度マックス。別ヒロインの√でも揺らぐことがなく、一貫して主人公の味方。
いわゆる「完成された天才」キャラであり、作中で演劇に関しては絶対無敵。失敗もせず驕りもしない。
共通√の演劇のくだりがやけに陳腐に感じるのも、この無敵性があってこそである。
個別に入ってからもべったりは続く。恐らく作中で一番主人公に好きって言ってる。
主題はそのまま「不器用な舞台」。
主人公の掘り下げが最も深い√でもあり、両依存から微妙に擦れ違う互いの関係がうまく描写されている。

・千奈
清純派だと思った?残念、ド変態でした!
官能小説作家であることの勢いをそのままに話が進んでいくため、案外あっさりとネタバレされる(共通でも示唆はされるが)他√を先に始めると素直に楽しめないかも。
主題は「天才と秀才との比較」。才能の分を努力で埋めなければならない自分に対してのコンプレックス。
抜きゲーによくある展開だなぁと邪推しつつも、結局は天才(真優)が努力することで丸く収まる話。
個人的に喘ぎ声が苦手。

・アリス
起承転結の起。この作品の道化役。麗しきロリ巨乳。
他ヒロインの√ではやたらと物分かりよく身を引こうとする健気さは、彼女個別の√に入ってから影を帯び始める。
主題は「主役であること」。ここぞという場面で自分を優先しないという、ヒロインの中で最も腹に一物抱えた子。
長らく主役の座にいた真優との衝突が描かれるが、外野が勝手に動いて収束する。なんじゃそりゃ。

・百花
起承転結の承。大天使。声がかわいい。
まーた病弱系ヒロインかよと思いつつも、死の危険はなさそうなので一安心。
トンチンカンなこと言って場を掻き乱す不思議ちゃんではなく、ただかわいい。そんだけ。
主題は「自分のしたいこと」。身体が弱く、何かを成す時に周囲の人間へ負い目を感じてしまい、夢が実現できない。
でもそんなの気持ち次第で、お前が筋トレすれば何とかなるんじゃね?といった感じで終わり。
真里亜さんの個別まだですかね・・・

・主人公
ありがちな鈍感系主人公。真優に対してのみ少しだけ鋭い。
コミュ力高め、機転が利く。どのヒロインにも万遍なく優しい。幼馴染と恋人の区切りはきちんとつける。
・・・とだけ書けば好印象を与えそうだが、実際は文系の大学生みたいなナリしたナヨガキで、あまり感情移入できなかった。
枯れてるのか性欲猿なのかハッキリしてほしい。