主人公で全てが賄われている作品
いつから異能バトルだと錯覚していた?と思うほど物理格闘戦の描写が濃かったのはさておき。
この作品で光るものはつまり、成田真理そのものだ。
一癖も二癖もある主人公ばかり創造する日野氏の作品の中では、智ちゃん以来のアタリである。
成田の強いキャラクター性で物語が回っていると言っても過言ではない。
状況に流されたり危機に応じるだけの没個性的な主人公とは違って、知識と実力がある分積極的に動き、舞台を引っ掻き回す。
女性に臆したり鈍感なわけでもなく、能動的に堕としに掛かるのも最近では珍しくなってきた。
男は目立つな!と思う諸君もいるだろうが、それだとこの作品の根底を否定することになる。それほどに成田の存在は大きい。
反面、要とも取れる<ハロー>の設定は結構ガバガバ。どこぞのラノベや漫画みたく詳しく解説してくれない。
いくつか型の種類が紹介されるけど作中で全てが開示されるわけでもなく、ようは「こういう力だからニュアンスだけ受け取ってね」という形。
また、氏の特徴なのかは知らないが、強大な組織や登場しない人物名をさも重要っぽく見せかけて、投げっぱなしで終わるパターンもいつも通り。
伏線はしっかり回収できているんだけど、広げすぎたスケールを掌握できていないのは残念。
以下人物とハロー考察
・成田→変態。ちゃんと主人公してる主人公。ダークヒーローは人気が出る法則。
ハローは暗示。便利なんだか便利じゃないんだか、作中でちゃんと機能してるの朔ルートだけだったしようわからん。
・朔→一応メインヒロイン。おっぱい。この子のルート以外はバッドエンドに見えて仕方がない。
ハローは人間の再構築。チートすぎて万全に活躍できる機会があまりないのはお約束。
・珠緒→俺っ娘。個人的に好きなキャラなんだけど本編での扱いがよろしくない。
ハローは身体機能の増幅。脳筋っぽいと思いきや、回復もできる器用っぷり。脳筋のるいちゃん涙目である。
・空子→僕っ娘。二重人格設定が必要だったのかは最後までよく判らなかった。
ハローは終焉への牽引。すっごく地味。もうちょっとサポートで活躍していれば評価は変わったんだろうけど、如何せん種明かしが遅すぎた。
エル→ロリ枠。というか茜ちゃん枠。常識人成分多めのヒロインの中で、成田と並んでギャグを振りまく貴重な存在。
ハローは愛情との同化。効く相手にも効かない相手にもそれなりの成果を残している。厨二っぽい。
・瑠璃→妹枠。というかヤンデレ枠。回想で何度も出てるから生きているんだろうなーと思ったら生きてた。
ハローは凌駕。単純かつ強力な力を持ったラスボスがあっさりやられるのもお約束。
・大義→ショタホモロリコン。最もミスリードを誘ったキャラで、敵か味方か確定しない絶妙な立ち位置が良かった。