「虜ノ」シリーズ正当進化。枯れ果てる・・・。
ヒロイン一人称視点の陵辱モノ。
基本的な構造は前作『虜ノ旋律』とほぼ同じ。ただし前作の経験を踏まえて全面的にパワーアップしていると感じた。
やや長めの導入を終えたあと学園ルートと自宅ルートのどちらかに分岐し、さらにルート内でそのルートを担当する各ヒロインへの分岐がある。
学園ルート担当は未緒、凛香、このみ。
自宅ルート担当は未緒、結衣、栞。
メインヒロインの未緒は両ルートで陵辱され、あとの四人は片方のルートでのみHシーンが存在する。
各ルートに強気系とおっとり系が一応一人ずつ配置されてはいるが、出来れば全員両方のルートで見たかったというのも本音。
しかしそうするとおそらくヒロインの数を半減させる必要が出てくるため、好みのキャラがヒットする確率は減ってしまう。
基本構造がほとんど完成されているぶん、この形式ではこのへんが限界なのかもしれない。
前作『虜ノ旋律』と比べて一番革新的だったのが、ルートによってプレイの趣向がはっきりと違うこと。(前作はルートこそ分かれていたが、どちらのルートも陵辱相手が違うだけでやっていることはほぼ同じだった。)
学園ルートは道具や媚薬を使ったシチュがメインで、自宅ルートは男二人がかりでの輪姦がメイン。
以下、各ルートについてもうちょっと詳しく。
<自宅ルート>
科学教師・出村に弱みを握られてヒロインが玩具にされるルート。
バイブ、ローター、媚薬などの道具を使ってヒロインをヘロヘロになるまでイカせまくったのち、男側は元気溌剌の状態で犯しまくるのがデフォ。
出村の性格がこれまた陰湿で、嫌々従っているヒロインにわざと服従の言葉を吐かせたり、ストリップをさせてガニ股ポーズを取らせたりと、体だけではなく心を犯すことにも重点を置いている。
ヒロインたちにとっては最悪すぎる男だが、陵辱ゲー的にはなかなか最高な科学教師だった。
<自宅ルート>
二人の男たちが未緒の自宅を占拠し、精力と数的有利にモノを言わせて犯しまくるルート。
男二人対女一人でのプチ輪姦が基本で、ヒロインが気絶するまでHシーンが終わらないのも基本。(栞はさらに多人数での輪姦が多め。逆に結衣は漆畑との一対一がやや多かったりする)
未緒が学園に行っている間はメイドの栞が自宅で人質になっているという構造を活かして、未緒に電話で卑猥な台詞を言わせたり、学園からアソコの写真を撮ったメールを送らせたりと、シーンとシーンとの繋ぎの部分でも気が利いていた。
両ルートに共通しているのは男たちがとにかく最低なことと、ヒロインたちの心まできっちり念入りに弄ぼうとすること。
このあたりの描写が素晴らしいので、Hシーンでの興奮度が段違いだった。
CGを複数枚使うシーンも多く、1シーン1シーンにボリュームがある。
また、キャラクターの造形についても人数を減らしたぶん『虜ノ旋律』よりシェイプアップされ、個性が際立ち魅力的になっていると感じた(もちろん好みの問題はあるだろうが)。
メインヒロインの未緒はぶっちゃけ『虜ノ契』や『虜ノ旋律』のメインヒロインと中身はほぼ一緒なのだが(笑)、キャラクターの設定まわりは今作が一番洗練されている。
人望の厚い学生会長、当然のように成績優秀、テニスのプロを目指す親友とダブルスのペアを組める程度にはスポーツにも優れ、自宅には専属のメイドさんがいる――。
エロゲ特有の現実にはいねえだろというレベルのお嬢様だ。
おまけに真面目だが堅物ではなく清楚で努力家、両親がいなくて寂しい夜はメイドさんに「おねえちゃん、今日はいっしょに寝てもいい?」と甘えたりもする。
理想のお嬢様像ここに極まりである。
作中で科学教師・出村が「やっぱりスペックだよ!」と力説していた通り、こんなスペックのお嬢様が卑劣な男たちにやりたい放題弄ばれるからこそ、いっそう興奮するというものだ。
他のヒロインたちも未緒ほどではなくとも基本的に高スペックかつ健気ないい子なので、そんなお嬢様たちの未来を踏みにじりたいという歪んだ性癖の持ち主には特にオススメである(えぇ・・・)
年に一本レベルで満足した抜きゲだったが、不満点もちらほらある。
まずは凛香ルートでの誤字脱字の多さ。
他のルートには見られなかったのでここを担当したライターさんが原因だろうか。
読んでいて「ちょっと多いな」と感じるレベルで多いため、人によっては没入感の妨げになるかもしれない。
文章自体は読めるものだったので、自分はそこまで気にはならなかったが。
次に、ルートに入ってしまうと律儀に他のヒロインには手を出さなくなる男たち(笑)
うん、まあ、ありえない。
たぶん複数原画の弊害というか開発の事情的に難しいのだろうが、各ルートの終盤くらいは、未緒と一緒にまとめて犯してやってほしかった。
体を張って守ろうとしたものがあっさり踏みにじられるシーンとかすごく見たかった。残念。
そして声を大にして言いたいのが期間限定パッチの出来。
前後もなければ思い入れも感じられないHシーンの羅列で、本編のクオリティとあまりにかけ離れていた。
CGと声のクオリティだけは落ちていないのだが、それをこんな適当なシナリオで消費しては、むしろシーンを作る労力自体が勿体ないと感じてしまう。
抜けないシーン10個よりも抜けるシーン1つの方がよほど嬉しいので、次に同じことをやるとすればもっと気合を入れて作ってほしい。
過程をすっ飛ばして全員堕ちている従順パッチも微妙だったが、コスプレを変えて輪姦するだけの群れ男パッチはあんまりである。
というか本編で未緒の出番が他ヒロインの二倍もあるんだから、律儀に未緒オンリーのパッチを出さなくてもいいのでは・・・?
パッチの量が半分になったとしても、シーンあたりの質を上げてくれた方が個人的にはありがたい。
作品の性質上当然バッドエンドまみれだが、未緒が諦めなかった結果、男たちが制裁を受けるグッドエンド(・・・と言っていいのか?)も一応二通りほど存在する。
タイトル的に学園ルートのグッドエンドが正史っぽいので、クリア順を最後に回してもいいかもしれない。