シナリオ・雰囲気・面白さのバランスが良い。とにかく贅沢。前半ネタバレ薄め後半ネタバレ考察で書いてます
長所
さかき傘(ひこうき雲好評価)&ほんたにかなえ(はつゆき好評価)という自分にとっては買う要素しかなかったし体験版の時点で「あぁこの書き方はさかき傘だぁ…」と嬉しくなることもあった。
そんな自分の中でのハードルがどんどん上がっていたのにも関わらず期待以上の出来でとても満足の行く作品だった。
とにかく伏線の回収がキッチリしてる。例えばヒロイン全員が金髪とかテーマに沿った設定だろうけどヤバい雨でも降ってるんじゃねーのか?と思ってたがちゃんと1人1人金髪である理由がある、みたいな。そして最後にはほとんど置き去りにすること無く全ての伏線が繋がる。(指輪の箱の持ち主を明かさないという演出をした部分などもあったが)
日常パートも普段通り面白い。イチャラブまで笑える。あぁこのキャラだからこそ言えるセリフだわとキャラ作りがしっかりしてるという印象を受けたシーンが多々あった。王族いちいちチートすぎだろ、なんだよあのキュロちゃんとかいうロボット凄すぎだろ。
キャラも(端から見る分には)ひとりひとり魅力的に書かれてる。グラフィックは流石ほんたにかなえと言わしめる安定感、性格も濃くて特徴的、それでいてルート入るとデレが強烈でカワイイ。最後の理亜ルート以外「贅沢」という言葉が似合うくらい本当に贅沢。幸せなひとときを―――とかいうよくある宣伝文句アレそのもの。理亜ルートは「命題」というテーマが似合うくらい考察のしがいがあるのでぜひとも自分の考えを聞かせて頂きたい。
サブキャラに関してもひこうき雲の3人衆みたいな最後までクズという設定で終わる人間がいないのも良かった。序盤にあった貴族と庶民のアレな空気が共通ルート内で終結した点なども評価できる。それはそうとシルヴィルートのミナちゃんカワいすぎませんか?そうでしょ?やっぱり~
グラフィックも浜名…浜松湖に沈む夕日を金色を表すことにおいて重篤に扱ってることもありあのCGは特に力入ってたしもちろんそれ以外もレベル高いなぁと感心した。
短所
ルートをもういっそのこと玲奈or茜→エル→シルヴィ→理亜→追加と固定したほうが良かったのではないかと思った。他サイトで推奨ルートを確かめて攻略した訳だがこれ以外となると先に王女や騎士を攻略してしまうと玲奈ルートで「もう知ってる」ってなってしまって面白味に欠けるのでは?
あと玲奈の初Hが無理矢理すぎて自分は嫌い。2回目以降の展開としてはありだとは思うが……いやまぁシルヴィの初Hが冬夜の屋外ってのもどちらかと言えば嫌いだけどもよ。
まとめ
賛否両論なルートもあるのですが全体を通して読みやすくてかなり面白い作品だなぁという印象を受けました。
シナリオ・雰囲気・面白さのバランスはとても良かったと思います。
以下ネタバレ考察
このゲームのテーマが「金色」であるからして理亜√においても死生観どうのこうのより「金色」について考えるべきかなぁと思った。
まず「はい死んだー、はい感動ー、が嫌い」「生きてる自分を見てくれ」という理亜だが、本人がこの展開が嫌いな理由というのは親や病院での環境が影響しているのではないかと読み取れた。
理亜の親の思いがモロ反映された言葉が「はい死んだー、はい感動ー」であるし、病院内でも何の疑問を持つこと無く静かに命を終えるのが一番という考えが常識に近かった訳で、あのポスターに出会い今を生きる意味を若くして考えさせられたのがあのセリフに繋がったのではないかと考えられる。
この「今を生きる意味」というのが理亜にとって大切なことである。こんな環境にそうじゃないよという新たな考えと金色を与えてくれた央路とシルヴィは理亜にとって言わば救済だった訳であり、金色を見れる間に恩を恩で返さねばと奮起してる最中なのがマリアの目標となっている。「生きた証を~」という考えだったらもっと自己犠牲な考え方をしてると思う。存在を忘れられてもいいから央路とシルヴィを繋げるぞという心意気がシルヴィルートでは見られたし、理亜ルートの告白部分では嬉しさ半分と思い通りにいかない悲しさ半分でフラフラっと池に落ちたんだなぁとも考えられる。
その後に闇に戻るのが怖くなるという発言や病院で苦しいともがくような仕草からもとれるように理亜自身生きたいという気持ちは強いと思うし、普通は誰だってそうなのに外部から死ぬと決めつけられるのは何か腹立たしいと思う部分も絶対にあるはずだ。小さい頃から死ぬ前提で動かれた周りの環境から「はい死んだー、はい感動ーが嫌い」という考えに至ったのではないかと考える。
なので読み手の方から「はい死んだー、はい感動ーが嫌いなのに死にやがった」という批判はいささか無粋な部分もあるなと思える。死で感動という展開に見飽きた別の物を見せろという思いからの批判は理亜のこのセリフと意味合いが違ってくるし、何よりそれは運命に抗うといった別のテーマになってくる。このゲームのテーマはあくまで「金色」であり、金色を見続けるために必要であることが現れている「カッコつけねー人生なんてゴミだ」という理亜のセリフ(自分にとって1番響いた)から価値観としては金色を見続けたいという思いのが本人の上位に来てると思える。
ライター自身も理亜の死に関する記述は2行程度でサラっと流したわけだし、そこを感動に持って行きたかったなら病床の死ぬ寸前を書きまくるだろうしとも思える。
なので死生観どうのこうのより金色について語るべきなのではないかと自分は思う。
と言っても批判なコメントにも一理あるとは思っている。自分も死で感動には共感できないし「こいつ死ぬ必要あったのか?(サ○○○詩)」とか「お前らが良くても読者からしたら何だかなぁな個別END(グリムガーデン)」と思うゲームやルートを今まで何度か見てきたし、どうせなら最後は完全勝利や大団円を見たいという気持ちも強くある。
自分が雰囲気に流されやすい性格も相まって今作品の雰囲気が良すぎるせいか「本人らがそれでいいと思ってるんだからいいじゃん」と理亜の死もすんなり受け入れてしまったってのもある。他のシナリオ重視の作品ならこうもいかなかったのかもしれない。
もとより自分は死生観で感動というより全ての辻褄が合った瞬間の感動のが大きかった。泣きゲーではないわな、いや感動して泣いたことないけど。
でも生き延びたら生き延びたで「ご都合主義じゃねーか」と批判されそうだなと感じのでどっちもどっちか。
生きてる自分を見てくれという表現を実際に感動に持っていくのも賛否両論が激しくなる要因ではある。だって現に賛否両論な24時間テレビも正にソレがテーマに近いもん。
文章力無くて申し訳ないが伝われば幸いですm(_ _)m