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wattoruさんの天結いキャッスルマイスターの長文感想

ユーザー
wattoru
ゲーム
天結いキャッスルマイスター
ブランド
エウシュリー
得点
65
参照数
50379

一言コメント

7章終了時点感想。6月6日に1周目終了のため追記感想

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

神採りプレイ済みの観点からゲーム性感想

《育成の楽しみ、キャラ運用が薄い》
Lv30のキスニルが習得済みのスキル
心眼・・・命中と回避10%増加
戦闘指揮・・・周囲の味方に命中と回避+10 攻撃と防御+1
大物殺し・・・ボスに対して攻撃+10
先制攻撃1・・・確率10%で最初に攻撃が行える
刃剣舞・・・命中-5 回避+5 物攻+3 敏捷+2 SP4消費

僅か5スキル

Lv33のリシュ
鉄壁・・・防御時回避+10 物防と魔防+6
援護防御・・・隣接した味方が攻撃を受けたら20%の確率で完全防御
土流・・・迷宮内の泥沼を通過可能
旋盾破・・・命中+20 物攻+6 敏捷+8 SP消費6
爆裂光柱M・・・充填式のフィールド範囲攻撃

同じく僅か5スキル
しかも土流を除けば戦闘面で使えるスキルは4スキル 全く選択肢がない

物語も佳境に入って来た7章終了時点でこれである
他のキャラも大体似たり寄ったりで、ほぼ敵に応じてスキルを付け替えるという事が無い
ではどうやってこのゲームを攻略して行くのか? 答えは簡単、武器の属性を揃えて弱点を突くゲーム
キャラ毎に運用が決められていてプレイヤー毎の特色が一切出せない

前作神採りだとヒロイン毎に様々な衣装が存在し、多数のスキルを習得させる事が出来た
ユエラなら凶暴化、連撃、カウンター、威圧、魔術結界、防護結界etc・・・攻撃スキルから防御スキルまで幅広い選択肢があった
プレイヤーの好みに応じ、色んなスキルの付け替えを行う事が可能で嬉しい悲鳴だったが今作はそれが無い

もしかしたらもう少しクラスチェンジを行えば様々なスキルを習得するのかもしれないが、現状育成に対する楽しみは見出せない

《工房としての描写が薄い》
物語冒頭では駆け出し工匠で店を持ったばかりの前作ウィルに対し、アヴァロは技術を磨いて来た一人前の鍛梁師である
そのため物造りに対する知識が豊富で、アレが欲しいな→材料集めて即作成
しかも本人が魔力を持っているのでわざわざ他者を介して精霊と交わる必要も無い
何でもこなせるので試行錯誤する描写がほぼ無く、鍛梁師としての描写が物足りなく感じる

ちょっとアレ? と思った例が、工房を覗いたら突然レシピに「柔軟な蔓梯子」「柔軟な覆壁」の2種のレシピが追加
何の脈絡もなく追加され、重要アイテムなのでとりあえず製作
後々強風が吹き荒れるダンジョンでこれらが要求されるのだが、事前に用意しておいた「柔軟な蔓梯子」を掛ける、事前に用意しておいた「柔軟な覆壁」で道を通れるようにする
一度ダンジョンを下見して対策として品を作ったならともかく、便利そうなのでとりあえず作った品が役立ちましたというのは都合が良すぎる
プレイヤーとしては手間が省けたと喜ぶべきなのか・・・何とも言えない気持ちになりました

システム的な面になるが、今作は日数経過の支出が存在しなくなった
神採りでは日数経過に応じ、工房でお店の売り上げや諸々経費が差っ引かれ、赤字になるとイベント発生まであった
本作は日数こそ表示されるが、設置物によって勝手に資材が増える、勝手にギフルが増える程度で基本空気
もう少し自分が工房(というか商会)を運営してるんだ! という実感が欲しい
プレイヤーがやってる事と言えば、言われるがままにキーアイテムの素材を集め、各キャラの属性武器を揃えるだけである

《煩雑なアイテム周り》
上で言ったと思うが本作はとにかく属性武器を揃えて弱点を突くゲーム
敵、味方問わず属性の強弱がやたらと設定されている
ある敵に有効な属性武器を装備したら、ある敵には全く通らないので1戦闘毎に一々武器を付け替える必要が生じる
洞窟なので地属性を多く配置し電撃が有効、水場なので水属性を多く配置し地脈が有効みたいな一貫性が欲しかった

その中で気になるのがアイテム周りである
ちょっと全体的に説明し辛いのだが装備品類のソート周りがかなり悪い
武器、防具、装飾品など中盤以降、手持ちが増え目当ての物を探すだけで時間がかかる
結果として属性武器は使わず、無属性武器でごり押すのがストレスが無いし最適解

《装備の強化&分解》
個人的に手間に思う要素として、今作は装備品の強化&分解が追加された
分解をする事で対応した地脈、冷却、火炎、電撃、神聖、暗黒の6種に対応した錬石が入手可能
それらを消費し、武器、防具、装飾などを強化するシステム
この錬石、入手出来る数がそんなに多いわけで無く、全員分の装備を強化しようと思うと中々骨が折れる
せっかく強い装備品を入手しても「早速試し斬りしよう!」ではなく「錬石足りるかなぁ・・・」になる
強化と言えば聞こえは良いが【強化して初めて装備品が持つ本来の力を発揮する】とも言えると思う

《召喚ユニット強化》
極めつけはこれ
結騎と呼ばれる地、風、水、火の精霊4体と、操霊師が操る霊体2体(他にもいる可能性あり)
これらのユニットはクラスチェンジが存在しない模様で、魔物を捕獲し協力して貰う事で能力強化、新スキルを習得する形になっている
しかもこの捕獲行動というのが、装飾に捕獲ロープを装備しないと行う事が出来ない(フィアのみ例外)
更に一つの項目を満たすのに要求される魔物の数が3体~5体
要求される魔物2体とかで良かったんじゃないですかね・・・作業ゲーの極み

《総評》
全体的にやってる感よりやらされてる感が強い
敷かれたレールの上を走ってるような感覚で、やらないと強くなれないのでやるしかない
期待して買ったマイスターシリーズなのに作業感を覚えて飽きつつあるのが怖い
全員が二回行動覚えて無双出来るようになったら楽しめるのかな・・・?

結構ボロクソ言ってますが、キャラクターは可愛いしそれなりに面白い
十分遊べる出来だが、超えるべき神採りという壁があるので非常に辛口になってしまう


--ここから1周目終了後の追記--
改めて全体部分の感想をザックリと記載
ユニット運用については終章まで行ってもあまり変化が無いと感じた
製作側が想定した運用に従って、後は属性武器を付け替えするだけ
“レイシア”の名を冠した優秀な無属性武器が手に入ってからは、脳死で無属性で殴り続けるゲーム
更に終盤付近のボス敵は無属性を連発、お互い無属性で殴り合う大雑把ゲーに変化

MAPと敵バランスについて
とにかく初見殺しが酷い
未開拓のMAPから平然と遠距離攻撃が飛んでくる、酷い時は広範囲のMAP攻撃が飛んで来る
前衛、後衛問わず移動力3のキャラが多く、固まって進軍してる所を一掃された時は流石に唖然とした
やたらとタフな中ボス格も多く配置されており、無駄に戦闘時間がかかるのも辛い
その割に工房で何かを製作しようと思うと要求される素材数が多い

ただ後半、施設「占いの館」を設置すると何とアイテムドロップ数が+1される
更に装飾品「フールティアス」を装備するとドロップ数が+2される
併用する事で敵を1体倒すと何とドロップ品を6個も落とす
ここらの便利アイテムを3章、4章辺りで解禁してくれていたら・・・と言わざるを得ない

武器、装飾品、施設が揃って来るとやっぱ面白いのは面白い
キャラクターも個性的、全体的に漫才してるシーンが多くニヤッとさせられる
ゲーム性部分がもう少し快適だったら、本当にのめり込んで遊べたと思う