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wasabi79さんのEXTRAVAGANZA ~蟲愛でる少女~の長文感想

ユーザー
wasabi79
ゲーム
EXTRAVAGANZA ~蟲愛でる少女~
ブランド
BLACKCyc
得点
80
参照数
1236

一言コメント

突き抜けた感じのエロとグロとそれに殺されなかったシナリオ。メインルートのみではなくサブルートもプレイして評価すべき作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

蟲とともに生きた(融合した)少女の15年を追った物語。
非常にファンが多い作品で、私もプレイしてその理由が分かった気がします。
ちなみに「蟲使い」のリメイク的作品ということで、同じキャラが登場するようですが、
実際はパラレル的な位置づけらしく、話に繋がりはないようです。

ライターの和泉万夜さんは、他社ですが「無限煉姦」で好きになりました。
何となく成長モノとして、今作とは重なる部分も多かった気もします。
あとこれも他社ですが、「淫蟲猟域」を先にプレイしていたのですが、時系列が分かってスッキリしました。

メインシナリオは実はそんなに長く有りません。攻略に詰まらず、サブルートを無視して進めば、
意外と早くクリア出来てしまうんじゃないでしょうか。
時代的には3つに分かれるのですが、5年後、10年後と一気に時間が進むので、
見方によっては描写不足に感じることもあります。
例えば、蟲と夢美がパートナーとなっていく過程や、綾佳が娘として育っていく過程が
殆ど抜けてしまっています。あと、突然チベットに行っちゃった優斗とか(笑)。
恐らく「シナリオが面白くない」と言う方々は、その辺りの描写不足を感じたのではないでしょうか。
特にラストの成蟲の章は、ラストの割には短い印象を拭えませんでしたし。
ですが、あれだけのインパクトのあるエロとグロがありながら、シナリオが死ななかっただけでも
シナリオとして十分評価していいと思うんですけどね。

製作者側も、実際は色々入れたかったようなのですが、ボリュームの関係で断念していたようです。
ただ、その削られた分、サブルートは充実している印象です。
私も最初は、正直アゲハルートはあまり必要性を感じていなかったのですが、終盤に至るに連れて
逆に楽しくなって来ました。特に夢美のあの変化はサブルートでしか出来なかったでしょうし。
同じ理由で夢美編・弐の「森に溶けて」も面白かったですね。
というか、夢美ってメインルートでも結構酷い目に逢いますが、サブルートはもっと酷い気が(苦笑)。
ですが、個人的にはあのサブルートがあるからこそ面白い作品なんだと思っています。

エロはもう完全に人を選びますが、その中でもコアな部類。グロ・スカ耐性が無いとまずプレイ不可能ですし。
プレイも中盤に差し掛かる頃には、肛門から口まで触手が貫通する位、当たり前の感覚になります。
個人的に一番可哀想だったのはユーリア。電撃を浴び、四肢切断されて、更にその状態で蟲を産まされて、
それでもサイボーグ故に死ねないとか……他は死ねるだけマシだったと思えます。
ただ、その分巨大ガトリングガンとかの見せ場はあるんですけどね。夢美以外では唯一序盤からフル出場ですし。
あと西先生との関係も気になるところではあります。というか私は西先生が一番好きなキャラです。
シーンでも、西先生の食事シーンが1番好きですし。倫理観は皆無ですが、意外と悪い人じゃないんですよね。

絵は男キャラが良かったです。煉悟や西、レン等それぞれ個性があって良かったです。
エロゲですが、こういった男キャラが上手く描ける方はいいですね。
あとはグロさの表現が秀逸。この絵と塗りだからこそ、このグロさが表現出来たんじゃないでしょうか。
それに比べると、女のコの立ち絵は、首と頭の位置がおかしくバランスの悪いキャラが何人かいたのが残念。
立ち絵と一枚絵のギャップが大きいキャラもいましたし。あと、一枚絵だと、みんな胸が大きくなる印象。
そういうことを考えずに絵だけ切り取れば、いい絵はいっぱいあります。特にED関連はみんな良いです。

あと声優さんの演技が素晴らしいです。特にアゲハ役の方の陵辱される演技は最高でした。
アゲハはそれ程好きなキャラじゃなかったのですが、あの演技だけで好きになれます。

コンプは確かに大変なのですが、とりあえず1度何も考えずにプレイしてみて、詰まったら
公式HPの攻略を見ながらやってみると良いかと。攻略HPも登場キャラの会話調で進むため、
読むだけでも退屈しませんし。ちなみに、公式HPで「レンと蟲くんのいちにち」というミニシナリオが
ダウンロードできます。SSではなくゲーム形式になっています。

個人的に、こういった人外の何かと絆を深め合っていく話は大好きですし、
蟲というモノにこだわった感じで、突き抜けた感がある今作は良い作品だと思います。
惜しむらくは、勧めようにも勧められないことと、内容的に日の目を見るのが不可能ということでしょうか。