雰囲気と音楽はいいけどやはりちょっとシナリオとして弱い
基本はスパイもの映画のような感じ。いつも通り音楽が良く、立ち絵とかCGとかも充実。外国を飛び回っていくのはとても楽しい。アパルトヘイトとかの話が出るエロゲーは中々ないのではないだろうか。
・冒頭
導入はかなり面白い。非日常へのあこがれから一歩を踏み出す描写は秀逸
・三章
しずかの誕生秘話。最初に東ドイツの話になった時はどうつながるかかなり謎で突飛すぎて、退屈だった。
評価の分かれる部分が三章な気がするけれども、個人的には既出感が勝ってしまった。いつものねこねこではあるのだが。
・日常と非日常という題材
いまいち「日常」が描けていないように思えた。最後に主人公やしずかが日常に生還するというのもプロット的にはそうなるだろうなという印象はあるのだが、そこをどのように天秤にかけて選択していくのかという明人の描写が不足していて突飛に見えてしまう。
・ルール
ねこねこ定番の「ルール」。結局九朗の代におけるルールの変更なんかが見えなかったのも残念なところかもしれない。「ルール」の面白いところは、人々が紡いだ歴史の積み重ねによって変遷していくところだと思うのだが、その変遷が一回しか起こらないためあまり面白く感じない。スピンオフが出ていろいろと設定が追加されていくと面白くなって行ったりする部分ではあるのだが。
・ダブル主人公について
やはり後半は明人ほとんど九朗に食われてしまっていた印象。母親とかが出ていたけど、存在意義が。。。
・題材
クローン・暗号化・政情不安・原子力 などを巡って政治的な駆け引きを行うというのはなかなか新鮮だった。
やはり一本道でこういう雰囲気のノベルゲーというのは稀有で楽しいのだけれどもう少しドラマが欲しかったところという思いがある。