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waravimさんのマルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~の長文感想

ユーザー
waravim
ゲーム
マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~
ブランド
TOKYOTOON
得点
75
参照数
324

一言コメント

単純に言ってよく分からなかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

凄まじい量の素材を使っていて、金がかかっていることはわかるが、それぞれの素材の結びつきに脈絡がなさ過ぎて、終始置いてけぼり感が漂う作品であった。
銀河竜が記憶を食べる生き物であるがゆえに、マルコの家族の記憶を奪ってしまった(=そして奪い続けてしまう)ので、別れが必定という感じのクライマックスなのだろうが、いまいち記憶を奪うことの発動条件なども分からず、シナリオに特に論理性を感じなかった。
ハクアも分からないキャラの記憶で、なんかイジメられていたり、感情を持ってしまったが故の劣等感みたいなのを感じているという話は分からなくもないが、行動との整合性みたいなものを感じられず、謎だった。

ノラととの時からそうなのだが、ライターがシリアス・シュールギャグをごちゃ混ぜにして提供するので、なかなかついていくのが難しい。

別にこのクオリティなら短くても構わないと思うが、映画として見れるぐらいは何というかまとまりが欲しい。
演出も効果的なのかかなり謎。
素材一つ一つは本当に高クオリティで輝いている。

例えば、トゥーンアニメはすごいけど、別にあったからといって何か良い点があったかというと疑問符がつくところ。演出もがっつりカートゥーンの素材を入れるとかしないと唐突に謎アニメが始まるという印象をぬぐい難い。
立ち絵やCGもいいのだけれど、何も活かされていないように思えた。
挿入歌も単体では中々斬新でポップな感じがあり良い。唐突に使われ過ぎていて、こちらの感情との整合がつかず、微妙な気持ちにさせられてしまう。
謎のシューティングとか刹那の見切りとか、本当に特に面白くない演出も謎。
音楽は結構好き。勝ち確定BGMのゲームシンセっぽい音が鳴るやつが好き。ただ、画像素材の割にはサントラの量は意外と控えめに思えた。

いずれにせよこのような高品質な素材のマッシュアップで「動く」ノベルゲームになっているわけだが、それが体験としての品質を上質なものにしているというよりかは、シナリオの破綻を埋め合わせ最低限楽しめるものにしているとの印象を受けてしまった。また「動く」ゲームである必然性も感じられず、結局アニメにすればよかったのでは?と思ってしまったかもしれない。いやでも、このカオスな世界観はアニメにするとさらに前衛的になってしまうと思うので、まあそこは考え物かもしれない。


いわゆるおま国価格も残念なところ。別にSteam価格と物理版価格を合わせる必要なくない?

まあ挑戦は悪くないと思うので、売れたのか売れなかったのかよく分からないが、めげずに自作を作ってほしいです。