演出もシナリオも高品質。分割したことで、グダグダ感も減っていて終盤までダレることなく楽しめた。
前作は一気にメタものに移行してこれ大丈夫なのかという不安しかなかったが、うまくまとめていたと思う。
とくにタイムリープVSタイムリープという構図は否応なしに熱かった。
序盤は明らかにいざとなればオーバーロードに頼ればいい感を出していたため、何らかの副作用があるのだろうなと思っていたが、相手も使ってくるという展開は予測できなかった。
「アーティファクトは、人が創り出したもの。オーバーロードも、例外じゃない だったら、私にも創れるはずでしょう?」
の一言には痺れた。
タイムリープものといえば何度やっても失敗する絶望感にプレイヤーを共感させ、綺麗な解決策を提示してカタルシスを与えるというのが王道であるが、この作品も王道を踏襲してハイレベルに演出していた。
偽EDからのヒロイン惨殺、主人公が躊躇なく相手を殺してもサイコパスな与一には関係なしといった絶望感の演出は生々しい。自室にヒロインの死体を運ぶ精神攻撃は中々強力だった。(全員並べたりしたら伝説になっていた気もするが、まあそこまでやったらファン層的には厳しいか。)
そしてしっかりと落としたのちに、平行世界のヒロインを集めて総攻撃というのは圧倒的にテンションが上がる展開だった。
ビジュアル面も品質が高かったと思う。希亜のCGがかっこ可愛く、華やかだった。
OPも堀江昌太・山口たこ・米倉千尋のコンビで暑い。映像の品質も高い。
不満があるとしたら、真EDは全く別に作ってほしかった。偽EDに結構ビビったので、最後の最後まで警戒してしまった。安心してEDを見させてほしい。偽EDといえばこの界隈に居ればシュタゲを当然思い出すわけだが、あっちは分かれていたし。(書いた後気づいたけど偽EDは、かなり色が暗くなっているんですね、でも曲が同じなのでやっぱ普通に不安な感じがあった。)
加えてまたほかの人が指摘していたがプレイヤーを巻き込む割にはプレイヤーが介入できる要素がほとんどないという点は確かに微妙な気がする。Ever17のBWも同じ感じな気もしたが、あれは視点を移行するという重要な役割があったのでやはりメタものとしての出来はイマイチな気もしないでもない。分岐システムもちょっと貧相な気がするし。9=プレイヤーもDDLCみたいにユーザー名を参照してみたりしたらもっとメタな没入感を与えられたのではないだろうか。DDLC・ととのでやっているようなこともべつに(シュタゲでやっている)FakeEDとかやるならパクッても問題ないと思うし。
まあタイムリープものはいろいろと探せば矛盾はあるだろうが、(イーリスのオーバーロードで分岐はしないのか?とか)オーバーロードの持ち主である、未来のイーリスを倒せばOKというのは十分納得がいくものだったと思う。
またもしこれが一本のゲームとして出されていたら、イマイチ乗れなかった気もしなくもない。分割して一つ一つが計量だからこそ、最後までテンションを保つことができていたという面もある気がする。そういう盤外戦も評価できる点かもしれない。4分割と聞いたときには途中で倒産しないかなと不安になったが杞憂だった。
とはいえ、能力バトルとしての熱さが上に挙げたような不満を十分にカバーしてた。
主人公がタイムリープをする能力者と闘うというのは最近「コードギアス復活のルルーシュ」で見たのだが、それよりも断然よかった気がする。(そういえば作中で言及されてましたね)
往年のエロゲファンにはいろいろダブって見える部分もあるのかもしれないが、CGの綺麗さといい古来より伝わるノベルゲームの魅力を現代向けに十分リファインした一作ではないだろうか。
以下メモ
・ジ・オーダーを使うのに本来の自分と接続する必要があるのはなぜ?
まあジ・オーダーが世界を超えて攻撃する性質がある以上、攻撃する側も接続する必要があると考えるのは当然
・未来のイーリスはオーバーロードで復活できない?
持っている本人が使っていると復活できない。9であるプレイヤーが持っていたから翔は何度も死ねた。逆にジ・オーダーでプレイヤーへの攻撃が通っていたら、終わっていた。