エンタメとしては地味だが心に染み入る感覚がある。障害と看護、マイノリティの在り方なんかを考えさせられる。
ギャングもの。登場人物は多いが、いつものように思考をそのまま引き写したような自己問答に満ちた文体は心の中にすっと入ってくる。
今回の作品で殊更に目に入ったのは障碍者と看護するものの心情を描いた部分だろうか。余り想像したことがなかったが、愛憎混じった心情がリアルに描かれているように思った。またタイプBを発症し正気を失ってしまった患者が、奇跡的な回復を遂げるといったパートが物語の中盤に挟まれるが、ここの描写も良かった。