ErogameScape -エロゲー批評空間-

waravimさんの恋×シンアイ彼女の長文感想

ユーザー
waravim
ゲーム
恋×シンアイ彼女
ブランド
Us:track
得点
74
参照数
650

一言コメント

Last Episode以外は平凡。Last Episodeはこういうのもアリだと思います。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

星奏ルートを読むためにプレイ
読み進めるうえで極めて苦痛に感じたのは、ポエミーな世界で繰り広げられるセクハラ展開である、今どき、ヒロインにスリーサイズを聞いて回って、水着コンテスト、あなたの胸が好きです、憑き物を月の物に空耳。。。あまりに直截的でつまらない下ネタです。
エロゲなんだから別に現実的な性モラルが必ずしもある必要があるわけではないとは思うが、恋カケは全体的に文学的な空気を漂わせる作品である。気持ち悪いほどポエミーな主人公から中年のおっさんみたいな性意識が滲み出ているのはノイズに感じた。性をやるならもっと気持ち悪い葛藤とかをしてほしい。文学少年なんだから。

問題の星奏ルートについては、創作者同士の関係性というのが新鮮で面白かった。星奏はインスピレーションがあれば作品を作らずにはいられない、そしてそれ以外のものにエネルギーを費やすことができない。一方で主人公は誰かに捧げるような作品しか作れない。結局彼らが結ばれてしまえば、作品が作られることはないのでしょう。ゆえに決別は必然であり、悲劇的ではあるけど、美しい関係だと思いました。
まあ標準的なギャルゲーであれば、星奏のグロリアスデイズにおけるトラウマを解消することで、二人が結ばれるというのが普通かもしれない。一方でトラウマというのも人を構成する一つの重要な要素な気がして、それを通して形成された人格を認めるというのは一つの他人を尊重する道であると思います。そして新島氏の作品は悲劇を「受け入れる」ことが前進するために必要だというテーマを繰り返し書いている気がして今回もそれに当てはまるのかなと思います。