詩野ルートだけは少し面白かった
Re:callに惹かれて購入。しかし期待外れだった。
「未来を変えることができないが、時を巻き戻せる」という設定があまりに活かされていないと感じた。
このような設定があるのならば、巻き戻しによって修正したい結果は変わらなかったが、ループの過程で何か別のものをつかみ、そのことがよりよい未来につながるというような筋書きになるのかと思った、すなわちループの過程で成長や価値観の変化を起こす主人公というものが見たかった。しかしそのような変容はあまり見受けられず、単に繰り返しただけという印象を受けてしまうルートが多かった。
まず百合の間に挟まる話については攻撃を避けるのにしか使っておらず普通のループと大差がない。カレー屋の話は特にループの助けを借りる必要性がないだろう。
詩野ルートについては巻き戻すことによって正しく失恋するという結果を得ることで、詩野にちゃんと向かい合うことができている。これは一見最初に述べた期待に沿っているようにも見えるが、結局「失恋のやり直し」に成功しているという見方もできて、やはり普通のループと変わらない印象を覚えた。
とくに主人公が一回の巻き戻しであまりにあっさりと問題を解決したことに拍子抜けした。主人公はループの過程で漣さんの死を看取ることもせず、漣さんの忠告をあっさりと受け入れるだけで、主人公の在り方に変化がほとんどないように感じた。漣さんの説得と子供の死を見て、主人公は巻き戻りをせず後悔をしない生き方をしていくことが必要だと気付いたというロジックなのだろうが、これがとても弱いと思った。挙句の果てそのあとは5年間ボーっと旅をしていて何を得たのだろうか…。
唯一藍里のルートは、変えられない現実を受け入れたうえでどう進むかという話が示されていてよかった。藍里との会話が無限にナンセンスな会話が続き苦痛だったが。
とはいえ、詩野の一週目で詩野とちゃんと向き合っていないことを指摘される部分はかなり盛り上がった。だからこそ、主人公はより成長し、誠意をもってヒロインの死へと向き合ってほしかった。また脈々と受け継がれる時計を普通に捨て置いて終わりという結末も片手落ちな気がする。結果的により良い結末を得ることに成功してしまった以上、この「呪い」のようなものは捨て置くべきだと考えたのだろうか。しかし、時計によりよい結末を得た以上、誰かにその力を託すべきだと感じた。ここら辺も物足りなさを感じた要因の一つ。
雑感を箇条書きで
・旅人という設定が浮きすぎ。国崎行人かよ…。あとED後旅を続ける意味もよく分からない
・できない「私」とはなんだったのか、なんかここが伏線だったら面白かった気もする⇒漣さんのことではという声があった
・キーアイテムの時計に関する演出が貧弱すぎる。
・微妙にハッピーエンドを望む声があるが、むしろハッピーエンドになってしまったら凡百のループでは?
・時計についての考察。この時計は「『望んだ』結果は得られない時計」なのかなと思った。一週目で詩野の願望が「生きたい」だと考えたからこそ、二週目では違う結果が得られたということではないかと。まあゆめルートでの使い方的に微妙かもしれない。実際このような形で明確に言語化が作中であれば、より設定が効果的に活用されているという印象があったかもしれない。
・主人公がろくに巻き戻しを使わないのは5年の経験があるからこそなんだろうけど、そこの感覚がプレイヤーとずれてしまっている。風船をとるとかそういうしょうもない部分でなく巻き戻しを使いその無力感などが示されるべきだったのでは
・未希のクイズ設定もなんだったんだ。。。
・いろいろと批判を書いたがXX:callingやRe:callが良いのですべてを許している。MVだけでいえばエロゲ界でトップクラスであろう。その他のBGMもなかなか。