冗長なWafter,After構成、カタルシスを感じられない展開、広報に比べて貧弱な素材量。ファンでも厳しいのではないかという出来。
まず内容的に被る部分が多いWafter, Afterの構成が謎。繰り返す必要ありました?
After編後半の部分は多少は読みごたえがあったが、主人公とヒロイン二人の問題がイマイチ解決せず、なんとも肩透かしな印象を持った。理樹が将来の夢に悩むみたいな問題も解決せずに終わっているし、しかも最後の最後の問題を解決するのがクド自身ではなく、氷室さんという何ともカタルシスを感じられない展開。
展開もマイルハイロケットづくり⇒それを氷室が妨害⇒なんとなく和解みたいな経緯を踏むのだが、ロケットづくりを妨害する氷室の描写もそれの解決も何がやりたいのか分からず全く面白くなかった(もしかしてギャグパートのつもりだったのだろうか?)
マイルハイを目指すモデルロケットづくりも、もっとアセットを増やして現実感のあるつくりにしないとイマイチ技術的な会話が上滑りしているような印象を受けてしまう。Keyはファンタジー色が強い作品を作っているので、こういう側面の描写力は貧弱なのかもしれない。
後半、宇宙ステーション関連のミッションの話は悩んでいる時間があまりにも長すぎるわりに、悩みの描写もなんともテンプレじみていて文章の妙味や演出の強さのようなものも感じなかった。解決策については述べた通り。モールス信号でメッセージ送るなら色々と手立てはあるだろうなみたいな野暮なツッコミも考えてしまう。OPの風船が伏線だったことには多少驚きがあったかもしれない。伏線関連でいうと、それだったらビデオ通話できるノートPCが特に使われずに終わったことが驚きだった。クドが直接世界の人にメッセージを送って、気球を飛ばすとかそういう展開だったら最後のカタルシスはだいぶ違っただろうと思う。2010年にはそういう想像力はなかったかもしれないが。
なんにせよ、アセットは貧弱、シナリオは繰り返しの冗長さもある、結末も弱いなど総じてクオリティの低さを感じるゲームだった。
音楽は結構よいので、サントラを買ったものと思えばまあいいかもしれない。電波ソング感のある『one's future』もしっとりとした『星屑』も結構好き。