今プレイしても異質な妹ゲー。暗く切ない作品が好きな方は是非。
黒幕が妹であり、兄vs妹という構図になるのは、非常に面白い。
妹を女としてみれない兄、女として愛されたい妹の意地張り合い、負けられない戦いがそこにある。
当の妹√では、最終的に本人と結ばれずに終わるという非常に尖った展開になる。しかし、決して妹ゲーとして失格という訳ではない。好みは分かれるが、兄に狂う妹を存分に堪能できたので、妹好きとして非常に満足のいく内容だった。
妹と結ばれる事の何が悪いのかわからない…そんなエロゲユーザーに冷や水をかける挑戦的なシナリオと言える。
主人公が絵麻を拒絶した理由として、妹である事の他に、彼女自身の変化があると思った。
絵麻は理想の未来の為、世界を繰り返す内に、精神が疲弊し変化してしまった。主人公は理由がわかずとも、そんな彼女に違和感を覚えていたのではないかと思う。文中にも昔と比べて雰囲気が変わり、笑顔がなくなったと言及されている。
相手の気持ちを無視したエゴイスティックな行動では報われない。ある意味、至極当然と言える結末だったのかもしれない。二人で完結できない友情ENDの流れは、個人的に好みではないはずだったのだが、本作では納得してしまった
他には一葉√が一番好み。双子ものとしては王道ながらも、構成が巧みでシナリオの完成度が高い。彼女自身の複雑な内情も、上手く描写されていたと思う。隠れ妹属性という点も、ポイントが高い。
サブキャラでは、三木村が印象的だった。倒錯したマザコンであり、主人公の失敗した姿とも見れる所が面白い。
キャラクターの殆どは闇もち。陰鬱な空気が常に続くが、たまに木之下などのコミカルキャラで笑わせてくれる。
彼が唯一登場するCGは、インパクト絶大で忘れられない。
本作の大きなデメリットは、とにかくシナリオが理解しにくい点に尽きる。
基本的に説明不足なのに加え、時系列が頻繫に変わるので、シナリオを追うので精一杯。初見で理解できる人間はほぼいないのではと思う。
とくに千尋関連の話は、彼女の特異的な立ち位置も相俟って、非常にわかりにくい。サンデーとは一体なんだったのか。
妹ゲーとして挑戦的な作風だったが、それが上手く作用していたので面白かった。本作の暗く切ない雰囲気も好み。絵麻は今後忘れられない妹キャラになりそうだ。