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wakaepicさんのお嬢様はご機嫌ナナメの長文感想

ユーザー
wakaepic
ゲーム
お嬢様はご機嫌ナナメ
ブランド
ensemble
得点
82
参照数
144

一言コメント

お嬢様方とのイチャラブを期待してプレイしたが…クセのある作品だった。やや辛口の感想。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ensemble作品は初プレイ。お嬢様ものを得意としているキャラゲーブランドというイメージで、パケ中央にいるジト目の女の子が気になり購入。ライトなイチャラブゲーだろうと想像してプレイしたが、思ったよりクセのあるシナリオだった。

攻略順は透夏→音羽→誌綾→七波→花。この順番でほぼ固定と言っていい内容になっている。そういう意味でもシナリオ寄りのゲームだな。

ヒロイン毎にちょっとした感想。
透夏、音羽の個別はトップアイドルを目指すという異色のシナリオ。10億の件は放っておきマネージャーになって奮闘する元が見られる。正直何をやらされているんだと思いながらプレイしてしまった。

またアイドルものとして面白いかと言うとそうでもない。尺の都合上とんとん拍子に売れていくので全体的に薄味な印象。
特に音羽√での全世界生中継は寒かった。結局雪小路の利権を使いステマしているし、作品の主旨的にこれでいいの。権力には権力ということか。

一番の問題は共通からアイドルパートにいく際、音羽を強引に使い過ぎている点。傍若無人な自己中女化しているので、これは彼女にヘイトがたまるよ…個別に入ると良い子なのがわかるだけに勿体ないと感じた。正直こいつ見ると腹パンしたくなる。

あとこれは自分だけかもしれないが、透夏の立ち絵を見ていると髪型がボブに見え(とくにバストアップ時)ロングである事に終始違和感があった。詩綾と被るから長くしたのだろうか。

他ヒロインのシナリオでは七枷家が凋落し、鶴美との関係や元の過去に関する事などが徐々に明らかになる。所謂メインシナリオと言っていい内容。

個人的に一番好きなのが詩綾√。エロゲーならではの変態シナリオ。元は詩綾の秘密を知ってもすぐに受け入れずに、まず変な女と認識している点も良かった。調教されているのは一体どっちだ。
下ネタだけではなく、詩綾詩音の姉弟が各々成長していく展開も熱い。詩音は良いショタ。一番爽やかなシナリオじゃないかな。

七波√はマネーゲーム盛り盛りの内容。正直経済戦争は面白くなかった。全生徒を巻き込んだゲームと言っておきながら、実際ゲームを動かしているのは数名。株価の変動も過去事例をなぞっているだけで、マネーゲームとして見ても完成度が低い。
結局七波お嬢様が全てを持っていくオチはタイトル通りと言えるが、結局なんなんだよとも思った。
なんだか本で学んだ株の知識を浅く披露しているような恥ずかしさを覚える。

あと気になったのがラストの元によるモノローグ(本編より一部抜粋)
「いい悪いは別として人と人の間には格差があり、事実として底辺へ置かれてしまう人間がいる。」
「そして、彼らは彼らの日常を生きている。」
「なら、それを支える場所が必要だ。」
この作品後半になると「驕り」という言葉が度々でてくるが、一番驕っているのはシナリオそのものだろと言いたい。

七波お嬢様自身はとても好きなキャラ。敢えて変な声色を使った崩しの演技が絶妙で最高。少しやりすぎ感もあるが、桐谷華の演技幅には恐れ入った。

花√は彼女自身がとても可愛いので、妹好きとしては満足のいく内容だった。
問題のシナリオ、とにかく鶴美がマジ不憫で心が痛くなった。。これ胸糞シナリオじゃないか。一応ラストで綺麗にまとまったとは言え、悲しさが勝ってしまい全然感動できなかったよ。
鶴美は攻略できないのが惜しいくらい、トップクラスに好きなキャラ。病んだロリママいいよ。

この作品、反体制だったり行動しない者への批判といった要素はあるものの、全体的に薄っぺらく感じてしまった。ただ知識を羅列しているだけというか。
イラストのクオリティが高く(SDキャラは四角くてイマイチ)キャラも立っているだけに、もっとヒロインとのイチャラブ要素が欲しかったな~体感半分くらいは突っ込みどころの多い経済パートで埋められていた印象。