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wafuwafumasakiさんの桜舞う乙女のロンドの長文感想

ユーザー
wafuwafumasaki
ゲーム
桜舞う乙女のロンド
ブランド
ensemble
得点
50
参照数
1854

一言コメント

色々とひどい

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一番酷いのは、妹の設定。
①主人公の女子校編入のダシとして使われる上に、本人もある意味それを望んでる。
②体が弱い設定なのに、兄に相談すらせず桜花会に入る無謀さ。
③兄が誰かと良い関係になりそうになると、やきもちを焼く我侭。
3つめは単体であれば萌えるんだけど、前2つがあるために個人としてはマイナス面として映った。
簡単に言ってしまうと、あざとく自分勝手な人。
企画者かライターが妹属性嫌いなんですかね。

女装理由もなかなかに酷い。
妹のサポートという名目はあるものの、本人も作中で言っているようにただ着せたいだけ感があまりにも強い。
本気で妹の心配をして、そのフォローのために桜花に入れるなら、菊花に入れずに最初から桜花に放り込むべきだと思う。
その後、自身が桜花会に入るきっかけもだまし討ちで、常人なら人間不信に陥って良い。
あと、最初に女装した時にグラが無いのは悲しい。

共通ルート部分もやや微妙。
学校での授業やお出かけなどの日常的な部分より、電車での通学に割かれてるのが謎。
そもそも女子校の学生寮が、電車に乗らなきゃいけないほど離れているってどうなの?
このゲーム、企画が悪いのか、ライターが悪いのか、どっちもなのか。

分岐後のルートの短評

まずはまなみ
二重在籍の設定を活かしつつ、シンプルにまとめられている良ルート。
自分達の行いを反省し、菊花の生徒が桜花の生徒達を助ける側になる展開自体は悪くない。
悪くはないんだが、それを転校生な上に、ろくに登校してない1生徒に諭されるのはどうなんだという点は残る。
また菊花生として何度か男の姿で桜花へ訪れているのに、ほぼ誰も疑問に抱かないのは謎。
名前変えてたり、ありがちな名前ならともかくね。

続いて桜
ヒロインからから好意を寄せられるルート。
ルート自体はいまいち謎な展開のまま終わり、不完全燃焼。
桜花祭で忙しい(シナリオの都合)とはいえ、あの状態の人間を登校させるのは人としてどうなんだと。

3番手は美月
名前の勘違いや、女装バレ後の行き違いはシナリオ的には普通というかありがち。
ただあそこまで怒ってたわりに、あっさり許しすぎなのはちょっと微妙。
あとはラノベにシナリオを割き過ぎなのが残念。
その分もっとキャラ同士の交流などに、文章を割いて欲しかった。

4番手は若菜
体はそれなりにメリハリがあるのに、ルートは山も谷もなし。
夜歩き回ってた理由も、その後の展開もほとんど中身がなく、タイトルまで戻った時に思ったのが「そんなばかな」。
これなら最初から妹ルート入れておくか、お友達のほうを攻略できたほうが良かったかも。
実は良い子設定も、無理矢理後からくっつけた感じしかしない。

5番手は涼香
まなみと同様菊花を絡めていて、ルートとしては悪くない。
ライバルポジの元生徒会長も、比較的良い味出してた。
このルートの不満は友人。
転校生と自分が好きになった女子の名前が同じ不自然に何の突っ込みも無く、この点だけは確実な破綻といえる。
最後はビンタした上で抱きついても良かった気はするが、頬にモミジのついた葵を寮に帰らせるわけもいかないので致し方なしか。

妹ルートは除外
本編の扱いがあるため、数値化の対象にあまりしたくない。
それはどうあれ、本人たちが幸せであるならそれで良いんじゃないかと。

シナリオゲーとしては正直落第点だけど、個別ルートがなんとか見れるのが救い。
萌えゲーとしても、コメディとしても力不足だから、評価する人によってはとんでもなく低い点数が出てもおかしくないデキであるのは確か。
当時、乙キャンと同時に購入したのもあって、1度まなみクリアと若菜の途中で投げ出してました。
主人公は可愛いのになあ。

この作品を一言で切り捨てるなら『導入は大事』。
ブランドとしての方向性見失いかけてたのかな、と感じた。

根幹35点、まなみと涼香のルートで合計15点。
ensenbleの作品の中では個人的にお勧めできないほうかな。



追記で色々と作品の愚痴を

正直な話、キャラゲーだからこそ、キャラの一貫性って大事だと思うんですよ。
その点で絶対的に許せなかったのが妹の祐里。
お兄ちゃん子なはずなのに、自分のために無理矢理女子校に通わされてる葵に一言も相談せずに、桜花会に入るってのはいくらなんでもヒド過ぎ。
シナリオの都合とはいえ、プレイする側には『裕里の行動として映る』んですよ、それは。
あんな自分勝手な行動をする人間、普通なら嫌われます。
自分にはヒロイン像としての特定の属性がないので、そのキャラの言動、行動の一貫性で好き嫌いが決まります。

それに、葵が桜花会に入るくだりも変。
まずはあれだけいて、誰も聖の暴走を止めなかった事。
共犯の珠音はともかく、涼香あたりはその時点でツッコミ入れるキャラでしょうが。
あの辺を聖と葵の会話だけで済ませようとか、手抜きとか言う以前の問題。
しかも入ると決めた時点でハイテンション系のBGMにして、その直後の自室で落ち込み系のBGMで「どうしよう」とか、舐めてんの? って感じ。
特にたいしたことのない所で鳴らされるハイテンション系のBGMには、何ヶ所かでイラつきが止まりませんでした。
このブランドの初作品がこれだった場合、ほんとご愁傷様ですとしか言いようがない。

まなみルートも良かったほうだったとは言え、やっぱり最後まで名前が伏せられてる意味が謎かな?
まなみと堺がサシで話してる時に聞けただろうと(電話の時なんかも含めて)。

若菜ルートを評価していないのは、彼女のキャラ性ではありません。
彼女に起こったイベントを見ても、彼女に対して葵が恋愛感情を抱くほどの理由が見当たらないためです。
恋愛感情って、人間が抱く感情の中ではかなり強烈です。
長く付き合っていたキャラならともかく、1ヶ月くらいしか付き合いのないようなキャラ相手に、あの程度で恋愛感情を抱くのはかなり無茶です。
他のキャラではその辺が描かれてるのに、若菜だけはその点かなり雑です。
そこまで無理してキャラを用意しなくても(例え下級生キャラが0になったとしても)いいと思うんですよね。

ensenbleはほぼやっていますが、下級生系キャラでシナリオが比較的まともだったのは、キャンバスの幸と、エッセンスの芹香くらいですかね。
まあ実際、涼香を除けば全員年下ではあるのだが。