閉鎖社会と人間の恐ろしさを描いた、現実的作品。
「ひぐらし」の現実版として語られる事も多い事からわかるように、基本的に現実でも起こりうるストーリー。
「つくとり様」という、(統治)手段としての神を巡るお話。
社会から隔離した山村という、ひと昔前なら十分あり得るような状況下において、法の代わりのルールとしての「つくとり様」。
物語が進むにつれ、村の歴史や登場人物の過去・背負っているものが予想以上に重い。
選択肢を無くし、(一部で三つある√の先後を選べるが)一本道でシナリオ重視で作られていたのは個人的に嬉しかったです。
だんだんと全体像が明らかになってゆく作品だからこそ、中盤が最も面白かったのはしょうがない面もあるかと思う。
といっても、ラストがなるべくしてなる予想通りのエンドだったり、
泣きを求めるために非現実的要素が目立ったり(湖での綺子とのシーン)と、徹底しきれていなかったのが残念でした。
そして、物語序盤からの伏線としての「アレ」も、(『車輪の国』と比較すれば尚更)大した衝撃を受けなかった点で、後半のドキドキ感が足りなかったと言わざるを得ない。
しかし、総じて背景までよく練られたシナリオだったと言えよう。
個人的には弥生の顔で髪に隠れた部分など、典型的であっても意味ある容姿・姓名などをより強く打ちだして欲しかったが。