ノベル「ゲー」という演出方法の活かし方が素晴らしい。ゲーム性はほぼ皆無（日記を用いた進み方は特殊ではあるが、一本道に変わりなし）ではあるのだが、「魅せ方」の巧さが光る。特筆すべきは強制オートの使い方及び構成。3時間程で終わる課金可能なフリーゲームであるし、ネタバレなしに多くの人にプレイして欲しい作品。
ストーリー的な素材でいえば「あぁ、結構見るよね」っていうものであるが、その料理の仕方が良いですね。
※ありきたりとはいえ、（少なくともエロゲをメインにやっている方は）食傷気味になるようなシナリオではないと思います。
ギミックの凝り方から始まり、伏線回収へと向かう収束の仕方、何より続きが気になる読ませ方。
テキストは読んでいて疲れることはないながら、（演出とかみ合って）惹くつけられるもの。
内容の濃い3時間でした。
ボイスなしということもあり自分はそれなりに早いペースで読み進めていたのですが、強制オートのじれったさといったら（笑
しかも強制オートのスピードにも変化がつけられており、続きが気になって仕方ないのに読めないもどかしさが倍増していく。
こういった演出ができる。まさにノベルゲーの強みだと言えます。
他の作品も強制オートを始めとした演出面で頑張って欲しいです。
確かに立ち絵がコロコロ動く、CGが綺麗などはキャラの魅力を引き立てる手段として素晴らしいです。
それはそれとして、所謂シナリオゲーには「シナリオ及びテキスト」の良さとともにその「魅せ方」にも拘りを見せて欲しい。
その点、本作は見事であったと言わざるを得ない。