意思と言葉を切り落とされ、無個性を強いられた主人公はそれでも、見に染み付いたギターと男の象徴を奪われはしなかった。足をひっぱるテキストなどものともしない高品質なアニメーションを全面に打ち出すエロに驚嘆するも、儚く薄っぺらい物語に、スキップ不可の自慰臭漂う室内移動、何十人もの声優による謎のTVshow、極めつけにはミク様の歌声を。
ミクが好きな方ごめんなさい。エロゲの感動(っぽい)シーンで
機械音がこられてもちょっと・・・
本作のウリは(エロ)アニメですよね。
ホントにこれは凄い。
一枚絵のCGと比較すれば尚更、かなり手間もかかっているのでしょう。
だからこそ、他の面(シナリオ、テキスト、システム、音…)は
敢えて脇役となる必要があると思うんです。
この点、FFD(≒動く漫画。原画数とシステムの負担が大きい)をウリに
した「Quartett!」という作品があるのですが、
それはテキストは短文に(漫画は短文でサラッと読めるものが主流ですよね?)
シナリオは広げすぎずコンパクトに(本作と同じく尺長いのは無理)。
FFDというウリを上手くいかしてるなぁと感じたのですが、
本作は欲張り過ぎたor噛みあわせられなかった印象。
まず、3D移動は無駄な労力割きすぎ。
「媚肉の香り」も3D移動があってそっちもめんどくせーとか思ってますが、
あっちはまだ移動の高速化と、移動中における出会いや会話もあるのでまあ意味有ります。
が、本作は高速化もなければ、ただ部屋に行くのにちんたら歩くのを見せられるだけ。
アホか。
あとTVの意義って何?雰囲気作りだけ?
その分、春香や千夏と会話していたほうが良くないですか?
ホントはもっと絡めるつもりだったのではないだろうか。
実際ちゃんと絡められたのは一箇所だけ。あとはどうでも。
次にシナリオについて。
記憶喪失及び前向性健忘症と叶わぬ恋、題材は儚い。
儚いが、「エロ入れなきゃ!」から来るキャラの感情の機微が雑。
記憶がなくても変わらない?まともにしゃべらなくなってるのに?
結局顔か。いや、ギターは「主人公=主人公」であることを語る、か。
春香は一人想い出をもって、現在の主人公を塗り替え、その身体に溺れる。
現在の主人公からみたら、据え膳のチャンスじゃんとしか見えなくないですか?
なぜなら、自分の記憶に問題があることも伝えられず、大して会話もしてないのに
なんか知らんが慕われてる。ラッキー。お母さんもエロかったしな!
千夏は過去の主人公も深いつながりがなかった(だろう)し、今の彼は言わずもがな。
だからこそ顔に、ギターに、その雰囲気に惹かれるのは良い。
「来世では・・・」と思っていた告白の機会が唐突ながら訪れる。
中々切ないじゃないか。
けど主人公てめえ、いつ千夏を好きになったんだよwww
そして気遣いの欠片も見せない、お人形さん扱いのエロ、カッコイイナー。
スクイズの誠並に殴りたくなっちゃったよ。
確かに過程度外視、設定押しのエロエロにするならそれこそエロアニメでよい。
(例えば「花粉少女注意報」)
ちょっと重めの読ませるシナリオは媒体がエロゲーの方が活きる。
けどエロに対する初心さ・照れは見せても、物語に即した儚さを出したエロはなかった。
もっと軽めの話ならイチャラブを取り入れやすかったし、
それこそ記憶喪失を使わなずに愛人的位置の千夏、そして三角関係でも
ハーレム構造でも良かった。
キャラを好きになれるか否かはエロシーンでの満足度にもつながる。
もっと上に行けたはずなのに、それを逃した。そう思うんです。
また、「パッと感じる切なく儚い雰囲気」は確かに出ている。
が、それも美麗な採光、背景で充分。というかそっちがメインの働きをしていないか?
結局、"ウリ"を活かせていたかというと、不満が残る。
最後、テキスト及びエロシーン。
主人公の独白、それとヒロイン達との会話が主体となるエロゲーにおいて
ここまで意思剥奪される主人公は珍しい。
ホントに言葉少なく、内心を表すテキストもない。
だからこそ、ギターと、すぐおっきして何発でもいける巨根の主張が効く(笑)
エロシーンのテキストは同じような喘ぎばかり。自動リピートがある分マシだが。
確かにぬるぬる動くアニメーションとねちっこすぎる文体は合わないだろう。
だけど声優さんの演技に頼りすぎ。喘ぎを一辺倒にするなと。
それでも、アニメーションはそんな欠点など歯牙にもかけない。
筆頭は、隙のないぬるぬるした動き、立ち絵でもコロコロした表情を見せる千夏の
初々しさ、体位・構図の多様さか。
シーン数は7回と少ないし、服の上からもはっきりと分かる乳首は好き嫌い分かれそう。
また、卑語はないが、多少アヘに見える表情やねばっこい舌が(自分は好きではないが)、
ソープ嬢?顔負けの絞りとるフェラが、フェティッシュなエロさを出している。
7回とも気に入らない、とはなりにくいんじゃないだろうか。
因みに、お母さんは未亡人らしさ皆無です。エロ要員。
これ、売らずに取っておくなら高い買い物ではあるが、
でも一見の価値は確かにあるアニメーションでした。