ErogameScape -エロゲー批評空間-

violinsさんのもしも明日が晴れならばの長文感想

ユーザー
violins
ゲーム
もしも明日が晴れならば
ブランド
ぱれっと
得点
91
参照数
491

一言コメント

明穂を好きになり、感情移入できれば名作となる泣きゲー

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

初エロゲー作品。なので思い出補正もかかってます(汗

●総括
もしらばの魅力は何と言っても明穂の存在。今まで(30本程やってます)で最高のヒロイン。ここまで完璧なヒロインというのも珍しく、欠点が見当たらない。
西田こむぎさんがかなり好きになりました。
そして、泣きゲーとしてあまりに有名な作品。明穂が好きなこともあり、最初から感情移入度が高すぎた為、(無駄にエロゲな)4.5章以外全て泣いてしまったという・・・
シナリオ全体としては平凡な印象を受けるが心情描写が丁寧であり、くすくす絵と何よりBGMと合わさって、ひとつの楽しくも切ない世界観をつくり出している。

攻略順:明穂→つばさ→珠美→千早
シナリオ:つばさ>明穂>千早=珠美

●付記
 つばさ√:シナリオとしての出来は圧倒的。丁寧な心理描写で不遇な子故の感情を上手く表せている。昔から明穂・一樹の関係を間近で見ているが故に、思いが叶った時でも信じることができず、歪んでしまう。自分の中の汚い思いを感じ、嫌悪しながらも一樹を想う気持ちは止められない。明穂になりすましてまで(成りすますことでしか)一緒にいられない悲しい思い。姉妹・兄妹・家族という密接な関係との絡め方が好印象。

 明穂√:共通√の一場面ですが「夏」と「非実体」を巧く掛け合わせた屋上のシーンには見事にやられました。実体を欠く存在が取り残されてゆく様を「夏休み」――明穂が夢見、明穂の死で灰色のもの――に関連付けたことは見事。個別√は、その屋上の選択で判っていたことだが、陰鬱な雰囲気が漂う。そんな中にあっても想いだけは変わらない。きれいな纏め方でした。・・・分かっていたことだが、最後の超ご都合主義はまぁおまけ感覚で許容すればいいかと。

 それにしても、ドラマCDでみせる明穂と一樹のバカップルぷりは半端ない(笑)
明るい・幸せの絶頂にいる明穂には完全に打ちのめされました・・・一樹が羨ましい限りです。