手放しで幸せに浸れる作品ではないものの、一種の幸せは感じられる。安心のグロさもエロさも話の面白さも兼ね揃えた正当派FD。
人間らしい麻由と、吸血鬼の色濃い麻奈。
双子でありながら、単に性格の違いでは片づけられないほど異なる思考・行動に恐怖を覚える。
異質。
麻奈は狂気に囚われている。
じゃあ、麻奈から見た人間は狂気に満ちているのだろうか…
「狂血姫」
マイブラ本編においてしずると沙希は結ばれることができたが、それは過去があってからこそなのか。
どうやっても越えられない壁というものも、あるのではないか…
時に、片方を選べばもう片方を失ってしまう。
そんな切なさ。やるせなさ。
血と肉に満ちた世界だからこそ、一個人レベルの人間らしさが際立つ。
こういう面はさすがBlack cycといった所。
BGMの落差がまた心に沁みる。
メインストーリーの「支配者の為の狂死曲」は本編と大差ない出来。
エロを組み込みながら、しずるがヒロイン達を配下にし、反逆を試みる。
新コスチュームあり、新BGMあり、嫉妬あり、痛みあり。
男性ボイスがないのがやや悲しいが、それでもしずるが本編以上に吸血鬼として活躍してくれたので満足。
シーン数30
END数10
CG82枚＋SD18枚（差分含まず）
攻略はかなり容易になっている。
「仮面の裁定者」が分かりにくいくらいで、他は難なく行けるかと。
2ヶ月ほどで作り上げたとは思えないクオリティ。
「仮面の裁定者」に見られるような、グロテキストも巧い。
絵で表現するのも一手段だが、テキスト単独でグロさが伝わってくるのもなかなかどうして。
見事に気持ち悪くなれましたっ！（汗
今作は「支配者の為の狂"笑"曲」も用意されているので、後味悪く感じたらお口直しでも。
何度か「ボイス数が限度越えて大変だった」みたいな話を聞くので、ソラが「あと8回しか喋れないんです」みたいなメタネタがまた光る（笑）
FD本編の他、設定資料集がまた楽しい。
＞下プロットにあるIRONMAIDENの話は和泉氏にとって意味不明だったのか、実際のシナリオではすっかりスルーされていた。がっかり。（上田メタヲ）
などの裏話や、初期プロット、SS集、スタッフコメントなどなど。
ゲームって1人で作ってるものじゃないな、と再認識させられる。 （※LAST WHITEのような例外もあるけれど）