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violinsさんの黒と黒と黒の祭壇 〜蠱毒〜の長文感想

ユーザー
violins
ゲーム
黒と黒と黒の祭壇 〜蠱毒〜
ブランド
C’s ware
得点
70
参照数
505

一言コメント

悪魔・正邪・英雄・堕落・愛憎・神。硬派なファンタジー世界と俗物的エロス・調教による堕落というのは王道であるが、一段上の高みから物語を構築するチッセたんの妖艶で含みのある微笑み・セリフと、それとの対比で際立つ彼女の主人公への献身・臆病さが物語への興味と嗜虐心をくすぐる。CGもサブキャラの活躍もバトル描写もエロシーンの尺・質ももの足りないが、「王道」としての良さは充分出ている。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

メガストア版、7の64bitでプレイ。システムに「未読スキップ」の設定があるが、止まってくれなかった。
ホイールで読み進める機能なし。バックログはホイールで可

音声3~4割ほど聞いた時間。「クリック後もボイス継続」なし
5:41/チッセ
0:20/ベアトリーチェ
0:10/レアル
1:56/True

計:8時間7分


※注意点
ゲーム全体を通してチッセが主人公に次いで一番出番を与えられていると思うが、
エロは3回のみで最も不遇な扱い。


「英雄」であった主人公が、聖女による神託によって「逆賊」と見做され、チッせたんに誘われて
復讐するお話。
色々着飾ってはいるけど、王道街道まっしぐら。たぶん。


上げてから落とす。ゾクゾクするほど気持ちいい。
この展開はTrueにおける分岐にあるのだが、(非性的な意味で)すごく興奮した。
聖女様ってのがイラッ☆とするガキ臭い犬っころキャラであり、そのキャラ像からして加虐を誘い、
更にその前段階で「聖女」らしい包み込む愛が「非道な主人公」に対して描かれているのがまた、
落とす時の快楽を増幅させる。
True Endにおける擬似ハーレムぬるゲー的な終わり方よりもこのBadがずっと美しかった。

というかTrueは尻すぼみが酷い。
チッせたんの活躍場面・心情も(いちおー)壮大なバトルも、見応えがない。「敵」の不在。
ラスボスは三段階進化するような、絶望を味わうような、強敵であるからこそ達成感がある。
なのに。

主人公が「英雄」として復帰する、途中の場面は熱い展開だったから尚更END周辺がしょぼく見える。
このとき登場した、物語を引き締める男のサブキャラがさっさと空気となり霧散してたし、用意した道具を使いきれてなかった感じ。


最後。
チッせたんはダークな青山ゆかりなんだけど、好演であり配役の良さが光る。
エロとかイチャはないけど、主人公へぞっこんだから、へこたれた時のあまあま弱ボイス
とのバランスが素晴らしかった。