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violinsさんのNormalize Human Communicationの長文感想

ユーザー
violins
ゲーム
Normalize Human Communication
ブランド
むきりょくかん。
得点
66
参照数
256

一言コメント

Visual Flash Novel. プレイ時間は前編46分、後編58分。難病に侵された少女がアマチュアカメラマンに申し出るのは、遺影写真の頼み。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

私はFlashでプレイしましたが、DL版(フリー)もあるみたいです。
また、裏話がOHPに掲載されているのでプレイ後には訪れると良いかもしれません。



一言に書いたあらすじから想像がつく通り、死生観と生きた証・遺すものである写真を題材にした作品。
話自体はオーソドックスで、アマチュアカメラマンである主人公と難病に侵された少女が出会い、触れ合い、写真を撮っていく。
その写真が遺影になるかもしれないし、ならずに済むかもしれない。
そんな危うい関係にある二人のお話。



BGMもさることながら、句点をやや多めに用いることで胸に迫る雰囲気が出せている。
ED曲も茶太さんを起用し、泣かせる作品ではないけれど、それでもどこか傷を残す。
誰にでも当てはまる、「明日死ぬかもしれない」。
それを思い出させられる。考えさせられる。



「Normalize Human Communication」

標準化、正常化。
死の間際にいる鈴乃は、多くの読者にとって"異質"な状況にある(ように見える)。
病院という"日常"と、学校・大学・仕事などという"日常"。

「死ぬなら静かに死にたい」「死んだらすぐに忘れて欲しい」
「憐れんでいいのはお父さんとお医者さんだけ」
彼女の想いを表した、そんなタイトルなのではないでしょうか。