フリーウェア。プレイ時間40分。「それ=それ」として確定させないように意図的に靄をかけている為、ユーザー各々が意味を見出し読み取っていく必要があると思うのだが、(後半から)物語が意図せぬ方向性も持っていたことが分かり霞深き森の中に飛ばされた気分。
一言感想が途中で消えてたみたいです。多少文章変えて書き直しましたが、また切れてたらすみません。
一定の方向(「少女と成長」「不確定な性別」)がメインかと思ったら、予想以上に話が広がってしまってひどく消化に困る作品、と伝えたかったのだと改めて書いておきます。
※プレイ直前はOHPで人物などの情報を仕入れないでやるとより楽しめるかも。逆に、視界不良の濃霧に捕われかねないですが。
ノベルゲーなので基本的に文字情報に頼ることになるのだが、演出(散り散りの強制オートや画面全体を使った表現、存在感の強いBGM)が手伝って、
過度の情報を与えない(むしろ意図的に隠している)テキストからは無声映画を想起させる。
この主流から外れた魅せ方は素直に褒めたいところであるのだが、如何せん「霞に包まれた」表現というのは匙加減が難しい。
メタファー、どうぞ自由に使ってください。どうぞレトリックも凝らしてください。
ただ、読み手がいることもお忘れなく。
例えば人を指すとき「それ」とは言わない。
「彼」、「あの子」、「あのひと」などの言葉を使う。
その「彼」や「あの子」っていう言葉自体にまた、性別や年齢の要素が含まれている。
5歳の女の子に対して「あのひと」とは普通言わないように。
本作ではそういった言葉遣いに始まり、ペルソナであったり服装や背景、名前、場所等に意図的な「靄」をかけている。
従って、ユーザーは翻弄される。
しかも妖怪といった人外の含みまで出されたら尚更に。
「ムカシノバシ」という橋が出てくるが、橋は境目[境界]の、それを繋ぐものの象徴と言える。
彼岸と此岸、人の世と人外の世界みたいな。
物語のはじめ(開始10分くらいまで)の印象としては、
「子どもと大人の狭間」「おとこの子?おんなの子?」「今いるこの場所と橋の向こうの世界」といった部分を中心に描くのかな?と思っていた。
前半部分に人外要素なんて感じなかった。そんなの予期しなかった。(そう仕向けられた・そう望んだのかも知れないが)
だけれども。
※「シルル」(:願いを叶えてくれる人ならざるもの)は所謂神様と同じように考えていた。まさか実在するとは思わなんだ。
「九尾の狐」…ああ、何の比喩だろう。(流れ的に)男性を表すにしてもなぜ九尾?……え、そもそも違う?
あれ?登場人物のひとりが「人の姿をしているうちに~云々」と言っちゃったよ。
まあ、主人公:雨音が姿見に自分の姿を写したとき、まさに「廃墟に居る」って感じる場面もあったけど、
それは回想・イメージ・たまり場という捉え方を"勝手に"しちゃってました。
だから私としては不意打ち食らった感じ。
靄が掛かりながらも何本か見えていた道(=話の作り、展開)が、一気に(分から)なくなって迷子状態。
何らかの意味を乗せた上でこういう"広く捉えうる、一般的に確定しがたいもの"を出したのだろうが、そんな頑張って煙焚かなくても良くないですか?
一応最終的には、自分の中で"ある程度"の整理(このキャラはこういう存在で、こっちの子をこう思ってて…)は付けられた(つもり)。
しかし、何がやりたかったかが見えてこなかった。
「よどんでいる」。ああ、確かによどんでいるね。
でも、よどみの中に捉えて終わりって訳じゃない…よね?
うん、私には消化不良です。
残渣にはもやもやが一杯。
最後に。
40分という限られた時間で描くにしては煙に巻きすぎではありませんか?
※自分の理解力のなさを棚に上げてるって?
いや、全く返す言葉もないのですが、これもいちユーザーの意見として見てもらえれば。
とは言っても、霞の中から脱出できないユーザーは少なくない作品だと思いますが。