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violinsさんのSTEINS;GATEの長文感想

ユーザー
violins
ゲーム
STEINS;GATE
ブランド
NitroPlus
得点
70
参照数
798

一言コメント

物語単体では80点。しかしVer1.10では最終章のとある場面で強制終了(※「特定の機種」のみ)→Ver1.11→セーブデータ互換性なしのため最初からスキップ(2.5h)でフルコン。(必須環境は満たしているものの)推奨環境を満たしていない低スペとはいえ、メーカー側の落ち度で2度手間をかけさせられたので-10点。長文感想では80点とした理由を中心に。

長文感想

確かに面白い。テキストにさほど魅力を感じないにも拘わらず、続きが気になるように謎を配置したりそこそこ盛り上げたりしてる。
だが、自分なりの名作(85点以上)には届かない。その理由はBGMに大して魅力ないことと、心に響くモノがないこと。
伏線回収も大概が読めるものであったし、何より演出面で引き込まれなかった。



※この演出面についてグダっと述べます。
自分が巧いと思ったのは「車輪の国、向日葵の少女」の一番大きな伏線。(当時そういったものに慣れてなかったのはありますが)
演出的に言えば「ここに伏線張っといたよー」というフラッシュバック(しかも判りやすいものから気づきにくいものを両方ともを)する形。
これには完全に「やられたっ!」と思えた。

まあ、シュタゲは車輪ほど「1つ」の伏線回収に重みを持たせていないが、それでも「こうなるだろうなぁ」と思った通りに進んでいく。それは良いとしても「魅せ方」が甘いのが痛い。
例えば「泣きゲー」でなぜ泣くかと言えば、基本は力技。 自分がやった作品で言えば「もしも明日が晴れならば」「サナララ」「ロケットの夏」などなど。
BGMや挿入歌であったり、「死」を扱ったり、感情移入させたり、声優さんの演技(「Aster」の沙耶(CV青山ゆかり)など)であったり、ともかく先が読めても演出面で引っ張る。
奇抜さなどなくても、そこがしっかりしてれば充分感動できるし心惹かれる。

長くなったが、シュタゲはそこが弱い。先が読めた人にはそれほど心動かされない作品だったのではないだろうか。




要は、シュタゲをやっていて他作品に見られるような感情の揺れがなかった。
もちろん伏線回収というトリッキーさが全てではなく、キャラに惹かれたり何なりで物語に”のめり込めば”感動を得られたのだろうが、それもなし。
面白いとは思えても、ぶっちゃけキャラにしても物語にしてもそこまで魅力感じなかった。良かったのはクリスくらいか。
あ、声優さんは良い仕事してましたね。同じ声優さん方で萌えゲー作ったらかなり楽しそうだと思うくらいには。

※矛盾と取られる可能性があるので補足。
声優さん方は確かに頑張ってたが「キャラに魅力を感じていなかった」+「Aster並にそれ単体で魅せる演技はなかった」故にシュタゲは演出不足と感じた。
特に前者、感情移入がほとんどできなかった点は大きい。




また、のめり込めなかった原因として他に考えられるのが、6章でグダった点(運命を受けいれる件)と
フルコンが面倒な点(*1 ネタバレにつき後述)

難易度的には程良いのでは。選択肢ではなくメールというツールで複雑さを上げているなど、自力でフルコンする楽しさはある。
(とは言ってもストーリー追えればいいので2週目から攻略サイト頼った人間の言うことですが)



テキストに関しては2ch用語の9割方は判った(それでもなのか/せいなのか)が、笑えない、楽しくない。
クリスというキャラ立てとしては良かったが、それだけ。

また、最終章は特に説明過多。全年齢だという理由もあるのかもしれないが、テンポを阻害しているのも事実。
全体的に感じたことだし、演出面での話と被るのだが、基本的に「遅い」
「匂わせる→ユーザーは展開に気づく→*→オカリンがそこに気づく=多少の盛り上げ」
この「→*→」スパンがやや長い。これで驚け・感動しろというのはちと無理がある。

更に言えば、逆に説明しないで逃げてる箇所も(多少は)見られたかと(*2 これもネタバレにつき後述)




補足:自分が遭ったバグについて
・最終章での強制終了←Ver1.11で改善
・既読スキップ不可 ←  〃
・セーブ後、そのままゲーム画面に戻る→以前のデータや直近のセーブデータをロード:9割方強制終了 ※セーブデータは正常に残ってる
・@ちゃんねらーや雷ネット翔をスクロールするとしばしば止まる。強制終了にはならない
・一部Tipsの反応が遅かった。(@ちゃんねらー読んでた時)
(・ホイールでは読み進められない)















――――――――――――――――ネタバレ注意――――――――――――――――――
                      







*1 自力で1週→攻略サイトで2週、最初から頼れば2週だが、3章という早い段階での分岐が必要(らしい)
低スペのせいだろうが、スキップが遅い遅い。
一言に書いた通りVer1.10でできなかったせいもありtrueまでの99%スキップしたが2.5hかかった。
他の人は早いのかな?だとしたらこれに関しては自分側の問題ですね



世界の解釈とか量子論とかはさほど熱心に調べる気にならない分野なので、物語上ん?」と思った場面もあるが、おそらくこっち側の問題なんでしょう。
(※鈴羽がタイムマシンで1975年に。しかし2010年に「バイト戦士」であった記憶は店長にもある=痕跡が残ってる、とか)
それとは違う意味で疑問を感じたことを一応書いておくと(*2「説明不足」も含む)


・8章(ルカ子√) 年末の大掃除はルカ子(この時女)が行ったとかいう場面
IBN5100に関してルカ子が明らかに挙動不審なのになぜそこに突っ込まない?なぜDメール削除が先に立つ?
→一応「問い詰めても泣かれるから」なんだろうが、一言も言及しなかったのはちょっと…


・ラボの地下にSERNまで直通ケーブルが通ってるとか何とか
→いくらなんでも無理ないですか?
あとそれでも40秒くらいかかるはず(ラボからのデータを転送するのに)。よくラボに踏みこまれた数多の場面で耐えたもんだ


・多分6章 まゆりの死が回避できないことを悟る場面
オカリンが「死なない」レベルなら既に決定してるとして良いが、
「捕まらない」とか、「タイムリープマシンを盗まれない」まで決定してたのか?
→まあ、そうじゃないと話が進まないのでこのくらいのご都合主義ならさほど気にならないんですがね


・「OSHM***A」の*を入れるってのがそもそもおかしくね?空欄になるのが普通では?
→いや、どうでもいいですね






最後に、Nitro+の作品を新品で買うことは金輪際ないです。積みゲーの「Phantom」が最後になるでしょう。
どのメーカーにも言えることですが、修正パッチはマイナスがゼロに近づくだけであって何も誉められることじゃないです。
まあ、パッチすら出さないメーカーも少なくないのが事実ですが。
本作は箱○版の移植+(アクチ搭載のためとはいえ)ひと月延期してこれ。Ver1.11もミラーサイトに流さない体たらく。
多少の誤字脱字やスクリプトミスはまだマシだけど、強制終了とか互換性ないパッチとかほんと勘弁。
…(#^ω^)ピキピキ