フリーウェア。プレイ時間3時間40分。女の子キャラ(作品内世界)をメタ視点で見る主人公を、更にメタ視点でユーザーが眺めるゲーム。エロゲを20本以上やっており、小難しい思考実験が好きな人は楽しめるんじゃないかと思います。
【公式MAD】Merry X'mas you, for your closed world, and you...
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm9638937
雰囲気を掴むにはこれが一番なので気になるなら見て下さい。3分強です。
メタネタ満載に、衒学的な内容。
風刺、社会や日常というものの解釈なども入っており、なるほどと思わされる半面、首を傾げる部分も。
同人らしいというか、かなりの"熱さ"を感じる作品なので、何でも鵜呑みしてしまう人には危ないかも知れません。
また、主人公がエロゲというかゲーム全般に対するメタ視点を持ち出すので、変に感化されてしまうと以後エロゲを楽しめなくなる可能性も。
似たようなことは「未来にキスを」でも当てはまるし、他にも結構あるでしょうが。
雰囲気が伝わるかな、ということで本編中の一部を書いておきます。
但し、思い出しながら書いてるのでそのままの言葉ではないです。
個性とは必ずしも異なっている必要はない。
unique(固有の、独特な、比類のない)ということではない。
個性とはまさに個々が持つもの。
個人主義の対義語は全体主義。
たとえゲームのキャラがツンデレ・幼馴染み・妹・生徒会長(etc...)と属性を付与されていても、
それはクリエイタ―という管理者から与えられたもの、つまり全体主義側(トップダウン)に属していることに変わりはない。
では、個人主義側(ボトムアップ)に属す個性とは?
それは思考である。
たとえ思考の結果が同じ結論であろうと、思考するというその時点で既に個性を発揮している。
だから、同じ髪型を選択し、同じように主人公にアプローチをかけたとしても、
"思考する"、その一点で個性は出ているはず。
しかし、ゲームのキャラは思考できない。
なぜなら思考する脳を持たないから。
顔の大部分は目が占め、奥行きがないなら脳が入る余地もない。
主人公が好き。
そう仕向けられたただの人形に過ぎないから。
哲学的ゾンビとか書いてたけど関係なかった(恥
ある時点で「こういう受け答えをする/行動する」っていうのが「上」から支配されてる、
よく「シナリオにキャラが動かされてる」とか言うのに近い…かな。
他にマクスウェルの悪魔、シュレディンガーの猫、ビッグクランチ(etc...)といった用語が出てきたり、
歴史は"記述するもの"を介在する点で虚構でしかありえない、客観"的"になれても完全な客観は無理である、などの話も。
言葉を交わして深淵を探るというより、思考の垂れ流しの衒学が中心であり、小難しい話が嫌な方にはまず合わない作品でしょう。
わずか3時間半強の作品だが、メタネタはお腹いっぱいと感じるほど濃ゆい。
囚われの世界で3次元の存在"かのように"、"思考"を繰り広げる主人公と、
それを眺める3次元の自分。
…自分がいるこの世界、本当に"囚われて"いないのでしょうかね?