前作、向日葵の少女と比較すれば(多少なりとも)劣る部分が多く見られるが、一味違う物語展開(=ヒロイン同士の関わり合いの強さ)には満足。1,2章及び個別は凡作レベルと言わざるを得ないが、3,4章は良作レベルまで至れていたのではないか。少なくとも自分は本作であかべぇを切るという心づもりにはならなかった。ネタバレは極力抑えています。
ネタバレにならないよう濁して書いてますが、プレイ途中の方は見ない方が良いかと思います。
まず、本作の致命的な部分はキャラの掛け合いがあまりに幼稚なことであろう。
特にこのことは体験版部分(1,2章)に当てはまる。
キャラ自体もそうなのであるが、違和感を覚えるほど子供っぽいし、作られたセリフを言っている感じが強い。
特にリコを介したやり取りは見ていられない。
栗林はあて馬すぎるし・・・
また、キャラの掛け合いの酷さの他に、展開の無理やり感も酷かった。
カンニングの件など、もう少し工夫するか単純(=一般的常識内)にするかした方が良かったかと。
体験版で回避する方も多かっただろう。
しかしながら、序盤・中盤を突破できれば十分満足できる作品となった。
(ユーザーが求めているかはともかく)3章は剣術に話を絞っており、チート以外に話の展開・日常部分に不満はなし。
この辺りから、ちゃんとキャラの特徴が良い意味で出てきたかと。
挿入歌・BGMも良曲であり、盛り上げ方も良かった。
(※作品全体としてBGMのレベルは下がってはいるが、それでも及第点+αレベル)
そして、前作との世界観の共通性が際立つ4章。
あのキャラの演技はくどすぎた感もあるが、綺麗にまとめたと言えよう。
白痴とも言えるようなヒロインも2,3章を通して成長し、心を震わせる姿を見せてくれる。
前作向日葵の少女程ではないまでも、感動できる作品に仕上がっている。(前作ほど瞬間最大風速は強くない)
特にレイカとリコは灯花なみにキャラの特性を描けていた。
4章ラストは前作よりすっきりした出来だったかと。
しかし、あのキャラの過去等をもっと描いても良かったか。
その後に個別があるのだが、これはいただけない。
完全に「おまけ」エピローグとしてみればなんとか、というレベル。
但し有葉・はぐれ絵を中心としたエロはなかなかに良い出来だったのではないか。
シチュなどの拘りがなければ、の話だが。
純愛ものを強く意識したのか、判脱ぎもほとんどなく、裸同士がメイン。
エロに関してはシーン数ともに強化されてる。
(相変わらず、シナリオへのエロの組み込み具合は弱いが)
次に、全体に渡ることなどを。
一言にも書いたが、自分が本作で強く評価しているのがヒロイン同士の助け合いの面が強くなったこと。
前作では章毎に賢一がヒロインを成長させ、また成長させられる形でストーリーが進行していった。
一方本作では、はるかがリコを、リコがレイカを、という風にヒロインが活躍する場が目立つ。
逆にいえば宗介が目立たなくなるのだが、キャラ設定上、この手法は成功だったと言えよう。
伏線の張り方及び回収は佳作といったところ。
今回はここに力を入れる気はそれ程なかったのか、メインの伏線の一つをヒロインに普通に喋らせていたりしたし。
総評。
多くの方が仰っているように、向日葵の少女レベルを期待しなければ充分な出来ではないかと。
るーすが書かなくても一定のレベルは維持できるメーカーであるのかな。
演出等、丁寧な作りだったので(売れないかもしれないが)シリアスものも作り続けて欲しいですね。
ただ、続編と謳う以上、企画・原案にるーすぼーい氏を関わらせるべきかと。
どれくらい関わっていたのかは不明だが、少なくともEDクレジットに出ない程度というのは他メーカー合わせて良い印象は持てませんね。