フリーウェア。プレイ時間2時間5分。初めは謎に満ちた展開も、マルチサイトで描くことで各要素が繋がっていき、ひとつの様相を呈していく。そして最後には元気をもらえる、そんな作品。
――伸るか反るか!
毎年おみくじでは凶か大凶を引いちゃうような、
陸上部として大会に出ようとすれば交通機関の遅れで参加できないような、
バイトで稼いだ生活費はいつの間にかおばあちゃんに掠め取られちゃうような(アレッ?
そんな不幸街道のど真ん中を歩く女の子、相川幸(あいかわ しあわ)。
そんな彼女に転機が訪れる。
“鬼を探してほしいんだ”
人間と妖怪の狭間の世界に立つことになった彼女。
“鬼を探し出してくれたら、願い事をひとつ叶えてやろう”
幸せになりたい。
幸は長い夜を駆け抜けていく―――。
気になったところなどを。
キャラ造形は(特に円など)安易と言っても良いのだが、
あくまで2時間程のノベル+マルチサイトであることを考慮すれば如何に"早く"キャラを掴ませるかが重要となる。
その点、インパクトのある描写やキャラの性格を表す言動は良くできていた。
一番の欠点は最初[掴み]の10分間。
ここを5分程度に抑えられれば、乃至"異世界観"を少しでも織り交ぜれば導入部としてより惹きつけられたのではないか。
その後はスピーディに展開され、謎が氷解して行く様もなかなか。
但し、伏線の張り方はイマイチ。
"繋がった様(=完成系)"はよく練られていると思うが、点と点を(読み手が)自力で繋げるかと言うと微妙。
カタルシスを覚える。それを目的にしているゲームではないです。
ご都合主義が目立つ面も確かにある。あるのだが。
ラストの爽快感は素晴らしい。
不幸の直中にありながら、幸は"ノルカソルカ"精神で突き進む。
>世界は不平等だけど……幸せは不平等じゃない。
>誰にだって与えられるものだ。
前向きキャラっていうのは、プレイヤーにも元気をくれるよね。
蛇足。
おまけのおみくじ一回目は、凶でした(笑)