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violinsさんの霞外籠逗留記の長文感想

ユーザー
violins
ゲーム
霞外籠逗留記
ブランド
raiL-soft
得点
95
参照数
1054

一言コメント

激情、心酔。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

旅籠とは、常軌を逸した世界の様相を呈しつつ、各々の無垢で純粋でまだ物事の理を知らなかった――戻ることのできない、あの――まっさらな心に沁み入る居場所であるのか。

響く音は軽やかに。酒場の中には舞と混沌。襖の向こうは未知への憧れと暗闇恐るる本能が。
好奇心猫をも殺すとはかくなるかな。見果てぬ先へ進もうと、右手には勇気と言う名の無知があり、左手には恐れと言う名の関心が。
彼の地に迷いし青年は、血肉躍らせ人肉喰らい、夢に遭うては魔に追われ、琴を奏では夢叶え、陰に魅入られ翳持つ者に堕ちてゆく。
たわわに実る桃の肌、慾に溺れた交わりに、滴る水は色を持つ。
櫂の手止めて見上ぐるは、大きな巨きな揺り籠で、見下ろす先の水面(みなおもて)、そこに映るは素の貌(かんばせ)。果てさてそこに満つるのは、愛憎若しくは哀れみか。

美文で綴られた物語をただひたすら読み耽る。
圧縮された時間の中、耳に届くは生のざわめき、裡に響くは秘めたる情動、背後に迫るは桃源郷。


この地に迷い込んだ者には、つまり"あなた"であるわけだが、まるで嬰児が初めて空を見上げたような――いや、世界を視たと言った方が適切か――ともかく、出逢いである訳だ。
この、世界から切り取られた旅籠との。
そうだ、旅に出よう。
日常から解き放たれ、間隙であったはずの旅路は時に、籠に囚われ日常と化す。
そんな…旅に。















駄文ごめんなさい>< いや、本当に(汗
ネタバレの垂れ流し+希氏とは日本語という言語しか共通点ないんじゃないかという文体であるし。
似せようかとも思ったんですが、それすら出来なかったんですよ。
しかし「酔い」が醒めないうちに思いのまま書きたくて。書いてる時は楽しくて。
イタイのも、チラ裏なのも、黒歴史なのも分かっていて、それでもただただこの場に書きたかったんです。すみません。

この作品内世界を貫くものは「激情」で、
これに触れた自分は「心酔」してて。
一言感想と、多少分かりやすく書いたつもりのPOVテキスト読んで貰えればこの作品に95点付けた理由が少しは伝わる…かと思います。
要は心酔するほど「霞外籠逗留記」という作品が織り成す「旅籠」の『空気』を感じることができた。
というか自分がその場に「在」った。
今この文章書いてるこの自室が「旅籠」であった。
自分にとってはまさに旅だったんですよ。旅籠への、ね。