プレイ時間2時間1分。収穫シリーズ(5作)の最終話。シリーズ通してのネタバレ少なめの感想は「~冬~」に追記しました。こっちはネタバレ全開で。「さあ、収穫だ」
CG16枚。
音楽鑑賞41曲。
シリーズ通しての点数は75点。
良作ではあるし楽しかったが、もう一歩欲しかったというのが正直なところ。
>探してゆけばどこかに必ず希望はあるはず……
>希望はいつだって箱の一番そこに隠れているものなのだから……
「ぼくのたいせつなもの」(TerraLunar)4章より
早苗の足の怪我は(振り返ってみれば)確かに必要な儀式となったと言える。
それをきっかけとして耕平は重荷を背負う道が自分の進む道だと気づいたのだから。
だが、対象を間違え打ちのめされたしろが早苗の怪我を放っておいた。それは事実として残る。
治す力はあったのに、それを成さなかった。
ご都合主義を全否定してる訳ではないし、アリだと看做している場合は少なくない。
神が超常の力を振るう。全くもって普通のことだ。
しかし本作で気に入らなかったのは「軽々しさ」「雑さ」。
最終的に耕平も早苗も周りの人も幸せになれた。そうなんだが。
10クリックに満たない程度の短さで、あの苦しんだひと月もその思いも全て流された。
踏みにじっている、は言い過ぎだとしても、それに近い感情を覚えた。
不幸に落ちる(不幸を描く)っていうのはさほど難しくない。
人災でも天災でも起こせば平穏は簡単に崩れ去る。少なくとも環境を一変できる。
逆に幸福を得るっていうのは容易ではない。
というか幸せを軽々しく"与える"のが好きではない。
努力も才能も過去も無視/否定しているように思えるから。
物語上重要になればなるほど、その場面を丁寧に描くっていうのは至極普通のこと。
"意図して"描かないのは別として。
本作は後者に思える余地が見いだせなかった。
それまで柾木達と対の恋愛模様として耕平達を描いており、物語上重要な位置を占めていたのに。
それにも拘らず最後の最後でサブキャラっぽさを感じざるを得ないほどのあっさり感。
更に言えばその時になるまで治療しなかったしろの行動はまさに(作者に)作られたもの。
よく作家が「登場人物たちが勝手に動くのを追う」みたいなことを言うが、大体において事実だと思っている。
本作ではこの場面で明らかに「シナリオに動かされ」ている。
しろも可哀想。
絵に関してがっかりしたのが、プロポーズの場面で指輪を付けていなかったこと。
あれはない。
しかも監督は絵師である上田夢人氏。
ラストのキスシーンで顔が離れているのにも残念な思いを抱いたが、指輪に比べればまだマシ。
ここまで不満点ばかり述べてきたが、面白かったといえば面白かった。だから72点。
「ここが良い」というのは特に無いのだが、一応きれいめに畳んでくれたなぁと。
「~夏~」から特に感じていたキャラが多すぎるという点も、そこまで気にならなかった。
ここら辺はうまく柾木・耕平に焦点を当てられたと思う。(それでも足りなかったが)
ただ、序盤(「~冬、春~」)で感じた高揚感が段々となくなっていくのがなぁ…
もうちょっと「異質」さを出してくれるかと思ったら、結婚かぁ…
「結婚」で解決した訳だが、それが「(万事が上手くいくような)理想」なのか?
しろに関しては結局これといったフォローもせず、
耕平sideも「しろの決断」であって、その決断を引き起こすのが柾木と雪の結婚…?
自分にはよく分からなかったです。
また、柾木が出産ぎりぎりまで雪に会おうとしなかったのもよく分からない。
耕平が「重さ」に気づくのを待ったとしても、柾木の働きかけは見えなかったし、
オオカミであるしおうとの決闘にしても、ぎりぎりにならないとしろうが対峙しなかったと言えるのか。
柾木は「準備が必要」と言っていたが、特に明言されてなかった気が…。読み飛ばしただけかも知れないが。
どうでも良いけど、しろうに対してかすみが握っていた弱みって何だったんだろう。
後々わかると思って読み返さなかったけど、商店街で出会ったときに何かヒントになってたかな…
気が乗って読み返したら追記するかも知れません。
……たぶん無いな。
愛されるより愛すこと。
作品の言葉で言えば防御ではなく攻撃。
分類的に攻撃ではあっても、穏やかさに満ちている。
そういう「攻撃」って良いですよね。
最後に。
四角関係×2とか、リア充爆発しろ!(笑)