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violinsさんの収穫の十二月 ~夏の長文感想

ユーザー
violins
ゲーム
収穫の十二月 ~夏
ブランド
talestune
得点
62
参照数
271

一言コメント

プレイ時間3時間43分。収穫シリーズ(5作)の三作目。I belong to you. You belong to me?

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

プレイ時間/タイトル  点数  CG数(差分込)       視点
1:00/神学の七月   (60点)   ー          柾木
2:43/祝祭の八月   (65点) 計31枚(カットイン含む) 柾木+α


新規BGMは10曲。
今回は章選択がなくて2章1セットの扱い。
そのためセーブ箇所は2章合わせて10個。もう5個は欲しかった。



ちらっと他の方の感想見てみたら「八月」はどうやら「神事闘劇カーニバル」というシリーズ外の続編にも当たるそうな。
自分は未プレイだったが、出来ることならそっちもやってから触れたほうが楽しめるみたいです。
実際「八月」では登場キャラが一気に増え(+「九月」以降はあまり出なさそう)るので注意。
確かに「~夏~」は番外編と言うには重要な繋ぎの役目も負っているが、全体からみると多少なりとも浮いている。


ネタバレ度は「~冬~」以上「~春~」未満。さほど強くないです。



開放の夏。
猛り狂う季節。
地を駆け天を舞い踊り、神と向き合う、そんな夏。



<神学の七月>

土地神しろが「神性/神としての権限」を失うことから始まるお話。
明確なきっかけは示されず、「神といえども変化する存在」ということで片付けられているのはちと残念。

神が力を失う。つまりは今まで保たれていた均衡が崩れる。無秩序化。
この危機を回避するために「しろの神としての権限回復」が主軸として据えられる。

バトルです。血肉踊る闘いの幕開けだ。
…というのは「八月」からで、そこへの流れ説明+準備段階が「七月」。

まあ「七月」にも一部(CGなしの)グロ表現があるのだが、弱いなぁ…
テキストだけ(+BGM、SEもあるが)で気持ち悪くさせるっていうのは難しいんだな、と実感。
商業作品と比較するのはアレなんだが、
「MinDeaD BlooD」(ライター:和泉万夜)ではテキストから目を逸らしたくなった程だったので。




<祝祭の八月>

舞台は陸から隔離されたの島。この地でしろは神としての権限の回復を目論む。
環境の変化。それはつまりキャラが増える兆し。
8人ほどどばっときます。……さすがに定員オーバーだろ…
更に神の力を取り戻すということで神学的な内容・会話も増加。
この知識/神の力を導引した多人数バトルの幕開けだ。
さあ、踊ろうか。

合計15人くらいか?ちなみに敵さんも個体能力で同等程度なやつが一杯います。
それくらいのキャラを動かした割には纏まっているとも言えるが、粗も少なくない。
尺が短いのが一番の問題だと思うけれど。

1)キャラごとの特性に合った攻撃云々がさほど際立たなかった。
2)これまでのメンツは基本的に闘い慣れしていない→バトルは新キャラ中心
  →ユーザーとしても出会ったばかり+8人という多人数→感情移入まではとてもできない(心情理解でやっと)
3)BGMは頑張った。SEはあと一歩。
4)グシャ(グロよりの表現あり)ってされてる割に復活早かったり
  →「戦闘不能」の重みが薄れる、ご都合主義的に見える、などの欠点。

また、これは個人的な好みの問題だが、(テキストで描くのが)「動き中心のバトル」ってさほど好きじゃないし、燃えない。
何が好きかというと「心情描写メインのバトル」。
これは心理戦に限らず、「群青の空を越えて(若菜√)」の飛行戦など。これは本当に打ち震えた。
 (※「群青」は別√入ったら主人公脱落しちゃったんでやる気が…。積み中です)

で、本作は例にもれず「動き中心」なので「動きを想像する」ことを強いられる。(CG数も多くないし)
私はその過程が好みじゃないし、ぶっちゃけ面倒なんですよ。
だからといって生身の闘いなので、細かい動きが中心となるのは道理。
だから戦闘機みたいな「動きに強い制約があるもの」に易々と切り替えられるわけでもなく。
うん、わかっちゃいるんだけどね。
この部分は点数に加味してません。つまり上げてもいないってことだが。

好みの話はここら辺で切り上げるとして、長くない作品だからこそ「一点集中」って大事だと思う。
キャラの人数にせよ設定等にせよ、風呂敷を広げすぎると畳むのが大変です。
割ける労力が限定しているからこそ抑える場所は抑えないといけないのではないでしょうか。

バトルメインではあったが、その裏/根っこの部分で恋の方も着々と進んでおります。
物語最後の"引き"には多少なりとも衝撃受けるんじゃなかろうか。笑うにせよ驚くにせよ。





熾烈な夏の名残は消え行き、天高い秋に誘われる・・・