うーん？どうでしょうか。
確かに、面白いと言えば面白いでしょうが。
最初に思わせぶりな伏線を用意しているが、結局回収されていない感が否めない。
執事との絡み「ぼっちゃーん！」や、メイドの毒舌っぷりなど会話には力が入っているように感じられる。
ただ、それを考慮してもシナリオ上の欠陥を認めざるをえない作品だと思う。
まず致命的であるのがタイトルであるはずの「幻のディストピア」が何なのか(ただしシナリオ上では、作品上の世界でディストピアと呼ばれるモノについて説明こそ入るが)、ライター自身の考え(アイデア)がテキストにおいて描かれていない。別の言い方をするならば、以下のようになる。この作品は「幻のディストピア」をテーマとして扱っているのではなく、「ディストピア」から「すでに」脱獄した少年らが「ユートピア」を目指す物語という実状である。実状とタイトルのミスマッチ感が否めない。
この点を抜きにしても、主人公が有能な(ことは明白である)のにその才能が一切発揮されることがない。
メインルートである来栖川葉子においてその父親が正体を明らかになるのは、このようなゲームを何度ともなく経験している我々からすれば想像に難くないが、この作品では正体に関する伏線が張られていなかったこと(あるいは少なすぎたこと)。もう少し丁寧なシナリオ作りが求められるのではないか。
他にも主人公が活躍しない、惚れ方があまりに短絡的すぎるなど批難は枚挙に暇がない。
しかし、エロシーンに関して言えばその才能は伺える。
会話作りがうまいのだから、もう少し丁寧な構想を心掛ければ成長するのではないかと思う。
ライターの今後に期待する。