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unkさんの大図書館の羊飼い a good librarian like a good shepherdの長文感想

ユーザー
unk
ゲーム
大図書館の羊飼い a good librarian like a good shepherd
ブランド
AUGUST
得点
91
参照数
1411

一言コメント

エロゲーは闇を照らす光だ。1本プレイすれば、この世の闇が1本分減る。つまり、ゲームをやればやるほど世界は明るくなり、平穏な生活に近づけるというわけだ。

長文感想

流石は安定・安心ブランドのオーガスト。欠点の少ない良作だと思う。
総じて高水準だと思うが不満もある。



シナリオ
ボリュームは結構ある。総テキスト量は穢翼よりも多く感じた。総プレイ時間は40時間弱かな?
共通部分がかなり長く、二人目以降は大部分がスキップできる。
選択肢の数が最近の攻略しやすさ重視のゲームと比較するとかなり多い。
狙いのルートにいくのに苦労することは無いが多少面倒ではあると感じた。
また、明け瑠璃やアテリアと異なり、本作では一人攻略した時点でトゥルーにいける。
トゥルーにはヒロインの数だけエンディングがあるため、サブルートもあわせると全部で12個のエンディングがある。

しかし、トゥルーのエンド分岐は実質最後のシーンのヒロインが変わるだけで内容は一緒。
そのため、一つ一つのエンドが薄っぺらく感じてしまった。
過去作のように、誰かヒロインを一番のメインに添えてテーマをより深く堀り下げていった方が面白くなったのではないかと思う。
個人的には本作の「羊飼い」というテーマは深く考えさせられる部分があったので、もったいなく感じた。

それとは逆に羊飼いというテーマを横に置いて話が進む個別ルートはそれなりに。
内容的に一番気に入ってるのは佳奈すけで、ヒロインの内側に入り込むような話でそれなりによかった。
千莉ルートもかなりよく、エンディングでは不覚にもうるっと来てしまったのだが、最後のエロに連発のおまけ感が強すぎて残念だった。
だがつぐみルートは流石に・・・頭がお花畑になりそうだった。


トゥルーの内容だけを見ると激動の物語とか感動の大作とかにはならないが、共通部分には光るものを感じた。
特に物語が大きく動かない日常でのキャラの掛け合いが非常によかった。
キャラの会話のテンポがよく、見ていて楽しい。
単純な萌えゲーとして見たら、過去の作品よりも格段によくなっているのではないかと思う。
キャラの性格が比較的丸くおさめられているので飛びぬけて笑えたりするわけではないが、ニヤニヤ出来る場面は結多かった。
また、物語が動く場面では小さな伏線が散りばめられていて、後でわかるとなるほど思える。


サブルートに関しては個人的にはイマイチ。
ルートでは水結が可愛かったし、嬉野さんもロリロリしてていいと思うがこれくらいの内容だったら別に穢翼みたいにappendixに突っ込んでくれるだけもよかった。
穢翼でのサブヒロインのおまけが人気だったから本作では短いながらもルートを作ったという情報をどこかで目にしたが個人的にはこちらよりもトゥルーのほうに力を入れてほしかったところ。
むしろおまけに関しては本作ではメイン5人のえっちと佳奈と千莉の3Pがあるだけ。
さよりとの姉妹丼や千莉+水結、葵などのおまけがあってもよかったんじゃない?


それと、本作では作品の大部分が共通で占められているため、個別に入ってからのいちゃいちゃが少なく感じた。
穢翼からスタイルを元に戻したというのであればこの点は結構な痛手だと思う。
実際ヒロインはどれも魅力的だと思うのだが個別やってこの子はヤバイ!っていうのがいなかった。
なんというか80~90点くらいのヒロインで占められていて95点を超える子はいないみたいな感じ。


後内容には全く関係ないが、全校生徒5万人のうち開票率32パーの時点でつぐみの票数が7329。
全生徒が投票したとして計算すると多岐川の票数は8671なのだがこれでも当確って出るものなのだろうか?




CG・演出・シーン
CGのクオリティはさすが。相変わらずべっかんこう神である。
本作ではぱんつCGが数多く見られた。
最近のオーガスト作品ではシーン以外のCGではぱんつCGがあまりお目にかかれなかった気がするので嬉しい限りである。
また、そのパンツの描き込みの力の入れ具合がすごいと思う。
つぐみとの買い物のぱんつCGでは広い画面のうちの10分の一にも満たない範囲に目が釘付け。
ついでに言うと店舗購入特典も露出が多かった。
だというのに銭湯のシーンでは湯気・・・orz 解せん。

立ち絵もよかった。
というか立ち絵を使った演出が秀逸。
ところどころで変わるカットは背景の光の差し込み具合と立ち絵の配置が良い感じに映えていたと思う。
なんとなくminoriの演出に近いものを感じた。
また、夜になると立ち絵が少し暗くなるのは芸が細かいと思った。
好きな立ち絵はつぐみの唇とがらせてるやつと佳奈すけの鼻息荒くしたやつ。
千莉も最初はなんとも思ってなかったけど上目遣いの立ち絵にやられた。
それと、つぐみの夏の私服は寝巻きというか裸エプロンにしか見えなくてエロい。

シーンの枠は23。
えっちCGはヒロインの柔らかそうな体が質感たっぷりに描かれていて文句なし。
精液描写もなかなか濃いし、一発目のを拭わないのも今までどおり。
SEやズームなども利用していて臨場感がよく出ているとも思う。
問題に感じたのは喘ぎ声。
オーガストのテキストはいつものごとく(だった気がするが)単純な喘ぎがメイン。(卑語は完全に無し)
だというのに声優さんの喘ぎとちゅぱ音が正直イマイチに感じる時が多かった。
安定してよかったのは華ちゃんくらいなもの。
他の声優さんは普段の声の演技は非常に素晴らしいと思ったのだが・・・本当に残念である。

他に気になったのは正常位が少ないこと。
本作ではなぜか座位と騎乗位ばかりが目立った気がする。
純愛ゲーなら初めてくらい部屋で正常位でやってもしいものである。



音楽
BGMはただの学園モノの萌えゲーの音楽とは思えないくらいに壮大な世界観を表現している気がする。
ボーカルソングは数は多いが曲自体はまあ普通。
個別エンドのボーカル曲は声優さんが歌ってるみたいだけど千莉の人の歌は普通にすごいと思った。
逆に華ちゃんは・・・なんというか悲しいことに喘ぎ声のうまさと歌唱力は反比例の関係にあるような・・・
余談だがストレイトシープがゲーム発売前からカラオケに入っていたそうだがそれよりはアスフォデルスとかを入れてほしい…って思ってたけど近々入ることを知ってちょっと嬉しい。



システム
相変わらずのクオリティ。
穢翼で使い慣れていなければ混乱してしまうようなレベルでいろいろ設定できる。
今回はボイスオートなるものがたぶん新しく出てきたと思うが、これがかなり使い勝手がよかった。
また、テキストバックのみならずシーンバック(minoriみたいなやつ)まで出来るようになった。
クイックジャンプあるんだからそこまでいらないよというレベル。
それよりはバックログをもっと前のところまで見れるようにしたほうがよかったと思う。
それとスキップスピードは遅くはないが、いかんせん共通部分が長いため既読を飛ばすのにかなり時間がかかる。
次の選択肢までスキップがほしかった。
その他今のクオリティだからこそいえる細かなシステム不満点は、バックログ時、テキストクリックするとクイックジャンプではなくボイス再生になってほしかったこと、
(ボイス再生部分が小さいしクイックジャンプはめったに使わない。)ボイス再生途中でバックログ消すとボイスも途切れることくらい。



プレイ終わった直後は普通に良いゲームだなって思ってたけどいざ感想書き出すと文句が多い。
これもきっと全体的に高水準だからこそ出てくる不満なんだと自分で勝手に解釈しておく。
オーガストさんには今後もこのクオリティを落とさず、むしろもっと上げていって、幅広くユーザーに支持されるゲームをつくって行ってほしい。
次回作も絶対買うので大いに期待。