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unabaraKAさんの裸の王様の長文感想

ユーザー
unabaraKA
ゲーム
裸の王様
ブランド
Waffle
得点
69
参照数
2902

一言コメント

「絵が綺麗」+「緩急ついた声優さん方の熱演」で粒粒のエロシーンごとのクオリティは高い。が、「枕営業」がテーマのはずが、そういったシーンの少なさはどうしたものか。経営的無能な社長が引き起こすドタバタエロメロドラマと思って見ればそこそこ読めるが、主人公に感情移入してプレイしたいプレイヤーにとっては主人公の無能っぷりが辛い作品。おまけシューティングの高い難易度といい、公式HPの見づらさといい、作品コンセプトといい、メーカーは今一度「ユーザー目線」を考えてみた方が良いんじゃないかなー…。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

厳しいことを言ってはいますが、抜きゲーとしてとらえるとかなり優秀です。
特にエロシーンでは声が優秀。しっとりした所と、ハイテンションな所をうまく使い分けて緩急つけられていると思う。絵も綺麗なので、「エロけりゃいいや」という考えならまったく問題はありません。実際、僕もそういうところがある人間なので、感想に書いてある論調よりはずっと本作を楽しんでます。

ただ、その他についてはちょと一言。


●主人公について
主人公は良く分からん人です。価値観が良く分からない。お金が重要なのか、お金はさておき、一流の作品を作りたいと思っているのか。とりあえずいつも熱血っぽくって勢いはあるんだけど、言っていることの内容は一貫性に乏しい気がする。

二部構成のうちの第二部ラストでは、コストを度外視したクオリティアップと、採算の取れない営業戦略を採ったために、作成したゲームの売上が大幅にペイラインを割ったことでしょげ返る。
ひょっとして第一部から第二部にかけての「作品への情熱→お金への執着」のギャップがミソなのかもしれないけれど、そうであるならば、それが全然プレイヤーに伝わっていないと言わざるを得ない。そういう価値観の変化は、ちょっとうるさいくらいに表してもらえないと、プレイヤー的にはピンときません。正直、第二部の主人公は作品を売りたかったのか、コストを度外視して作品のクオリティをあげたかったのか、何をしたいのかサッパリ分からなかった。

エンディングについては、全てのエンディングにおいて「驕れる者は久しからず」…主人公の失脚を体現したものになっているけれど、「それを製作者側がどうしても伝えたかった」んだったらこれでも良いけどさぁ。こうじゃない選択肢があってもいいと思うんだよなぁ。
全てのヒロインにとって、会社がつぶれることがベストな結末だったとは思えない。全部のエンディングについて、展開が「改心した、努力した→でもやっぱり会社つぶれた→選択したヒロインと2人でひっそり頑張っていこう」である必要はまったく無いと思う。制作上の都合以外ではね。


●枕営業について
枕営業について。
ソフトのパッケージからは、さもメインヒロインズが枕営業で奮闘する様が目に浮かぶようですが、実際のところ、5人のメインヒロインのうち3人しか枕営業シーンはありません。しかも1シーンだけ。
どちらかというと全編を通して「やめてください社長!(ビクッビクッ)」といった、「強引な社長によるセクハラ」的なシーンが多く、これはこれで日々社会人として勤めている自分としては美味しくいただけるのですが、枕営業ゴリ押しのパッケージにはやや偽りありの印象。NTR好きというわけではないのですが、もうちょっと「メインキャラクターにおける枕営業」にスポットライトを当てても良かったと思う。


●公式HP
http://www.waffle1999.com/game/36hadaka/index2.html
本当のゲーム会社を模した形でゲームOHPを構築してますが、正直言ってかなり見づらいと思います(主にキャラクター紹介とサンプルCG)。またその弊害か、外部サイト(Game-Style内『わっふる☆ちゃんねる』)でしかキャラクターの声優さんが確認できないとか、ちょっと本末転倒的な気がするのです。

もう少し、一般的なエロゲOHPのインターフェースに沿った形で、本当のゲーム会社を模した形にすることも出来たんじゃないかと思うんだけどなー…。「スタッフ紹介」と「会社概要」は別タブにする理由なんて利用者利便的には一つのメリットも無いと思う。「全部『わっふる☆ちゃんねる』で見てね」…ってつもりなら、それはそれでも良いけれど、そういうモンでもないんじゃないかと思うけどなぁ。

例えば、もしパッチが出たら、このサイトのどこからダウンロードするのん??という。


●特典のおまけシューティング
クリアできないよ!!1面が!!!!wwww
1時間ちょっとくらいプレイしてみたけど1面がクリアできなかったので、これは5面までどう考えてもクリアは出来まいと思って投げました。ちゃんと作ってあることは分かるので、だからこそ勿体無いとしか言いようがない。

自分を一般化するつもりはないけれど、そんなにエロゲーマーとシューティングゲーマーの客層が被っているとも思えない。

・このゲームを買った人
→その中で、シューティングゲームがちゃんと出来る人
→またその中で、本ゲームに取り組む時間を設けられる人
→またまたその中で、本ゲームに取り組むやる気のある人

となると、言っては何だけど1ケタ2ケタ、多くて百数十人の世界じゃないかと思うんだ…。『ToHeart2 XRated』についてきたシューティングくらいヌルくないと、遊んでもらえないんじゃないかなぁと思うわけです。ガチで遊べるようにするのは別に良いんだけど、正直言ってイージーモードが欲しかった所。


●全体的に
もうちょっとメーカーがユーザ目線を考え直してみた方が良いんじゃないかと思っちゃいました。「考えるつもりは無く、己の道を突き進む」という話なら、別に悪い意味でなく、それはそれで、という話ですが。なんか、ゲームのテーマがテーマだっただけに、ちょっと考えさせられる。

『抜け忍』はタイトルの文字通りたくさん使えましたし(文字通り違い)、waffleさんは応援してるので頑張ってほしいですね。。
最初に言ってはありますが、エロいことはエロいので、特にストーリー方面にこだわりがなければ良い作品なのですが。