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unabaraKAさんのつくもの ~やどりぎロマンス~の長文感想

ユーザー
unabaraKA
ゲーム
つくもの ~やどりぎロマンス~
ブランド
XUSE
得点
73
参照数
2931

一言コメント

まあまあの印象。触手ゲーとして捉えると「エロシーンがちょっと短い」&「エロシーンがちょっと短い割りにシーン数が少ない」気がする。CV陣が結構珍しい顔ぶれで新鮮味があったけれど、もうちっと演技面では頑張れたんじゃないかなぁ。絵は『XUSE塗り』って感じ。シナリオは小粒なりにまとめてあって、紗絵シナリオは結構良かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

●シナリオ(テキスト・プロット)
テキスト面での不満は「エロシーンがちょっと短い」&「エロシーンがちょっと短い割りにシーン数が少ない」以外は特に無く、文体も問題ないと思うけれど、プロットが「大作志向」でなく「小粒にまとめる趣向」で攻めてきていて、ダメって訳じゃないんだけれど、派手さは無いよなぁという感じ。小粒なりには、まとまってます。
物語における根本的な謎が全部解決したわけではなく、結局のところは「突然得てしまった力をいかに使用するのか」が本作の肝で、「どうして力を得たのか」「なぜそんな力がこの世に存在しているのか(謎の大樹が何故存在するか)」とか、そういったところには焦点が当たらない。そういったところに焦点を当てる事が出来なくもない設定なのに、敢えてやらなかったのかなぁ、大作志向じゃないんだなぁ、と感じる。

プレイ順は、天音⇒花夏⇒深鈴⇒椎名&杏⇒紗絵。
天音・深鈴・紗絵ルートは明るく道徳的なシナリオ、花夏・椎名ルートはダーク路線シナリオで、ダーク路線シナリオはインモラルな感じがして良かった。花夏ルートについてはひねくれた感覚では「純愛」と取れなくもないけれど、椎名ルートなんて全っ然「純愛触手ADV」じゃねぇなぁ。いや、これ、オフィシャルのジャンル名なんだけれど。

なんだかんだ言って、紗絵のシナリオが一番気合が入っていて、山場もあって良かったかなと思う。
天音・深鈴・紗絵ルートは「主人公がモジモジしてるのを麻呂が後押しする」展開があるんだけれど、天音・深鈴は主人公がヘタレっぽい感じがギュンギュンするんですが、紗絵ルートは主人公の自主性が結構発揮されていて、好感が持てました。
ダーク路線シナリオは、双方、物語の謎に若干触れることが出来るようになっているんだけれど、椎名ルートのクリア後の虚無感、花夏ルートの背徳感、ともに良かったと思う。触手ゲーなんだからこういう展開もないとね!しっかし椎名先輩は椎名ルートと紗絵ルートで良い人度合いが全然違うなー……

●絵
絵は『XUSE塗り』って感じです。淡いぼんやりとした塗り。
あの塗りで描かれた触手を味わいたいなら、そういう人にはアリだろうと思います。ただ、麻呂の触手は基本的に赤みのある白色一色なので、さほど色とりどりといった感じではないですが…。

こっそり評価しているのは立ち絵・背景演出。
画面をワイド画面調にしたり、キャラ立ち絵を大きく表示したり小さく表示したり等して、遠近感を出そうとしているのは、効果として強くは作用してない気もちょっとするけれど、でも試みは良かったなーと思う。作る際には結構手間になる工程だと思うのね。

●音
青山ゆかりのピョコピョコちびキャラは可愛くてよかったと思う。
全体的にCV陣は珍しい顔ぶれで新鮮味があったけれど、なんか、決して巧くはなかった気がするなぁ。触手粘液(媚薬入り)に精神を侵食されている時とか、もっともっと淫蕩な演技が出来たんじゃないかなぁーとか思う。

日常演技は悪くないんだけれどナー
そういう側面を重視したのかしら。「純愛触手ADV」だけに。

●エロ
冒頭でも述べているけれど、ややシーン数が少ない印象。そのシーン数の少なさの割には各シーンの尺が短く、前項目で述べた演技に対するちょっとした不満とかもあって、エロについてはちょっと食い足りない印象を抱く。
個人的な問題なんだけれど、コンセプトが触手だった分だけ、そちら方面での期待が高まってしまったのがマイナスに働いてしまったかしら。一般的な純愛ゲームだと思えば、ややエロシーンの量は多めに用意されていると言えるかも。

●その他
CG閲覧モードでCGをクリックすると、登場キャラクターがそのCGに沿う内容の雑談をちょろっとするんだけれど、コレは面白かったので良かったと思う。CGクリック時点で自動的にキャラクターが喋りだしちゃうので、それ以前に音声ON/OFFが指定できると、なお良かったんだけれど。