人生で最高の瞬間なんて気づけない―
人生で最高の瞬間なんて気づけない―
最高と最悪があべこべの生の中で幸福とは何か、
それは苦を味わいながら必死に生きること。
苦を知ることで、対の輝きが煌々と浮かび上がる。
緻密に、精巧に、硬く結ばれた縄の様な伏線を
丁寧に優しく優しく、ほどかれていく快感
■■■■【各ルート感想 始】■■■■
各ルート終了時の感想になります。
▶真琴√ --------------------------------
[ツンデレ傍若無人に見える、普通で優しい女の子]
一見ツンデレで傍若無人に見える彼女だが、
本当は良い意味で普通で、優しく強い意思を持っている。
彼女は冷静に現実を直視し、問題や状況を認識し
自分の願いを叶えるために貪欲に行動できる。
彼女を悩ませている現実というのは、
家族(圭や母)との問題や直哉が筆を持ってくれない問題や
自分が決して天才ではなく、凡人であること。
そして彼女の願いというのは、
圭と直哉―2人の天才に絵を描き続けて貰うこと。
幼少期沈んだいた自分の世界を変えてくれた絵を描いた
草薙に再び筆を取らせようとするが、結果失敗に終わる。
最終的には自らの願いを叶えるために奔走する中
草薙と関わりあうことで彼の絵でなく、彼自身も好きになる。
そして様々な問題を解決した真琴と草薙には、
ただただ―愛だけが残った。
他の絆も、傷も、過去も、何ひとつ無く
2人の新しい生活が幕を開ける。
(感想)
自分の意志がしっかりしているヒロインっていいですよね。
純愛でした、お二人の甘々な大学生活を期待しております。
あとお母さんが滅茶苦茶カッコイイけど、
もう少し真琴の事も気に掛けてほしかった。
(そうすると社会的な立場を得ることが難しかったのだろうが…)
▶稟√ --------------------------------
[大切な記憶の蓋を開けていく物語]
ただのむっつりスケベな幼なじみかと思いきや、
稟の家族と直哉の右腕の謎が空かされていく√。
稟に対し周りが優しい嘘をつき続けることで
彼女を守っていたが、香奈という想定外の影響で
物語は動いていく。
最後は丸く収まるが、雫と吹の関係性の伏線が張られる。
千年桜の伝承や影響、力とは一体何なんだろう…
(感想)
ピンク髪ヒロインということで、
基本の脳内もピンクなヒロインという印象でしたw
▶里奈√ --------------------------------
[死の香りを醸す少女]
生と死は対である。
死を強調することで、反対の生も容易に浮かび上がる。
夜空が暗ければ暗いほど、星が煌々と瞬く。
死の香りがする彼女に惹かれていった、二人の物語。
絵描きとして凄まじい死の象徴を現す絵に惹かれた、直哉。
病気ゆえ達観した精神とその美しさに惹かれた、優美。
死・哀悼・絶望を花言葉に持つ糸杉、ZYPRESSEN
オオカミ、白い毒キノコ、猟師―
言葉巧みに鮮やかに語られる文、台詞回し
それに酔いしれる素晴らしい物語。
(感想)
ZYPRESSENや白いキノコ(里奈)、オオカミ(優美)の
演出シーンに痺れました。(エエエエエエッモ)
里奈のことめちゃくちゃ好きかもしれない。
▶雫√ --------------------------------
[桜の物語を動かす鍵]
具現化能力を備えていた稟と共に過ごし、
心と能力を吸うことで雫には今ができた。
彼女の中の具現化能力が吹を作り出し、
千年桜に関係する者は彼女を視認することが出来た。
(感想)
多くの伏線が過去編にて回収され、最高でした。
また直哉の父親の健一郎の声が格好良すぎた…
直哉自身は他人には健一郎のことは嫌いだと、
言っていたが滅茶苦茶好きだったw(ツンデレめ)
▶藍√ --------------------------------
[無償の愛]
直哉に対し
際限なく―
無条件に―
否定なく―
安らぎと休息を与えてくれる唯一の人。
母の様な、姉の様な、恋人の様な、
直哉にとって家族であってくれた。
(感想)
藍ママぁぁぁぁ…、、、(幼児退行)
直哉がどうなったとしても、帰る場所で
あってくれた彼女は本物の家族でした。
私は良くも悪くも藍に対し性的な感情が
全く生まれないくらい没入出来ました。
(選択肢によっては彼女を抱いていましたが…)
■■■■【各ルート感想 終】■■■■
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◆◆◆◆【雑多な感想 始】◆◆◆◆
▶人生最高の瞬間に気づけるか-----------
標記命題について、少し語らせて欲しい。
始めに結論から述べると、絶対に気づけないと思う。
物語の中で、
「幸福な瞬間はまるでそれは
いつまで経っても開けられない秘蔵の酒みたいに
捕まえることが難しい」
とある。
また事前情報として、健一郎⇒若田⇒直哉の順で受け渡された
ウイスキーはボトルとラベルを見るに恐らく以下の銘である。
ニッカウヰスキー
シングルモルト余市1987
私もニッカウヰスキー余市蒸留所に足を運んだことがあり、
土産に余市ウッディ&バリニック(1987と比べれば安物ですが)
を買って未だに開封できていない。
自分自身の実感としても、特別な日に余市を開けたいと
常々思っているがそのタイミングが全然わからない。
よくよく考えれば蒸留所に足を運ぶきっかけとなった、
バイクで北海道を一周していたときが、
今までの人生の中で最も幸福であった時間だった。
そのため帰りのフェリーの中で開けてしまった方が
最高をもっと良いものに出来たのでは、
と改めて考えさせられた。
以上のウイスキーの開封タイミングを掴めない様に、
最大の幸福は後々になって気づくことのできるものであろう。
▶サクラノ詩はなぜ“うた”と読むか--------
サクラノ詩(シ)と読んでしまうことで
物語がただの言葉としてのみ、
受け止められることを避けるためであると思う。
サクラノ詩(ウタ)と読むことで
言葉の音としての美しさや響き、
そういうものを感受して欲しかったのかな、と思う。
(※桜子さんの受け売りですが…)
最後にサクラノ詩を詳しく知るまで、
サクラノ詩(シ)って読んでいました。
枕さん、大変申し訳ございませんでした(土下座)
◆◆◆◆【 終 】◆◆◆◆