心を閉ざした少女が海辺のペンションでのバイトを通し、前向きに生き始める百合(友愛)物語
~ブログ内容を転記してます~
EroScaの改行の影響があるため、
以下URLよりブログで読まれることをお勧め致します。
「はてなブログ:物語は心の栄養素」
https://una-008.hatenablog.com/entry/2024/09/01/111509
↓以降ブログ内容そのまま
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
学校に馴染めず引きこもっていた主人公(深菜)。
そんな中でとある縁からバイトのためペンションに赴き、同僚の金髪美少女の蘭と出会う。
1ヶ月のバイト生活を通し、主人公が生きることに前向きになっていく百合(友愛)物語。
※ノベルゲーとしての演出特徴
『マルコと銀河竜』や『Monkeys』に近しい、立ち絵での物語進行が少なめ(体感約30%)な感じでサクサクとプレイ可能
以降、ネタバレ注意!!!
※感想は概ねプレイ時の時系列順です。
誤字や文法間違い、解釈違い等があるかもしれません。
あくまでも個人的な感想なので、寛大な心でよろしくお願いします。
【Episode1:Restart】
”リスタート” エピソード1概要
このエピソードでは、深菜の過去、蘭の過去。
それと深菜がバイト先となるペンションへの訪れ。
蘭や陽毬、美智子との出会いと交流、深菜の人生の”リスタート”が描かれた。
『深菜がペンションに来た理由』
深菜は人間関係で心を閉ざしてしまったから、家族からも離れて独りになりたいと願う。
生きていて息苦しくない場所を探して。
『蘭の過去、ペンションに来た理由』
蘭は親に敷かれたレールの通り人生を生きることに馬鹿馬鹿しくなって、全てを投げ出したいと思いペンションに来た。
両親からペンションで1ヶ月働けば自由にしても良いという言葉を受けて、本当の自分の人生を生きるためにペンションへ。
【Episode2:Rassembler】
”ラソンブレ” エピソード2概要
このエピソードでは深菜が初めて”ラソンブレ”で働き始める。
ただ引っ込み思案な彼女はホールの仕事をする事を望まない。
そんな姿を見た蘭が深菜をホールに立たせるために、彼女にメイクを施しカラコンを付けさせ別人に生まれ変わらせる。
そして制服を着た深菜はホールに立ち、少しずつ前向きに変わり始める事が描かれた。
『深菜が制服を着る葛藤』
制服を着ることを嫌がる深菜を諭す蘭。
蘭は制服姿の深菜を見たいが、深菜自身が似合わないと評価している。
しかし蘭が深菜に「似合うと思ったから見たい」と鋭い目つきをして意思を貫く。
そんな蘭の表情と頑なさに折れた深菜。
そして制服を着ることに合わせて、蘭は深菜に化粧をする。
深菜は化粧をした自分を見て、自分自身が今までの自分では無い様に感じた。
それは今までの自分からの脱却を意味しているから、制服を着ることが出来たのだと感じた。
【Episode3:Herbarium】
”ハーバリウム” エピソード3概要
ラソンブレでの仕事に慣れ、この場所に愛着が湧いてきた深菜。
そんな中、初めての半休中に陽毬から「ペンションを継ぐ」という決意を聞き、深菜はペンションを残そうとする彼女の決意を応援したいと考える。
しかし美智子さんは陽毬の想いとは裏腹に、幼い彼女にペンションを継がせる気は無いと言う。
陽毬と美智子がそれぞれ違う方向に向いていることが、深菜のペンションを残す手伝いをしたいという願い事に葛藤を与えることが描かれた。
深菜のペンションを守る応援をしたいという想いは、枯れてしまう花を”ハーバリウム”にして少しだけ延命させるようなものだろうか?
【Episode4:Colored Contact Lenses】
”カラーコンタクトレンズ” エピソード4概要
夜の海に深菜・蘭・陽毬で出掛け、どんどん仲を深めていく。
最初の頃、深菜は一緒にお風呂に入る事を嫌がっていたけど、逆に一緒に入りたがるくらいの仲になった。
しかし不意に蘭の放った棘をまとった一言が、深菜に突き刺さる。
深菜は友達だと思っていた蘭に裏切られたと感じ、”カラコン”を外す。
仲を深めた二人が離れてしまう様子が描かれた。
【Episode5:Famille】
”家族” エピソード5概要
二人の関係性は悪化したが、深菜は蘭との関係性を学校の友人と同じとは思わなかった。
そして深菜は蘭の言葉は自分のために言ってくれたものでは?と考えるようになった。
だから深菜は思い切って蘭と話をし、新しく関係を構築ちもう1度赤いカラコンを付けホールに立つ。
その後、去年蘭を救った紗波が来訪。
深菜は紗波にもペンションを救いたいと相談。
しかし紗波は深菜の言うことを、とある理由で否定する事が描かれた。
『深菜がペンションを残したいと思う気持ち』
それは陽毬がペンションを継ぎたいという気持ちと合わせて、自分が帰ってくるための新たな家を残したいというエゴが混じった気持ち。
深菜
「……でも、私は、みんなのことが大好きです。ここで働くのが大好きです。できたらずっとここにいたいと思っています。それでも、出ていかなければならないのだったら……」
「せめて、辛くなったとき、いつでもここに来られるように、ずっと残っていて欲しいんです」
ここが、私の家だと思うから。
「蘭と出会った思い出の場所。大好きなみんなと過ごした場所。そんな大切な場所がなくなってしまうなんて……」
深菜にとってペンションは以下の二つの想いに溢れた場所。
自分を前向きにさせてくれた蘭という大切な存在に出会った場所
辛くなったときに逃げ込む場所にしたいという、深菜のエゴが詰まった場所
だから深菜はペンションがなくなるのは嫌だと感じている。
『紗波のペンションに対する考え』
上記の深菜が紗波へペンションを残したいと告げた時の、紗波の反論。
紗波さんは手を伸ばした。ハーバリウムの瓶は、私の手から紗波さんの手に移る。
紗波
「陽毬ちゃんがどんな気持ちでこれを作っているのか、それは知っているわ。だけど、私も美智子さんの考えに近い。花は散るもの、枯れるものよ。花を咲かせたかったら、陽毬ちゃん自身が新しい種を蒔くべきだと思う」
そして、ハーバリウムをテーブルに戻して言った。
紗波
「深菜ちゃんも、自分で種を蒔いて、自分の花を咲かせるべきだと思う」
紗波の言葉の中で出てきた「種を蒔く」と「花」について、その意味を少し考えてみた。
「種を蒔く」:自分が輝く将来の見据えて行動すること
「花」:自分が輝く事が出来る場所、自分の心が輝く事が出来ていること
紗波が深菜に「自分で種を蒔いて、自分の花を咲かせるべき」と言っているのは、深菜の今は陽毬の両親たちが作りあげたペンションという場所(花)で輝いているだけ。
深菜自身が手に入れた境遇や状況で輝いているわけではない。
だから紗波は”深菜は自分で掴んだ未来で輝くべき”と諭しているのだと感じた。
心は時々陰ってしまう様に、自分の輝く心や場所は決して永遠じゃない。
ペンションが無くなってしまうかもしれない様に、散ってしまう花の様に、決して永遠が約束された物は存在しない。
【Final Episode:Everlasting Flowers】
”不朽の花々” ファイナルエピソード概要
紗波さんを見送り、バイト最終日を迎える。
深菜の蘭は互いに、互いの事が好き(友愛)だと伝える。
最後の夜にお祭りに出掛け、陽毬と共に手持ち花火をする。
そして陽毬が寝た後、深菜は美智子からの卒業式を受ける。
最期の朝、深菜と蘭はハーバリウムを作り店に送り、陽毬からもそれぞれ受け取る。
そしてそれぞれ駅のホームで泣きながら別れ、家に帰り物語を終えた。
『かわいい子には旅をさせよ』
この物語を通して、この慣用句が頭に浮かんだ。
意味は”辛い経験を積むほど成長するため、かわいい子(愛しい人)ほど敢えて辛い思いをさせよ”というもの。
物語が始まる1年前、紗波にとって蘭との別れは悲しいものだった。
それと今年も、蘭も深菜との別れは悲しいと感じている。
その理由はペンションで過ごす時間がとても楽しいから。
だけど居心地の良い敵のいない世界で過ごすことは、人生の中での少しの休息の様なもの。
だからあえてペンションから別れる事は、辛い世界で過ごして成長して欲しいという願いの様なものだと感じた。
【雑多な感想】
ここからは雑多に感想を書いていくよ。
まずプレイし終えて感じたのは、恋愛じゃなく友愛としての百合ものも良いな~って事。
単に女の子がキャッキャウフフする訳ではなくて、それぞれ悩んでいる事を人との交流を通して解決に向っていく様は、例え恋愛をしなくとも尊い関係性だと感じたので。
深菜と蘭の関係性は師弟関係の様に感じた(蘭の紗波さんの関係性もしかり
あとゲームクリア後に改めてOPを見て、泣かされた。
www.youtube.com
物語の1か月の全てが綺麗に凝縮されて、歌詞も深菜の心情をそのまま表していて、僕の心にド直球のストレートが刺さり泣かされましたね。
ここからはキャラ別に感じた事をつらつらと。
『深菜』
学校での出来事でひねくれてしまったけど、内心優しく割と社交的な子(ホールの仕事にも直ぐに順応しているので)だったのかなって感じた。
あと目の下のクマが無くなって、表情も明るくなったらすげー美少女感だったな…
『蘭』
蘭の横顔が好き!!(個人の感想ですw)
スッと伸びた鼻立ち、耳のピアス、長いまつげ、サラサラの金髪が日に当たる様子など全てが調和していて、夏が似合う美少女って感じが最高だったな…
あと物語が始まる1年前の荒れた蘭が紗波さんに更生させられるの見てみたいな
『陽毬』
子供の中で一番幼くても、最も心は大人に近い子だなって感じた。
自分の一番大切なもの(ペンション)を自覚しているし、ペンションを守るために日々努力(料理や他のカフェ調査)をしているし、努力の子。
あと富田美憂さんの演技がマッチしていて、素晴らしかった!
他作品だと僕の大好きな『メイドインアビス』のリコを演じられている方で、幼いながらも覚悟を決めた強い女の子を演じさせると一番だなって改めて感じましたね!
『美智子』
美味しそうなご飯も作れて、カクテルも作れて、ギターも弾けて、本当に多彩で佳い人だったな…
あとやりたくない事を下手な言い訳している所を、陽毬に指摘されている所がちょっと不器用な感じで人間味が出ていて素敵でした。
夜のラソンブレの雰囲気も大好きなので、美智子さんの営業しているバーに行ってみたいな~
『紗波』
上でも書きましたが、蘭との過去を見てみたかった…
あと紗波さんの以下のセリフに、すべてが詰まってるなって感じましたね。
紗波
「自分が向かう場所は自分で決めるの。自分の人生に責任が取れるのは自分だけよ」
『タイトル画面について』
ここからはタイトル画面について思った事。
背景の”白いすずらん”
白いスズランの花言葉は「幸福」「再び幸せが訪れる」というもの。
深菜が再び元気になって幸せを手に入れていく物語とマッチしていて、素敵だと感じました。
上下反対の蘭と深菜の構図
何だか既視感があるな…って感じていましたが、その正体は女性主人公モノが共通点の『ガンダム 彗星の魔女』のSeason2キービジュアルでした。
覚悟が決まったスレッタ(上)が悩めるミオリネ(下)と上下反対に配置されていて、蘭(上)が深菜(下)を救い出す所と似ているなと感じました。
それと蘭のCVであるLynnさんがミオリネも演じられていたので、不思議な縁だとも思いましたね(完全に個人的な感想ですが…)
・・・
さいごに。
物語の長さより、演出に重きを置いた綺麗な作品だと感じました。
演出的に近いのは『マルコと銀河竜』や『Monkeys』かなと。
ただ物語の内容としては、清涼感のある友愛としての百合でサッパリとした気持ちで楽しむことが出来ました!
それと夏にプレイできて季節感あって佳きでした。