兄妹愛と心情をリアルに描き、”恋”・”愛”・”幸せ”とは何かを考える物語
~ブログ内容を転記してます~
EroScaの改行の影響があるため、
ブログ側で読まれることを強くお勧めします。
「はてなブログ:物語は心の栄養素」
https://una-008.hatenablog.com/entry/2024/01/15/004038
↓以降ブログ内容そのまま
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『作品紹介(ネタバレ無し)』
突然ですが、あなたは空に浮かぶ雲の存在を疑った事がありますか?
雲が空に浮かぶ理由や雨が降る理由は学校で学び、何の疑問も無く受け入れましたよね?
でもそういう当たり前に疑問を持つ人間も確かに存在しているのです。
「兄妹愛」それは当たり前な禁忌。
でもその当事者達はその強大な当たり前に対して思い悩む。
どう他人に相談しても伝わらない、だって常識が違うから。
そんな当たり前に苦しみ、抗う兄妹達が描かれます。
そしてそんな愛し合う兄妹の妹と同じ顔を持った一人の人間が、ふとした縁で兄妹達に関わり始め、兄は愛する妹と同じ顔を持つ、女性に少しずつ惹かれ始める。
「恋」 とは何か?
「愛」 とは何か?
「幸せ」とは何か?
この物語の先に待つ結末が、きっと貴方の心を揺さぶるでしょう。
以降、ネタバレ注意!!!
※感想は概ねプレイ時の時系列順です。
誤字や文法間違い、解釈違い等があるかもしれません。
あくまでも個人的な想いなので、寛大な心でよろしくお願いします。
【慧 主観√】
『慧が満月に気を許した瞬間』
それは彼女の背中の火傷の傷を見た時。
妹と瓜二つの顔を持ちながら、明らかに妹とは違うもの(背中の火傷)を見つけた事で別人だと認識する。
別人だからと分かったから、本当は妹ではないかという疑念が晴れたから安心した(プレイヤー自身の僕もそう)
そして慧は満月を妹の陽香として想って抱く。
そこには妹に似た満月を抱くことで、妹を抱くという罪悪感から解放された気持ちがあったと思う。
『満月とのえちちシーン』
濃厚で濃密で、読んでいてずっと心臓がバクバクしていた。
とってもえちちで興奮してしまうけど、どこか読んでいて心地良い感じで生唾を飲み込む暇もないほど没入出来た
『満月は何で慧に抱かれたいと思った?』
事後に慧が出ていくときの満月のセリフ
「本当に……(羨ましい)」
誰かから、心底狂うほどに愛されたい気持ちがあるのか……
でも慧みたいに行きずりでやってしまうのは、それの正反対な気も……
⇒慧主観√読了後
どこかのシーンで満月自身が性交の事をコミュニケーション?みたいな言い方をしていた。だからキャバクラで会話する延長線上で簡単に抱かれる、抱いてあげる様な関係性の深め方をしていたんだと思う
⇒読了後追記
満月は母親の死の影響で「恋」を忘却して生きてきた。そして彼女自身が成し遂げたい目標を持って生きるんじゃなくて、誰かの下僕(犬)になって思考停止で尽くす事を決めた。
だから今にも死にそうな慧が目の前に表れて、彼を助ける犬に簡単になれそうだったから、満月は慧を誘い抱かれたんじゃないかな。
『陽香を満月が演じてる?』
互いに何でもなかった様に接していて、特に慧はギリギリの精神バランスでつかの間の幸せを享受してるところがよき。
薄っすら陽香が陽香じゃない事に気づきながらも、本当の答えを得ようとしない所が以下のセリフに表れて本当にいいな……
慧「ははは、前は――」
――前は、簡単に判別ができたのにな。
藪蛇になるかもしれない台詞は、ギリギリのところで吞み込んでしまう。
陽香がブラックでコーヒーを飲むシーンも、分かってて解ってないふりをしているようで胸が締め付けられる
あと猫舌だったはずの夕食のシーンとかも……
⇒読了後追記
慧主観√で全体に言えることだけど、入れ替わりが今どっちか考えながら仕草に着目して読むのが面白かったな…
『陽香(満月)に慧が髪を梳かれるシーン』
これって前に満月に髪を梳いてあげるって約束を果たしているシーンだよな……
慧が満月(陽香?)に会いに行く約束したから、その前に陽香(満月)その約束を守りたかったのかなって感じた
『コスモスの花言葉』
山中のピンク色のコスモス花畑のシーンがとても印象的だったので、コスモスの花言葉を調べてみると陽香にピッタリなものしかなくて驚いた
「調和」
家でも学校でも調和を求める陽香らしい
「謙虚」
満月を演じている時に陽香を演じてる満月にどこか遠慮がち
「乙女の純真」
慧主観の最後に抱かれるとき、純潔を守っていた事が何よりの証
『陽香を演じる満月の変化』
陽香を演じている満月が母親に頼んで兄弟が幼かった頃のビデオを見る。その映像から陽香が幼かった頃からの仕草とかを勉強して、満月はより陽香の様に振る舞うようになる
例えば慧がソファに座れば左側に座るようになったし、リモコンを取る手が左手になったりと、パンケーキを食べるときのフォークも左手に、そういう細かい変化が何気なく描写されていて良い…
『久しぶりに陽香に戻った陽香』
満月として家族とご飯を食べる中で、陽香を演じる満月が家族と馴染んでいる事を嫌なほど理解させられた。
だから久しぶりに陽香に戻った時に、どういう振る舞いが家族の中でも「妹」なのか分からなくなってしまってる所が、見てて胸が苦しかった
『陽香の葛藤』
陽香は自分が満月の時、満月が演じる陽香を見て家族とうまくやっている所に嫉妬する。
でも満月を演じている時は兄妹関係を無視して、慧と一緒に幸せな時間を過ごせるから演じる事を辞められない。そんな葛藤の描写がよいな…
『慧と満月、慧の部屋での性交』
最後の方で自暴自棄になった慧が満月とホテルで肉欲の日々を終えた後に、慧の部屋でセックスするシーンは正直興奮した……
陽香にばれても構わない、むしろ陽香に止めて欲しいと、どこかで願いながら満月を抱く慧の狂った所が最高に良かった(これこそエロゲでしか表現出来ない心情だなって思う)
『陽香の背中の傷痕』
陽香?とのえちちシーンで、陽香?の背中に傷痕を見つける。
ホテルでの暗がりが家の停電での蠟燭の灯りを思い出しているし、 破瓜した時の血が出ているところからやっぱり陽香なのか……?
背中の傷痕も満月として抱かれるために、自らつけたもの?
⇒読了後
本当に自ら火傷の傷痕を付けていた…
あのシーンは本当に胸が締め付けられて、苦しかった…
【陽香主観√】
『陽香と慧の将来のための選択』
慧は陽香とずっと一緒にいるために、ただ一つの理想的な「答え」を求めた。
陽香は慧とずっと一緒にいるために、現実的な「方法」を求めた。
ここに男女の考え方の違いが出てて面白いなって思った。男はやっぱりただ1つだけの正解を求めるロマンチスト的な一面を持っていて、一方で女性は現実的な答えを求める(まあ一概に男だから、女だから絶対そういう考えって訳ではないとは思うけどそう感じましたって話)
あと以下の陽香が満月と入れ替わりを決意して、もうお兄ちゃんって呼べなくなるって意識したシーンは胸にグッときた
この家を離れ、お兄ちゃんの『妹』ではなくなる。
もう二度と『お兄ちゃん』とは呼べない。
『妹』として愛されない。
二度と、頭を撫でてもらうこともない。
『自分じゃない立場で、自分を見つめる』
陽香や満月がそれぞれ演じるために、アドバイスをしているシーンで思った事。
自分を客観視して自分がするであろう言動について考えているのが、入れ替わりものとして凄くいい描写だなって思った。
なぜなら自分を改めて客観視する事で新しく自分自身の事に気付いたりするところが、自分ってどんな人間かを識る機会になってていいなって思ったから
『陽香の答え』
陽香が慧との猫カフェでのデートの帰りに河川敷で見つけた「答え」
……あった、『答え』。
お兄ちゃんが言葉を変えて、教えてくれなかった正解。
わたしは、『わたし』だ。
妹も、『妹』だ。
その「わたし」って答えは満月を演じきって慧と結ばれるのでもなく、満月を演じる陽香でもなく、「わたし」であること。今の自分でお兄ちゃんと結ばれるという「答え」を見つけたんだと感じた。
でも陽香であろうとせず「わたし」であろうとする、この判断が「妹」を大切にする慧を永遠と苦しめているんだと思うと、いたたまれない……
『山の中のコスモス畑のシーン』
夏祭りで慧と花火を見るシーンとの対比?の様な気がする
どちらも一面に花が咲くってところは一緒だけど、花火は上を見上げていて、花畑は下を見ていて。
見る方向は違うけど、慧と陽香(満月の姿だけど)が見つめ合う事は変わらなくて、そこが良くて凄くいいシーン
『慧が満月の家に泊まっていった夜』
陽香に感情移入しているからか、読んでいて胸がドキドキして張り裂けそう。
一緒の布団で抱きしめ合いながら幸せな気持ちになってる陽香の事が、今後の展開を考えると尊く想える。
あとぐっすり寝られるの凄い。緊張して寝れないって訳じゃないのが兄妹として互いに完全に信頼していてる安心感が伝わってくる
『わたしが、わたしでは無くなっていく』
陽香が満月を演じれば演じるほど、お兄ちゃんの妹から離れていってしまって、代わりに満月が陽香としてお兄ちゃんから妹として愛されていく。
そんなものを見せつけられて、入れ替わった事も失敗に思えて、世界すべてが最悪の埃まみれた黴っぽい空気になっていく様が描かれてて、見てて苦しいけど没入感が凄くて陽香が落ちていく様を眺めるクリックが止まらない……
『妹を殺す覚悟』
陽香が慧に愛されるために「妹」を殺し、完全に満月になる覚悟をする。
満月に穢されてしまった「妹」はもう取り返せないから、とことんまで「妹」を捨ててお兄ちゃんと結ばれるために、好きでもない五島君と付き合い河川敷でキスをする。
そして家に帰ってきた後に泣きながら唇を拭くシーンを見て、僕は陽香の気持ちを考えると辛くて辛くて何だか内臓が気持ち悪くなった。
それに追い打ちをかけるように、陽香は壁を隔てた慧の部屋から慧と満月が交わる声を聴く。ああ本当に残酷……「妹」を殺すのには好都合かもしれないけど、最悪の気分だろうな……
もうプレイしてて放心状態というか、何も考えてたくないような気持ちになった。どす黒い黴が体中に生えてしまってるみたい。
『陽香と慧の初体験』
美女ゲのえちちシーンで初めて泣きました……
陽香が死ぬような思いでつくった背中の火傷の傷痕を見せられながら、満月になりきるために処女を失う痛みや悲しみを我慢するところを見ていると自然に涙が出てきた
いや、もう僕の胸が苦しくて苦しくて。
火傷をつくるシーンからしんどさが溜まってて、もうわけわかんなった
『容赦の無い最後』
希望に満ちた終わりでもなく、一筋の光が見えるわけではなく、ただ衰弱して死ぬ
物語を終える時のエンドロールを味わう余韻もなく、ただの”FIN”の三文字だけ。現実が容赦なく二人へ襲い掛かってきて、それを僕たちプレイヤーは眺めるだけ。
なんて過酷なリアルな現実なんだろう……
タイトルバックした後に喪失感?が凄くて数分間モニタの前でぼーとしてしまった
【満月同棲√】
『満月の喜びって?』
誰かに心底尽くして自分を捧げる事。
何で慧を幸せにしたいと思っているかは、慧が元々死ぬ間際のどん底にいたから、そういう人間に尽くしてあげるとその変化は絶大で、満月への絶大な感謝の気持ちを持つと予想したから。
色んな男性と関係を持って尽くしていたのも、自分のお陰で喜ぶ様を味わいたいからなんだろうと思う。
⇒読了後追記
概ね合ってるけどちょっと違う。
慧視点√でも補足したけど、喜びは下僕(犬)になって思考停止で生きること。
『満月の幸せって?』
満月が陽香と一緒にお風呂に入りながら、自分の過去を吐露する。
母親に虐待され、学校では虐められて、ずっと心がひとりぼっちで寒々しい幼少期を過ごしてきた満月。そして雪が降る日にベランダに追い出された時から寒さや痛みを感じなくなった過去を陽香と共有する。
満月は世間一般の幸せの感じ方を知らない、あったかいご飯も、たっぷり湯を張ったお風呂も、誰かに背中を任せる安心感も。
だけど鷲崎家で陽香として過ごしたり、陽香と慧と一緒にアパートで暮らしたりするなかで、少しずつ普通を知っていったから痛みを感じるようになってきた。
そういう、ちょっとずつ幸せを感じ始めている満月の変化が愛おしい思えた。
あと以下の満月の心情を描いた文章が、満月が幸せになるために必要な内容に気づき始めたた事が伝わってきて好きですね。
自業自得の、救いようのない人たち。
隅々幸せの方から近づいてきてくれることがあっても、全速力で回れ右をして逃げちゃう哀れな人たち。
幸せを知らずに行き、幸せになれずに生きてきたせいで、そういう生き方しか出来ないのだ。
本当に幸せになろうとしなければ、決して幸せにはなれないというのに。
『陽香との初めて、満月を入れた3P』
読んでいて幸せな気持ちになった。
いままで3Pって何が良いんだろうって思ってたけど、180度考え方が変わった。
陽香は満月の事を心から信頼するようになって
慧は兄としてただ理性的に考えるんじゃなくて今目の前にいる女の子の幸せを想えるようになって
満月は今まで何も感じなかった心が慧と陽香を愛しく想う心が芽生えて
そんな心を通わせた三人のえちちだからこそいいなって思えた。
いつもは飛ばし気味の喘ぎ声だけのセリフでも、とにかく二人とも可愛くて、とってもえっちで聞いていて幸せだった(声優さんってすげえや
あと三人含めての会話の空気感が凄く好きだな~
『満月視点、キャラの顔が暗くて見えない』
慧と陽香以外の人物の顔が暗いのって、二人以外の事は目には入っているけど見てない(見ようとしていない)って事なんだろうな。
だから、満月は二人だけにはちゃんと向き合ってる
⇒読了後追記
暗さがパッと晴れたシーンでは満月が色んな目を向けるようになった(他人を知ろうとする)変化が描かれてて、凄く好きなシーン
『満月の世界が色づいていく』
満月が3人での同棲や陽香との入れ替わりで世界を知っていく事で、満月自身が世界を見る視点が変わっていく。
満月、陽香、慧の3人で夜の河川敷を歩いていた時のセリフが特にそれを表していると感じた
満月
「今なら、星空に星座を名付けた人たちの気持ちが、判る気がするんです」
「名前を付ける、世界を知る」
「世界を知ると、こんなにも世界の見方が変わる」
「星空って、こんなに綺麗だったんですね……」
満月が自分の名前も母親からの大切な贈り物だって、いつかのシーンで言っていたのも思い出した
『満月と慧のふたりえちち』
三人で同棲を始めてから初めて、満月と慧がふたりでえちちするシーンがめちゃ良い。
同棲始める前の獣の様にお互いを貪る行為じゃなくて、まったりと抱き合い対面座位で繋がりながら、鼻と鼻が触れ合う様な距離で見つめ合う。そしてゆっくりとキスしながら愉しんでいるところが良いなって思った
あとこのえちちシーンの前、河川敷で三人で帰っている時に慧と満月がコートのポケットの中で恋人繋ぎするシーンから、慧が満月の事も特別に想い始めているところがこのえちちに繋がってとても良い…
『痒くなる理由』
慧は首を、満月は背中の火傷痕が痒くなる。
この痒くなる理由って、好きな人がいるのに、その想いを伝えられない、伝えてしまうと今の関係が崩れてしまうもどかしさだと思う。
慧は妹である陽香が好きだけど妹だから伝えられなくて、
満月は慧へ想いを伝えて陽香から慧を奪ってしまうと、陽香を含めた三人での同棲生活とか色んなものが崩れてしまうから伝えられていない。
いま互いに築いた関係性を守りたいけど、大好き。
そんなもどかしさが痒みとなって表れているだと思う。
⇒読了後追記
単純にそれだけの想いじゃない、もっと複雑で苦しくてやるせない想いを抱いた時に痒くなるのかな。
満月は自分の母との関係を思い返して、何かもっと上手くできたのはと思う時も、背中の傷痕が疼いている。
多くの知識と知恵を得た。
今の私ならば、もっと上手くにやれたのだろうか。
ずきずき……。
ずくずく……。
背中が、また疼く。
『慧を独り占めする満月』
満月がホテルやテーマパークで慧を独り占めしようとする様と、慧がそんな満月の事を精一杯の愛で受け止めてあげようとするところを見て、一体どんな気持ちを抱けばいいのか、どんな言葉を綴ればいいのか分かんなくなる。
満月が狂ったように慧の体を求める事もやっぱり彼女の一部で、例え満月が慧の心を見てなくても、慧がそれを受け止め包んであげようと彼女の心を見つめ続けるところがいいなって思った(いいなって言葉が適切かは分からないけど
梅雨の時期に慧が死の淵を彷徨っている時に、どんな形であれ救ってくれたのが満月だから、慧にとっては恩返しというか何か色々貰ったものを返してあげている様な気がした
『物語を終えて、感じたこと』
色んな気持ちで心が一杯になったけど、右腕になぜか暖かさを感じた気がした。
その暖かさを感じた場所は肘や二の腕周り、ちょうど満月に腕を組まれてくっつかれた感じ
これからも満月が右側にそっと寄り添っていてくれるのだと思うと、あったかい気持ちになる
『満月からの呪い(祝福)』
満月が慧と陽香の目の前から去って、慧と陽香のどちらかが死んだら満月も後を追って死ぬ。
でもその呪いが二人を世界に生かす祝福となっている。
何故かって言うと、満月が消えてた状態で三人で過ごしていたアパートで生活していると、どうしても満月がいた頃の幸せで満ち足りていた時を思い出してしまう。
だから慧と陽香はあのアパートから出て、離れ離れになって暮らす。
そして離れ離れになった慧と陽香の二人は離れて暮らす状態に耐え切れず、命を絶ってしまうはず。
だけど仮に二人が命を絶ってしまったら、愛する満月が後を追ってしまうから、自分の死が満月の事も殺してしまう。
だから慧と陽香は死ぬことが許されない呪い、という名の生の祝福を受けている。
兄妹で愛し合った慧と陽香が本来辿る未来は、陽香主観√のような逃避行の先に待つ死。だけど満月の愛がそんな二人の結末を変えた。
満月が選んだその尊い選択が、僕の心にぐっさりと突き刺さった。
FINの文字を見て本当に胸が苦しいんだけど、満月の愛に気づけたから、どこか優しくて穏やかな気持ちにもなれた…
【考察】
この物語で印象に残った3つの点についてに考察してみました。
『恋・愛とは何か、その違いは?』
満月の以下セリフを元にして、考えてみる。
満月
「『恋』とは何か、『愛』とは何か」
「『恋』とは、お酒です」
「『恋』とは、酪酔出来るもので、人を酔わせてくれるもの」
「一方で、『愛』とは、そう簡単には酔えなくて、酔えたとしても、すぐに目が醒めてしまうもの」
▶『恋』:相手を想うだけでフワフワと幸せな気持ちになるお酒
『恋』というお酒を呑んでしまうと想い人だけを強く想ってしまい、恋は盲目って言葉がある様に酔ったみたいに判断力が鈍る。そして恋をしている時は相手の事を考えるだけで、とてもとても幸せな気持ちになれる。
ただ恋という酒は飲む量を誤って溺れると、満月の母親の様に死んでしまう怖いもの。
満月の『恋』
慧に頼られたい、抱かれたい、会いたい、犬にして欲しいと思っていて、慧と陽香以外の人の顔が黒で塗りつぶされているときまで
陽香の『恋』
冷戦が始まる前の慧にべったりのとき。特典シナリオ「昔日」でお母さん(真弓さん)に慧と一緒にお風呂も一緒に入る事に注意されている様な頃
▶『愛』:三人の同棲生活で培われるような、少しずつの積み重ね
『愛』を自覚するには沢山の時間を一緒に過ごした経験と、相手を思いやる気持ちが自分の事よりも先に来るくらいパートナーの事が心に沁みつく必要がある(だから満月は「そう簡単には酔えなくて」って言ったんだと思う)
満月の『愛』
最後のシーンで慧と陽香に生きて欲しいから、慧と陽香のどちらかが死んだら満月も後を追うと言って二人の目の前から去るところ。
それは満月が恋した慧と陽香との酔った様な時間を捨ててでも、二人の生きる事を優先する選択
陽香の『愛』
冷戦が始まって恋の酔いが冷めても、ずっとずっとお兄ちゃん第一で思い続けたところ。
特に陽香主観√で背中につけた傷痕は、自分が恋に酔った妹でもなくとも、お兄ちゃんと結ばれたいという証なんだと思う
『幸せとは?』
正直、自分の中でも整理出来てないです。
ですが、大切なテーマの一つだと思うので、今感じて思っている事を残す意味で書いていきます。
▶他人に生きて欲しいと願うこと?
満月が最愛の二人である、慧と陽香に生きて欲しいと願った。
それが三人で最後に過ごせる時間を減らしてでも、生きて欲しいと願ったエゴの塊みたいな選択。
だけどそのエゴはまさしく『愛』なんだろうって思う。
そして生きることを願うことは『愛』を送ることで、その行為を出来るって事は愛する人を見つけているってこと。だから愛する人を見つけることが出来たその人の人生は幸せなんじゃないかな…(きっと満月は幸せなのだと思う
▶答えを探し続けること?
それは妹と結ばれる答えを見つけるように、一生見つからない命題かもしれないけど、ひたすらに諦めずに考えることなのかもしれない。
慧みたいに知識を深め行動したことが、あとから振り返ってみて自分頑張ったじゃんって思えれば少なくとも後悔は無いと思う。
だから盲目的にはならず、動き続けることが幸せに繋がるんじゃないかな。何だか「人生」っぽい感じだな…
この命題は他の方の感想を読んで、もっと理解深めたいな…
『三人の満月』
物語で描かれた中で、以下の様な三人の満月がいると思う。
どれか1つでも欠けていたら、満月同棲√の最後を迎えることは出来なったはず。
▶1:ニンフォマニアな満月
死にかけの慧を肯定して、抱くことで救った満月
「ニンフォマニア:色情症」
作中で満月が慧の部屋で本を読みながら呟いた言葉。
異常な性欲を持ったり躁病状態(気分が高揚して、開放的になったり怒りっぽくなったりした状態)になったりする症状を指す精神医学用語。
「声優さんの演技」
実際にプレイしてて、慧に抱かれて淫語を吐きまくる満月の時は、声優さんの演技でも明確に喋り方や声の抑揚の感じ違って別人に感じた
ja.wikipedia.org
▶2:冷静で頭脳明晰な満月
抜群の記憶力と人の心を読む洞察力を持った満月。
この満月がいなければ入れ替わりという、突飛な事は出来なかっただろう。
「能力を身につけた過去」
人の心を読む力は、母親が亡くなってから一人で世界を生き抜くために努力で身につけていった力だと思う。
水商売をだから接する相手を選ぶことで、自分を守るために必須だったんだろうな…
▶3:陽香としての満月
家族の暖かさに触れてと愛される事を知った満月。
このひだまりの様な日々がなければ、本当の母親の死を思い出せなかっただろう。
「卒業式の後で両親へ送る花」
真弓さんへは赤色のカーネーションを、富太郎さんへは白い薔薇を送ったシーンで、本物の家族じゃないけど愛していたんだなって感じた。
・赤色のカーネーションの花言葉:「母への愛」「純粋な愛」「真実の愛」
・白いバラの花言葉:「深い尊敬」
【さいごに】
ここからは雑多に感想を書いていきます。
2024年最初のゲームでしたが、心が揺さぶられまくりで素晴らしかった!
文章が凄く繊細で心の機微まで分かるから感情移入しまくりで、苦しいシーンは本当に苦しかった…
けどプレイ出来て、新しい感情の発見や新しい知見を得られて面白かった!!!
あと文学作品を読んでいるような気分で、シナリオの「間崎俊介」先生凄いなって思いましたね。次は「初めての彼女」プレイしようと思っているので凄く楽しみです
さてさて、最後に各キャラへ思った事を書いて〆ます。
【慧】
お前はもう十分頑張ったよ…色んな困難に抗う姿がかっこよかったぞ…
【陽香】
特典の「昔日」で描かれている中学生?な陽香可愛い過ぎる…愛でたい。
背中を焼くシーンは一番苦しかった、本当に凄い覚悟…
【満月】
最後までプレイして一番好きになったキャラです!!!本当に愛おしい!!
でも正直、陽香主観√終わりくらいまでは嫌いじゃないけど、あんまり好きでもなかった…(ごめんよ
でも満月同棲√で過去や色んな苦悩を知って、凄く好きになった。
家庭環境が理由で荒れてた子がどんどん成長していく子を見てると、涙が溢れてくるのですよ…(個人的にタイムリーな作品『せんせいのお人形』のスミカを思い出しました)
あとラストシーンで海で慧と陽香と別れたから、その余韻が抜けきれなくてゲームプレイ後に居ても立っても居られなくて急いで海に行きました
波打ち際に立ってぼーとしながら、打ち付ける波の音を聞いていると凄く寂しいけど、ゆっくりと自分の心が落ち着いていった気がしました。
物語の咀嚼に困った時は全く違うことをして、何も考えないようにすると不思議とスッと胸に落ちる感じがして好きですね(かなり話が逸れましたがw
【大地】
癒し枠、明るい気持ちをありがとう。
一見チャラい感じだけど、慧と陽香の事を本気で心配してくれているところがよかった…ラーメンくいたいな