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una08さんの虚ノ少女《NEW CAST REMASTER EDITION》の長文感想

ユーザー
una08
ゲーム
虚ノ少女《NEW CAST REMASTER EDITION》
ブランド
Innocent Grey
得点
86
参照数
218

一言コメント

天へと至るいばらの道。 虚ノ少女が醸す、謎の薫り。 感情の連鎖、そして絶望

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

天へと至るいばらの道
虚ノ少女が醸す、謎の薫り
感情の連鎖、そして絶望

皆の幸福な未来という
一縷の望みを天に掛ける



【各キャラクターについて】
※気になったキャラのみさっくりと

―――――男性陣―――――
◆◆真崎 智之(雛神 理人)◆◆
儚く今にもどこかへ
行ってしまいそうな表情と雰囲気。

一度は諦めるが、再び立ち上がり
様々な場面で迷いながらも
何とか前へと歩んでいけた。

玲人とは対となる様な、
どこか構ってあげたくなる
不思議な魅力に溢れている。

―――

玲人と比べて色々と
他人に流されやすい。
しかしそこが人間らしくて好き。

一度自殺未遂を行ったことで
幸か不幸か、偏執から解き離れた。

色々な場面で偏執に囚われてないが故、
悩み・躊躇して行動に起こせないこともあった。
しかしそれだからこそ、異なる視点で
玲人を助け導くこともあったと思う。

人間味溢れる彼を見ていて
とても楽しかったです。

天では歩との探偵助手バトル?
に期待していますw

―――

紫と徐々に接近、、、
二人の関係は一体どうなる?
とっても楽しみ。


◆◆黒矢 尚織◆◆
頼れる兄貴分で誰にでも優しい
爽やかイケメンだが、、、

彼の本心を覗けなかった。
皆に良い顔で、敵がいなかったが…
本当にやりたいことが見えなかった。

あの状態の冬子の子供を取りあげる
という医者としては優れた腕を持っている。

しかし天で玲人達との衝突は
絶対に避けれられないだろう。

真崎(理人)との邂逅が楽しみだ。


◆◆八木沼 了一◆◆
直感的に苦手で面倒な奴だと思ったが、
何か嫌いになれない。
(眼鏡イケメン枠だからかな?w)

何かと自分の出世のために
手柄を優先して動いている。

しかし論理的に間違ったことは
決して行わないことには好感を持てる。

天恵会への捜査時には
柔軟?な対応で警官を突入させている。

面倒だがとても頼りにはなる。
(自分の上司に居て欲しくないタイプだが…w)


―――――女性陣―――――
◆◆茅原 雪子◆◆
「虚ノ少女」の所以。

自分が空っぽであると思い、
孤児院に居た頃から、憧れた人を殺すことで
その人格を得れると思ってしまった。

以下にあるような様々な人を殺し
度々、人格を入れ替えてきた。
・雪緒(兄)
・友人(前高校時代)
・葉月
・紫
・織部 時国(天恵会)

―――

誰しもが他人に憧れ、その人のようになりたい
という思う気持ちはごくごく自然。

しかしその思いが強すぎて、
自分を壊してしまうのは本末転倒。

理想を思い描いて
現在の自分を明確にし、
その違いを認めて埋めいくこと。

それが正しい成長なのかな、と思う。
0がいきなり100になることはない。

0から1に
1から2へ、
2から3へ。

一つずつゆっくりと確実に進む。
それが理想実現へのたった一つの道筋。

途中で嫌になるときもあると思うけど、
その時は自分が登ってきた道筋を
振り返って見てみる。

そこには自分が使った
時間や努力の欠片がそこにある。

頑張ってきた自分を裏切らない為にも
もう一歩進める力が湧くはず。

それも疲れた時には
ちょっと休んでみるのも良いのかも。

そしていつかは辿り着けるはず。
ダメだったとしてもその道中が
きっと自分の宝ものになる。

―――

彼女がキーで物語は動いていく。
因縁を持った出自と育ち方を
してしまったが故に悲しい結果となった。

翻弄されて続けてしまったが、
出所後は自由に生きてほしい。


◆◆茅原 冬見(理子)◆◆
砂月として理人との
淡く悲しい恋という過去。

それも持ちながらも皐月を産み、
雪子を引き取り育てた強さ。

皐月を生む際と精神治療に
六識命の助けを借りているが、
今を何とか肯定し進んでいる。

壮絶な人生を過ごし、雪子の獄中で
真崎との復縁も無いかもしれないが
彼女には幸せになってほしい。


◆◆朽木 千鶴◆◆
兄である文弥を愛しすぎて
偏執に捉えられてしまっている。

自分の行動のために兄が負傷し、
外科医の道を断たれたことを
知りつつ自責の念に駆られつつも
ただ兄の傍にいることを望む。

―――

現在私たちにはキリスト教的な
価値観で近親相姦がタブー視されている。

遺伝子学的にも免疫が正常に
得られない等のデメリットもある。

私の頭にもダメなことであるという
認識がいつの間にか存在している。

しかしいつかは遺伝子的な
問題をも解決し、誰もが愛した人と
結ばれることのできる世界になるのであろうか。

―――

文弥に人形村で一度抱かれているが、
東京へ帰った後も逢瀬はあったのかな
と想像してしまう。

文弥も優しくきっぱりと断れる
ずるずると続いてしまう様な。

しかし文弥の男目線に立ってみれば、
あの雰囲気で今にも壊れてしまいそうな
グラマラスな女性に迫られれば
「彼女を救うためと」言い訳をしながら
抱いてしまうことはあるような気がする。
(実際にあったら私なら
その場から逃げてしまいそうだが…)

―――

冬子のことは諦めている雰囲気だが、
天ではその関係をはっきりとさせて欲しい。

そうでないと冬子を養子に迎えたことを
ずっと心残りで生きていくことになってしまう。



【適当 感想】
◆◆パラノイア◆◆
様々な偏執が事件を生み出す。
そして強い感情は物語となる。
・小夜:理花
・花恋:理人
・戌亥刑事:財前 惠子(妹)
・玲人:冬子
・千鶴:文弥(兄)

天では全ての偏執が
解放されるのだろうか?
とてもとても「天」が楽しみだ。

イノグレファンは
「虚」から「天」への7年間
“殻ノ少女“という偏執に
囚われ続けていたと思うと、、、

凄い忍耐力だ…w
私なら続きがやりたくて
気が狂うような気がする。

◆◆CGの肉体美◆◆
芸術に関してからっきしなので、
拙い言葉でしか表せないが
“杉菜水姫”先生の書く人間の美しさ。

女性を書くときは丸く柔らかく。
男性を書くときは筋骨をはっきりと。

女性の澄んで柔らかそうな美しい肌。
しかしその奥にある筋肉や筋、
骨までがくっきりと見えてくる。

生きていることを
はっきりと感じられることで、
凄惨な事件での死がより際立つ。

また男性は服の上からでもわかる、
骨太感や筋肉感が良かった。

“杉菜水姫”先生が書く
男の肉体美をもっと見てみたい。

やっぱり絵が物語の醸す雰囲気に
合っていると味が深まるなあ。

◆◆ 冬子 ◆◆
冬子の生存を願うのはエゴかもしれない。
だたし願うことだけは許して欲しい。

しかし以下の3点から
死亡の暗示が多いと考察する。

①玲人の断定―――
  冬子死亡を暗示

Trueのラストで玲人は
3つの白骨遺体の内の1つを
冬子のもと、と断定している。
(詳しく調べたわけではないが)

様々な事件で白骨遺体も
見慣れている玲人の勘が
外れるとも思わない。

頭蓋骨をとく観察すると、
女性的な特徴が多い。
・眉弓:発達してなくフラット
・頤 :小さく華奢

ただし肋骨を観察すると、
女性のものとは断定できない。
※男性の肋骨の特徴である、
肋骨弓の角度が広い


②True後の背景―――
  冬子生存を暗示?

雪の上に
冬子の頭部
人形で出来た体・手足
が黒い布に包まれつつ散乱してる。

冬子の胴体をよく観察すると、
以下の点がわかる。
 ・腹部に帝王切開の跡
 ・股付近に出血跡
 (妊娠後期の性器からの出血?)
 (帝王切開なので出産時ではない?)

胴体の状態と冬子の
安心したような表情から、
出産が無事行えたのではないか?
(母体も何とか生存…してて欲しい)


③True後、冬子?の言葉―――
  冬子死亡を暗示

「久しぶりだね。」
「ずっとあなたに逢いたかった―」
→白骨遺体としての再会を暗示?

「また逢えなくなるのは寂しいけど」
→遺体回収後にお墓に埋葬されるため、
 逢えなくなることを暗示?

「ずっとそばにいるから―」
→天から見守っている?

「もう、私は寂しくないから……」
→子供が生まれたことで、
 家族が出来たから?
 
 母と幼く死別して、
家族が長年いなかった。

―――

ただ、ただ、
子供の生存を切に願う。
尚織…