歴史、其れ即ち物語
――――ネタバレ無し感想――――
歴史、其れ即ち物語
浅葱の覚悟を身に纏い
誠の名の下に生き抜いた
新選組という武士の物語
新選組の一隊士として江戸→明治までの
幕末動乱の流れが体感できる、素晴らしい物語。
(とっても勉強にもなる!日本史最高!!)
>薩英戦争
>池田屋事件(坂本龍馬暗殺)
>大政奉還
>鳥羽伏見の戦い
>江戸城無血開城
>蝦夷共和国
>戊辰戦争
>西南戦争
>廃藩置県
などなど言葉だけで習ってきたものが、
流れとして身に染みて理解できる
素晴らしいゲームである!!
(幕末史はMIBUROで決まり!w)
また幕末という武士が最後に生きた時代。
新選組という武士を描き切っており、
忠義とは?主君とは?切腹とは?
などなど武士の心情が丁寧に表現されている。
現代人とは相容れ価値観を持っていても、
何故人は新選組に惹かれるのかが
このゲームをプレイすることで分かる。
シナリオを書かれている“葉山こよーて”氏が
プログラム及びスクリプト、演出も手掛けており
とても読み応えがあった。
刀での戦闘シーンでは、
>剣先が揺れたり
>細かい表情の切り替わり
>背景ぼかし
などなど素晴らし演出のお陰で
のめり込むことの出来るものでした!
前作の“ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1-“を
未プレイですが、とても楽しめました。
(MIBUROをやってみて
とてもプレイしたくなりましたが)
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!!!※以降ネタバレ有 注意※!!!
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↓↓↓プレイ済みの方のみどうぞ↓↓↓
▶沖田 総司 --------------------------------
イサリン(近藤勇)とヒジリン(土方歳三)と
同郷で家族のような関係だった3人。
いつもイサリンのことを一番に思い
時には自分のやりたくないこと
選びたくない道を歩みながらも進んでいく。
試衛館ではイサリンの愛弟子で、一番の腕を持つ。
自らの腕とストイックなまでの武士の心。
死ぬことを決して恐れず、
しかし床の間で死ぬことを決して是としない。
そして最後は中村半次郎と闘い、命を落とす。
…感想…
今の21世紀の日本では、闘って死にたい
との気持ちを持つことは難しい。
何故なら闘いや戦争は危険で、醜いものと教えられるから。
それ自体否定をするつもりは全く無いが、
幕末戦乱の世ではいつ自分が切られ、死ぬか分からない。
そのために己が強さに磨きをかけ、いまを生き抜く力をつける。
床の間で死ぬのは簡単だ。
特に労咳(結核)を患っているなら、尚更だ。
しかし死の瞬間を自分で定めることは
何より生を意識し、己が道を明確にしなければ出来ない。
彼女は自分の生を何よりも考えぬき、
闘って死ぬことを自分の生を終着点と定めた。
「綺麗な生き様でした、ありがとう総司。」
▶近藤 勇 --------------------------------
出自が武士ではない故に、
武士に憧れ
武士の様に生きると心に決め
武士として行動を最も尊び
武士の最後を迎えようとした。
新選組の大将として、武士の理想を
ひたすらに体現して生きてきた。
誠の武人たる心を大切とするイサリンは
薩長に破れ逃げ延びた後、死に場所を探す。
それは敗走した将として、最後は戦場で散ることで
最後まで武士でありたいという気持ちから。
新政府軍に追いつめられ
健と脱出、江戸に隠れ住む。
そして新選組は五稜郭で敗戦。
そこからの5年間はヒジリンの
仇討ちをするため息を潜め、粛々生きる。
そして仇討ち当日、薩摩藩有馬に説得され
仇討ちを諦め、生気を無くしてまう。
武士として最後まで生きようとした
イサリンにとっては最後の最後、
武士としての仇討ちが出来なかったことは
自分を否定してしまう様なものだっただろう。
だが会津中将様から直々に新選組局長の任を
解かれることで、近藤勇としての道が開かれた。
…感想…
彼女は誰よりも武士であろうとしたからこそ、
これ程まで真っ直ぐで美しかった。
√最終版での中将様とのお目通り時には、
誠なる土下座を見れた気がする。
あそこまで綺麗な土下座は他にあるだろうか。
「誠なる武士を見せて頂きました、
ありがとうイサリン。」
▶土方 歳三 --------------------------------
己が生まれた身分に疑問を持ち、
武士になりたいと暴れまわり、バラガキと呼ばれていた。
しかしイサリンと出会うことで、
自分が如何に無計画に時を過ごしてかを自覚する。
同じ様な年齢でありながら
目的を達成するために、具体的に行動していた
イサリンに惚れ込み共に行動するようになる。
―中略
新選組は新政府軍に敗走を重ね、会津に逃げ延びる。
イサリンの死をきっかけに、局長を継いだヒジリン。
恐怖と規律でしか部下を縛れない自分に悩み、
イサリンと同じく死に場所を求めてしまう。
しかし健や古株からの助けもあり、
徐々に大将として自らの部下に対して
優しく鼓舞するようになる。
そこで改めで新選組局長、
近藤勇の器量の深さや重圧に気づかされる。
イサリンの様になれるよう努力し、
函館政権下では様々部下に慕われる。
そして最後は花火の様に、函館に散る。
…感想…
様々な思い、
イサリンを城持ち大名にする
新選組をただの浪士組でなく名を残す
最後の最後まで武士でありたい
それを叶えるため、手段を選ばず
鬼の様に実行出来ていた傑物でした。
函館戦の最後、自らの死に際になって初めて
イサリンに対し“褒めてくれるよな……?“
と思いながら突貫。
自らの今まで行動に対して、
思うところもあったかもしれない。
だが信念に基づき行動し、事を成してきたことを
最後にイサリンに褒めて欲しかった。
それは自分の進むべき道を定めてくれた
先生であり
同士であり
友である
彼女に対し、その行動・結果が誠に
土方歳三として格好良かったかを問いている。
またオナゴとして健に対してデレている様は、
ギャップ萌えがあり、大層可愛かったです。
「格好良かったです、ありがとうヒジリン。」
▶斉藤 一 --------------------------------
イサリン、ヒジリン、総司を始めとした
試衛館時代からの古株。
しかし試衛館預り初めは心が荒んでいた。
それでも試衛館の皆の明るい振舞いから
心を開き、総司とは良き好敵手となる。
―中略
会津が新政府軍に破れ、総司も病死してしまう。
仕える主君と好敵手を無くした一は、
イサリン、ヒジリンと同じく生きる希望を無くす。
しかし健と一見穏やかに過ごすなか
イサリンとヒジリンの仇討ちのため、
心の中で薩摩藩大久保一蔵の暗殺の炎を燃やす。
そして警察庁へ入隊し、西南戦争参加後
計画していた暗殺を実行、無事成し遂げる。
…感想…
一の名が示すように、とても真っ直ぐな人だった。
また会津戦の際には、
率先して会津新選組を組織し
今まで支えて下さった、中将様をお守りする。
とても義理堅く、優しい心の持主。
CV.藤咲ウサさんの眠たそうだけど、
芯がある雰囲気を出す演技が素晴らしかった。
彼女の優しい雰囲気に、1役も2役も買っていた。
「誠な忠義見せて頂き、ありがとう一。」
▶山南 敬助 --------------------------------
個別√としては、自刃せずそのまま健と逃げ
道中のひょんなきっかけから庄内藩に身を寄せる。
山南さんの先生となる夢を叶える物語。
…感想…
個人的には山南さんは個別√よりも、
やはり屯所に戻り自刃する方が彼女らしいと思う。
自刃のシーンでは泣いてしまったよ…、、、
相当な覚悟と新選組への思いが無いと
あの脱走劇の誇らしさや美しさが台無しとなる、
と思います。(異論は認めます)
まあ美女ゲとして√を作るためとだとしても、
やっぱりそのまま逃げるのは山南さんではない。
―それはさておき、
試衛館、壬生浪士組からの仲間として
彼女は新選組の母親の様な存在だと感じた。
新選組になってからは特に、
ヒジリンが鞭、山南さんが飴となり
出自のバラバラな浪人達を上手くまとめていた。
山南さんという皆の母親の様な人が居たからこそ、
ヒジリンも鬼に徹することが出来ていた。
山南さん、ヒジリン、イサリンの3人の
信頼関係に心を打たれた。
信頼しきっているからこそ、表面上の対立や
言わなくとも行動の意味を汲むことが出来ていた。
そんな信頼関係をもし誰かと築ければ、
それはとても恵まれ、幸せなことなんだろうな。
「新選組への絶対的な愛を見せてくれて、
ありがとう山南さん。」
▶藤堂 平助 --------------------------------
伊東暗殺の夜、
平助がもし上手く逃げ延びたら、、
というのがこの個別√。
以下の様に所属を転々とした平助。
伊東の弟子
→試衛館、壬生浪士組、新選組
→御陵衛士
逃げ延びた後、
コロコロと所属を変える自分に対し
自らの血を鑑み新選組への復帰を拒む。
しかし健の負傷から一緒に過ごしたり、
父と再会し主君替えについての真意を知る中
ついに大好きなヒジリンやイサリンと交流を決意。
日光東照宮での旧幕府軍と新政府軍争いの際、
知恵を絞り、争いを回避する。
…感想…
新八や左之助との馬鹿みたいな絡みが
とても好きで、癒しとなりました。
伊東甲子太郎が新選組へ入隊したことで、
板挟みな立ち位置に立たされ、辛かっただろう。
伊東の本位にさりげなく気づきながらも、
元の師に対してゆえ、イサリン達にも相談できなかった。
最後に、金髪ツンデレご馳走様でした。
びびんちょ…、好き。
▶永倉 新八 --------------------------------
江戸から会津に向かう前、
新八と左之助の脱退時に健もついていったら、、
というのがこの個別√。
イサリン捕縛の為、さのじが江戸に向かう。
そのさのじを探すため健と新八は江戸に入る。
結局さのじは見つけられなかったが、
代わりに神社で捨て子を拾う。
色々あり捨て子を本物の母親へと返し、
健は松前藩の医者の養子となることで
新八と共に幸せに暮らす。
…感想…
さのじとバカしているのを見て、
殺伐とした物語の中で癒しを貰いました。
しかしいざ戦となると、
恐れずに切り込んで行く姿は
とてもカッコよかった。
[各登場人物に対して プチ感想]
▶芹澤 鴨 --------------------------------
CV. 神代岬!CV. 神代岬!!
大事なことなので2回言いました。
やっぱり神代さんの演技は最高だった。
芹澤さんの基本は静かだが、内に秘めた
物凄い思いや剣幕を感じられ、素晴らしかった。
また芹澤さんはイサリンやヒジリンとは
相容れないが彼女なりに新選組の事を思い、
行動しそれを決して曲げない姿勢。
彼女の決して折れ曲がらない心を見て、
とても好きになりました。
「武士は買った恨みがそのまま貫禄になるからよ」
というセリフがとても印象に残りました。
個人的には最後までプレイしても
ヒジリンやイサリンに次いで
好きなキャラとなりました。
▶井上 源三郎 --------------------------------
源さんのぶっきらぼうだけど、
イサリンやヒジリンの信頼が厚く
縁の下の力持ち的な存在でした。
「はいはい、任せて。やっとくよ」
みたいな姿勢で新選組を見てくれていた
様な感じがする。
√は特に無いですが、好きなキャラでした。
▶雑多な感想 --------------------------------
①MBUROと鉄血のオルフェンズ
MIBUROを完走してみてふと思ったのが、
機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズと
同じ様な構造になっていると感じた。
二つの物語も生きるため
生きた証を残すために、
ひたすら前進して自分たちの場所に
辿り着こうとしてる。
その道が後の歴史から見て、
決して正しくないものだとは分かり切っているが
その者たちの行動は決して悪ではない。
自分たちの中でひたすら足掻き、
苦しみそれでも自分たちの信じ進む様は
とても気高く美しいものである。
※鉄血のオルフェンズ二期の完結が2017年
MIBUROの発売も2017年
偶然だと思うが知ったときには鳥肌が立った
②風呂場のシーン
エロゲあるある?のヒロイン等と風呂場で
偶然?あってしまう系のシーン。
MIBUROは時代的に混浴が当たり前なので、
お色気シーンと見せかけて文化的な
側面もキッチリと見せてくれて良かったです。
(源さんの堂々とした姿好きです)
③“一魅”
忠臣蔵のOP見ると写っているので、
そっちをプレイすればどんな人か分かるのかな?
と感じました。
④主人公 見田健
健の記憶喪失、物語として役割としては
→自分の過去やよりどころの薄い人間を作ることで
新選組を最後まで誰にも寄り添うことが出来る
みたいな印象を受けました。
また“光の道”の最後に健は→児玉源太郎
と名乗るよう告げられる。
児玉源次郎のことを存じなかったが、
ちょっと調べてみるとなかなかに凄い人だった。
・児玉源次郎
日本帝国の陸軍軍人
日露戦争時、満洲軍総参謀長で勝利に貢献
⑤OP
おっぱいじゃないよ、オープニングです。
セカンドOP入った瞬間痺れました。
めちゃくちゃ好きです、超カッコイイ…
最後に……中将様の戦場姿、
めっちゃ可愛いくない???