忠臣蔵の歴史で紡ぐ、壮大なSF作品。読み手を飽きさせない物語構成にあっぱれ。
忠臣蔵の歴史で紡ぐ
壮大なSF作品
読み手を飽きさせない
物語構成にあっぱれ
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◆◆ 目次 ◆◆
【感想】
1.假名手本忠臣蔵編
2.江戸急進派編
3.百花魁編
4.仇華・宿怨編
5.刃・忠勇義烈編
6.その他・まとめ
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1.假名手本忠臣蔵編
(ご城代√)
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ご城代と
忠臣蔵の歴史をなぞる
始まりの物語。
大石内蔵助への家臣からの重圧
お家再興と仇討、2つの葛藤。
武士としてその2つは
どちらも大いなる選択。
仇討は主君への忠誠を示せても、
必ず死を迎える。
お家再興は武士としての
忠義を示せない。
しかし家老の役割はお家を守ること。
少ない可能性ながらも、決して諦めない。
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タイムスリップものとして、
村上龍の「五分後の世界」や
マブラヴオルタを思い出した。
また歴史の強制力が働く展開は
タイムスリップものとして
とても良い表現だった。
色々な伏線が沢山、
ひたすらに次章に期待。
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2.江戸急進派編
(安兵衛√)
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2度目の江戸に帰還。
討ち入る仲間を守るために、
歴史を変えようと奮闘する。
歴史の修正力に翻弄されつつ、
仇討阻止に邁進するが
再度呪いを解く前に息絶える。
仲間を守ることは出来なかったが、
直刃は真の武士として、
自らの死に場所を定めることが出来た。
それは様々な動機から、
成しえることが出来た。
・自らが愛した安兵衛のため
・語り継がれる歴史のため
・仲間の死が避けられないなら、
その事実を認めて仇討を成功させため
「武士道とは」
「死ぬことを見つけたり」
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安兵衛の武士としての
志の美しさたるや。
真の武士として
不器用に
愚直に
正直に
真っ直ぐに
信念を曲げずに
生き抜く生き様に惚れた。
時には志が高すぎて、
不器用に振る舞ってしまう。
そこが、とてつもなく愛おしい。
始めて桐谷華さんの
カッコいい系の声を聴けた。
最高かよ…
(演技の幅が凄すぎる)
会津への旅はMIBURO
を思い出しワクワクした。
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江戸編のサブキャラが良かった。
単身で吉良邸へ赴き負傷し、
脱名を余儀なくされた
群兵衛。
金銭的な問題に付け込まれ
情報を売ったことに後悔を抱き、
最後の最後に同志に貢献しようとした
小平太。
梅干し食わないと弱気で
衣装が派手派手な
孫大夫。
そのギャップが好き。
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タイムスリップものとして
SF的要素がより混じり、
忠臣蔵の物語に深みを。
掛け違えたボタンの様に少しずつ、
物語に変化が生じ始めている。
またまた次章が楽しみ
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3.百花魁編
(主税√)
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歴史変えようとするたびに、
直刃の周りの人間が不幸になっていく。
3回目は歴史に干渉しない、
という志のもと行動する。
しかし萱野の死をきっかけに、
自分が周囲に死を運ぶことを改めて自覚。
そして狂ってしまう。
闇の中で狂い彷徨っている直刃に、
主税が愚直に寄り添っていく。
自分を見失いそうなときに、
苦しいときに
ただ甘やかすのではなく
一緒に進もうと傍に居てくれた。
一途に想い続けてくれた
彼女の行動に答え、寄り添い
3回目の仇討へ邁進していく。
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将来を要望視された優等生
昼行灯な母親の姿を見て、真面目に生きる。
(反面教師という
ご城代の教育方法なのかな…?)
ご城代や安兵衛にはっきりと感じなかった、
「愛おしさ」これが主税にはあった。
一途に想い、寄り添ってくれるありがたさ。
傍にいることで感じる安心感。
最年少ながらも行動にブレが無く
カッコいいところと対比して、
虫が嫌いだったりなどなど、
年齢相応なところのギャップが良かった。
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“新八” 一言で言えばヤンデレ感
しかし彼女なりに直刃のことを
本当に気に入っていたのだろう。
強さという純粋無垢な指標を追い求め、
隻眼という訓練を自らに課す。
武士としては奇天烈な彼女であったが、
本当の武人であったことに疑いは無い。
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本所の吉良は影武者。
幕府に告げ口をする謎の女。
清水一学が遂に今の世に。
SFとしての忠臣蔵、
その物語の幕があがる。
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4.仇華・宿怨編
(一学√)
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平和な日本に戻り、
生きている実感を失ってしまった。
そんな中、清水一学と
同じ見た目の甲佐一魅と出会う。
御籤の力で共に江戸へ行き、
一魅の本当の狙いを知る。
それは忠臣蔵を英雄伝にしないこと。
しかし直刃も実行しようとした、
歴史の修正力に翻弄され
本懐を遂げること無く幕引きとなる。
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一学の行動原理には納得出来た。
それは「父親の願いを叶えること」という、
ごくごく人間として当たり前の考え。
吉良の子孫であったためだけに、
迫害を受け父親は死を選択してしまった。
そして彼女は吉良と清水の汚名を
雪ぐため歴史改変に挑む。
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本√では忠臣蔵の闇を
垣間見ることが出来た。
脚光の浴びる物語は、
影となる闇が必ず生まれる。
憎まれた相手方や悪役、
それは物語には必要不可欠。
ただしその相手も人間だ。
自分が正義に立った時点で、
その敵は絶対悪となる。
滅ぼし見えなくなるまで、
完膚なきまで消そうとする。
また平左衛門の生き方も然り。
華々しく仇討という本懐を遂げた
47人とは対象的に、
人間らしく泥を啜る様な
壮絶な死を迎えた者もいる。
綺麗な物の裏が垣間見えることで、
物語に深みを与えてくれた。
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5.刃・忠勇義烈編
(右衛門七√・True)
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5回目の江戸時代
その目的は大いなる
悪の野望を止めること。
諦めたと思われるため
歴史に介入せず
右衛門七たち家族と過ごす。
しかし裏でご城代・一学と
赫夜の計画を止めようと奔走する。
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本編のほとんどは
右衛門七の成長物語。
虫も殺せない
優しい気性の持ち主が
どうやって仇討へ参加したか、
その謎が明かされる。
大きな目標である
仇討を成し遂げるには、
“心・技・体”が必要。
右衛門七はきなこ(犬)を
殺めることで覚悟決め
“心”を成長させた。
人が何かを成すには、
心が大切であると
改めて感じさせられた。
いくら技術や体力を鍛えても、
成し遂げようとする
強い心が無ければ何も出来ない。
師匠である浅右衛門。
自らに誇りを持ち、
覚悟を持ち生きているところ。
強さに惹かれた。
(一色ヒカルさんボイスすこ)
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そして最終盤、
最大の敵である
赫夜の計画打倒。
今まで蓄積された伏線を
一挙に開放していく。
・直刃の出自
・赫夜の出自や計画
・一学との盟約
・タイムリープの原因
最終決戦での全員集合には
胸の高まりを抑えられなかった。
熱い、熱すぎるよ…
(燃ゲーやっぱ好き)
特に浅右衛門が刀を提供するCGと
安兵衛vs白蛇戦の演出が大好き。
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6.その他感想
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適当に感じたことをダラダラと。
インレさんの作る燃ゲーは
やっぱり最高だった。
全員参戦は男のロマン。
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またどのルートでもご城代と
安兵衛の懐深さを感じた。
特にご城代はどんな時でも冷静に、
お家や家臣を第一に行動できる。
強い志をもった人は
軸がぶれずに行動出来る。
その生き様に憧れる。
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最後はグリザイアの楽園と似た
ヒロイン全員と無人島END。
まさか楽園と発売年と月が被っているとは…
凄い偶然だ(クリエイターってやっぱり凄い)
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FDでやっと
新選組との戦いが
描かれるのかな…
とっても楽しみ。