極端な評価はらしいと言えばらしいか
普通に考えれば60~80点が一番入る作品だと思うが、現状そこが抜け落ちているのが何ともらしい。
最近失望続きだったブランドの弱点をほぼ完璧に解決してみせたため、信者にはかなりの良作に映る。
逆にブランドの傾向を知らない人には、起伏のない話を最後まで見せられたことが苦痛に感じるだろう。
共通ルートを乗り切ることができて、飽きが来ない状態で個別に臨めた人ならば良作認定できる。共通が苦痛で苦痛で仕方ない人は、個別も厳しいだろう。
逆に言えば、体験版の時点で合う合わないが分かる購入者に優しいゲーム。
一番重要なことがある。
「エロゲのために作られた世界」に「現実の常識」を持ち込んで気になって仕方ない人は絶対にやってはいけない。
マギステのそういう部分(魔法島の「卒業するまで家族にも会えない」設定とか。思えば巫女設定に通ずるものはマギステからあった)が気になる人は、多分ツッコミ疲れて酷評しかできないと思う。
例えば、羽衣のシナリオ。
病室に忍び込んでの逢瀬とか、容態急変してから駆け寄ろうとすることや、心配で窓を突き破って病室に侵入する場面。
自分としては、そこで物分り良く治療を見守るとか、正規の手段をとって知らせようとする妙に冷静な主人公には共感できません。
しかし、それをDQN行動として気になって仕方ない人には地雷レベルの作品になります。
作品そのものは、二部構成をとることによって伏線を回収。
テーマの絆を見せることには成功していると思うので個人的には高評価。
このシナリオレベルで、従来の萌えがあれば萌えゲーとしては相当上位になったのではないだろうか?
ライターとブランドに大きな勘違いが二つあると感じる。
まず、共通ルートと個別ルートのテンションを同じにする必要がないということ。
序盤ドタバタ、後半シリアスが多くの萌ゲーユーザーが望むこと。
77のようなハチャメチャな共通から、メルトの個別のようなシナリオ展開になっても落差に驚くどころか、良作認定されるのではないだろうか?
もう一つは、プロデューサーかディレクターの判断ミス。
いな☆こいで大失敗した、千尋の系統の佳華と言うキャラを出してしまったこと。
自社のファンが嫌うキャラが分かっているはずなのに出したことは痛恨だ。
個別に入ってからのキャラは悪くないし、シナリオそのものは非常に良かっただけに残念すぎた。
それでもいつもの渦巻き」が帰ってきたのはいいこと。
そもそも「いつもの渦巻き」というのは、マギステのシリーズのことであり、77やねここいには適用されないと感じる。
やはりブランドの方向を牽引してきたライターは尾之上氏ではなく大三元氏だったということだ。
世界設定やシナリオの丁寧な構成には優れたものがあるが平坦なライターなだけに、組むライターを選ぶかもしれない。
イチャラブに定評のあるライターと組んで次回作に臨めば、マギステ以降の回り道を一気に取り返す可能性もあると思う。
あと、頼むから収録はきちんとやって欲しい。
クライマックスの涼の演技とかテンションが明らかにおかしい。
捺菜も病気の影響があったとはいえ、場面で声が違いすぎる。治った時点で全部撮り直すくらいするのがプロと言うものではないのだろうか?