かなりの力作だがテーマに難があるかも
語彙が比較的硬くクセこそ強いが、意識してセンテンスを短く区切ったテキスト群は読みやすい。
今回は可能な限り時間をかけてテキストを咀嚼したので作品をかなり楽しめた。
全編を通していい感じの緊張感が持続されるが、反して展開のワクテカ感はそこまで高くない。
メインヒロインの秘密については早い段階で可能性の一つとして思い至った。
一部キャラの度しがたい愚かしさは、読者によってはきっとこの上なく不快であろうと思われる。
尤も紅緒やロンドや奈々世は、後ろから刺されたり,憧れの人の現実を突きつけられたり,無要な犠牲を強いられたり,こっ酷く裏切られたり,無力さを嘲笑されたり,心を折られたり
作中にて各々の業に相応しい報いを受けている。
これなんて精神的リョナゲーですか？ まるでイソップ童話だ。
若干溜飲も下がろう。彼女達もまた道化である。
主人公も本当はとうに死んでいなければならない身の上だが
救う等と言いながら逆にその都度カゴメに尻拭いをさせて難を逃れ続け
結果彼女の暴走を招いて多大なツケを支払うことになる。
最終ルートは一見感動的なストーリーにこそ見えるが、実のところあのトラブルは彼の自業自得だったのである。
各地で叩かれている、主人公の下半身の節操の無さについて批判の意思はない。
大昔のエロゲ主人公は大抵あのようなキャラ付けだった。
そういえば、致命的ではないがフローチャートに1つ大きなミスがある。
透理と邂逅する一連のイベントを見ない選択肢を取ってもカゴメルートには突入できるが
その場合、上記イベントが起こったものとして話が進み
初対面のはずの透理と面識があり、また彼女に殺されかかったことにもなっている。