良く練られた世界観・シナリオと機知に富んだテキストでプレーヤーを引き込む吸引力を持った作品。音楽・グラフィック・声優陣の演技などもバランス良く組み合わさっている。良作。
MBS Truthの新作です。
この作品の特徴は,やはりなんと言ってもシナリオでしょう。
ベテランのシナリオライターである猫柳まんぼ氏が書き上げたシナリオは,
一貫した世界観の中,すべての事象に意味を持たせた上で緻密に配列されており,
大変読み応えのあるものとなっていました。
また,テキストも機知に富んだもので,大人の笑いと思索を提供してくれます。
猫柳氏のシナリオというのは,
いつも骨太でかつ独特の世界観が築き上げられているのだけれども,
(よって,既存のジャンル分けに入らない場合が多い。
今作も一言で「伝奇物」ということはできないと思います。)
そこを敢えて必要最低限のみしか語らず,あとはプレーヤーの解釈に任せる,
という手法が主にとられていたため,賛否が分かれることが多かった。
けれども,今回はそういう手法をとらず,丁寧にシナリオを編み,
すべての謎に(ライターなりの)解答を与えるという形をとったことで,
プレー後に謎を残すことはなく,プレーヤーの消化不良感を取り除くことができています。
システム・CG・音楽・声優,はすべて高水準で,とても良かったと思います。
ただし,セーブ・ロードの反応が若干遅い,一部CVが聞きづらい,
というのは少し問題かもしれません。
絵は一宮正樹氏。個人的には好みの絵柄で,CGの塗り等も綺麗だったと思います。
個人的にはとても楽しめました。思わず先が気になってしまった作品です。
ストーリーを重視する方にはお薦めです。
ただ,猫柳氏独特の世界に入って尻込みしないことが必要かもしれませんが。
お気に入りのキャラクター→渡瀬恭子、松野恵魅