構成とかにそこまで興味がないからか、ライターのドヤ顔が透けて見えるようなメインはしんどかった。演出もくどくてちょっと鬱陶しい。でも個々の話はわりと好きだったりする。
言いたいことはすごくわかりやすい、てかそのまま書いてある。
家でゲームばっかりやってないで外にでろよ、って。
でまあ、カントリーガアル単体であればこのメッセージにも納得がいく。
おそらく引きこもりが一番気にするであろう、周りの人々の反応がリアルに伝わってくるから。
でもアリスのほうは、何で外に出ようと思ったのか謎。
そもそも状況もよくわかんないしね。
なんか勝手に自己完結して終わっちゃったけどいいのかこれで?ってなる。
幹彦たちの姿を見て……っていうならわからなくはないけども、でもそうだとしたらそれこそカントリーガアル以外いらなくね?って話になるし。
仮に”誰が誰を操作してるのか”とかを考えるのが楽しいってことだったんだとしても、アリスがドヤ顔で語るせいで台無しですわ。
引きこもりに限らず劣等感を感じてるような人って、それを他人にどうこう言われるのが一番嫌だと思うんですよ。
少なくとも自分はそう。
人の価値って、他人にどう思われてるかで大体決まっちゃうしね。
カントリーガアルで、幹彦がおばさんたちとすれ違うことに居心地の悪さを感じてるシーンがあったけど、まさにあの感じ。
そんなの本人が一番わかってるんだから、ほっといてくれよって。
噂する側からすれば特別悪意を持ってるわけじゃないだろうし、話のタネ程度の感覚なんだろうけど。
でも言われる側からするとホントきつい。
幹彦の場合は知り合いの、しかも同年代の異性たちからもいろいろ言われちゃったわけで。
それはもう居心地が悪いなんてレベルじゃないよね。
いっそ殺してくれって感じ。
彼の場合はそこが想像できたからよかったんだけど、アリスに関しては何を思って外に出ようって気になったのかわからん。
じゃあもうそういう面倒なことを考えるのはやめて、単純に面白かったのかどうかって考える。
アリス視点はともかく、三つの世界それぞれの話はわりと楽しめた。
特にカントリーガアル。
幹彦はもちろんだけど、一見気楽そうに見える宮が実はいろいろと抱え込んでいたってのには、結構くるものがある。
伊予も割と生々しい。
ギャルってのはアレだけども、孤立しないように他人に合わせるって、中学生くらいまでは結構必死にやってたような気がする。
富岡さんみたいに、まっすぐな人に対してどこか斜に構えてしまうのとかも、いかにも友達がいない高校性って感じで良い。
他二つに関しても、ひたすらくだらないお馬鹿な話に徹してたり、会話はクソ寒いけど流れは王道だったりと、単体でみればそこまで悪いものではなかったんじゃないかと思う。
いっそもう本当に独立した三つの短編集とかのほうがよかったんじゃないのっていう。